8つの演奏会用エチュードとは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 趣味 > ピティナ・ピアノ曲名 > 8つの演奏会用エチュードの意味・解説 

カプースチン:8つの演奏会用エチュード

英語表記/番号出版情報
カプースチン:8つの演奏会用エチュードEight Concert Etudes Op.40作曲年1984年 

作品概要

楽章・曲名 演奏時間 譜例
1 前奏曲 No Data No Image
2 夢 No Data No Image
3 トッカティーナ No Data No Image
4 思い出 No Data No Image
5 冗談 No Data No Image
6 パストラール No Data No Image
7 間奏曲 No Data No Image
8 フィナーレ  No Data No Image

作品解説

2007年7月 執筆者: 川上 昌裕

 モスクワ音楽院卒業したカプースチンは、約20年わたってジャズオーケストラ仕事しながらもっぱらオーケストラビッグバンドピアノのための曲を中心に作曲していた。1970年代終わりになってピアノ曲創作興味持ち始め、まず「スウィート・イン・オールド・スタイル」を完成させる1984年文化省からの依頼によって「ソナタ・ファンタジー」(ピアノソナタ第1番)を作曲したが、それに続く作品として中規模上のまとまった作品をすぐに書かなくてはいけなくなった。すでに出来ていた1曲の小品(のちにこの曲集の第8番フィナーレ」となる)をもとにして、新たに7曲が一気書き上げられた。8曲は、全体一続き作品となるように調性配置などが考えられている。各曲には、まずロシア語タイトルつけられた。ジャズ語法であるスウィングブギウギロックラテンリズム使用など、これまでのクラシック音楽では馴染みのなかった要素散りばめられていて、聴く人を飽きさせない全曲続けて奏されるのが望ましいが、数曲だけを抜粋して演奏するピアニストも多い。
 カプースチンピアノ作品の中で最もポピュラーな曲集で、ニコライ・ペトロフマルク=アンドレ・アムラン、ワディム・ルデンコ、ニコライ・ルガンスキーなど世界多くピアニストたちに取り上げられている。第7番がもっと人気が高いようだが、日本では第1番第8番あたりがよく弾かれている。

2007年7月 執筆者: 川上 昌裕

第1番 プレリュード Prelude
 突き抜けるように明るくリズミカルな音楽は、カプースチンの持つ大きな魅力一つ目まぐるしく両手奏される16分音符は、打楽器効果作り出している。聴く人には、ピアノ1台でまるでジャズコンボ演奏しているような錯覚もたらす音楽陽気なラテンリズム貫かれ終始ゆるぎない8ビート躍動感生み出している。導入部の後に現れる主要テーマは、二度目出てくる箇所ではジャズ即興演奏のような趣で変奏される。

第2番 夢 Reverie
 全体三部形式で、両端部分右手重音トレモロエチュードという様相音楽響きは全8曲中でもっともクラシック音楽といえる。曲の始まりは8分の12拍子で、これは遅いテンポ4拍子裏拍アクセントを持つゆったりとしたロックリズム。曲の中ほどテンポ速いジャズワルツが挟まっている。ここでは、第8番の副主題として歌われるキャッチーメロディー先取りされている。3拍子乗って拡大されリズム奏されるこのテーマ二度繰り返されてから再現部へ戻る。

第3番 トッカティーナ Toccatina
 第1番と同様、ジャズロックスタイルタイトルらしく、連打奏法含まれ二つの主要主題からなっている。この同音連打特徴的なため、リズム8ビートが明確で、まるで打楽器一緒に演奏しているような効果出している。第1の主題はブルースケールに基づいたメロディーで、右手連打音が頻繁に出てくる。もう一つ主題はより歌謡的で、ここでは同音連打左手にいくら現れる。この情熱的な第2主題メロディーがこの曲を魅力的なものにしている。

第4番 思い出 Remembrance
 もともとは7/4拍子書かれたが、最終的に3/4拍子4/4拍子交互に現れる形に書き直された。3つの部分からなるが、両端部分はおもに左手ハーモニー右手装飾的即興的なパッセージ奏する中間部分では、両手役割がほぼ反対になるが、音楽途切れなくつながっていく。全曲貫いている流麗なパッセージ瞑想的でもあり、またロマンティック情熱的でもある。作曲者によれば英訳タイトルは“Remembrance” よりも“Reminiscence”(回想)のほうが好みだという。

第5番 冗談 Raillery
 「冗談」(Raillery)とは、「悪意のないからかい」という意味。ブギウギスタイル書かれているユーモラスでかつ大胆な表現際立つ曲。左手の音型が重要な役割担いブギウギ特有のバウンスリズムも現れる小さな序奏の後に、ブルース形式12小節構造によるテーマが始まる。これが発展しながら変奏されて最後まで合計8回続いていく。7度目の変奏テーマ原型に近い形で再現する全体通してピアノ音域幅広く使い、非常に演奏効果の高い作品となっている。

第6番 パストラール Pastorale
 派手な第5番第7番挟まれおとなしそうなタイトルを持つ作品だが、技巧的難易度は他の曲と同様に高い。主要主題は、ノンレガート奏することを指示されシンコペーション特徴とするご機嫌メロディーもう一つの副主題基本的に同じリズムからできているが、主要主題とは雰囲気の違う多少メランコリーメロディ好対照をなしている。全8曲を通して聴く人にとっては、この曲は息抜きになるような心地良い曲想持っている

第7番 間奏曲 Intermezzo
 この曲はストライド・ジャズのスタイル倣っている。まずは右手スウィングする魅力的なテーマ主役テンポはこの種の曲にしてはあまり速い曲ではないが、曲の中ほど左手のストライドリズムに乗って右手16分音符奏し始める。このあたりから、曲は「三度エチュードのような様相呈し始める。右手重音パッセージ弾きまくるが、それに対して左手4ビート刻みはずっと不変なのが面白い。しかし、やがてはその左手ストライド4分音符から8分音符になって動き二倍速くなり、曲は明る活気満たされて終わる。

第8番 フィナーレ Finale
 いかにも曲集の最後を飾るにふさわしい、休みなく速いテンポ駆け巡る終曲。この第8番がこのエチュード集生み出すきっかけとなった第1主題は、両手速い8分音符によるリズム絶妙な絡み奏される打楽器的なリズム支えられている。この曲の第2主題は、第2番「夢」中間部借用された。このエチュード集最初から順番聴いていくと、ここで初めてこのメロディー本来の姿聴いたような錯覚に陥り、懐かし気持ちになってしまうような効果生んでいる。曲は小さなソナタ形式であるが、再現部コーダ向かって音量音域拡大していき、最後に強烈な印象与えて締めくくる




英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「8つの演奏会用エチュード」の関連用語

8つの演奏会用エチュードのお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



8つの演奏会用エチュードのページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
社団法人全日本ピアノ指導者協会社団法人全日本ピアノ指導者協会
Copyright 1996-2025 PianoTeachers' National Association of Japan

©2025 GRAS Group, Inc.RSS