ジャズ・ロック[jazz rock]
ジャズ・ロック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/14 04:25 UTC 版)
ジャズ・ロック | |
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現地名 | Jazz rock |
様式的起源 | |
使用楽器 | |
派生ジャンル |
ジャズ・ロック (Jazz Rock) とはジャズ音楽のジャンルで、1960年代後半にジャズおよびロックより発展した音楽ジャンルである。欧米ではJazz fusion、あるいはジャズ・ロック・フュージョンの一部に含む考え方もある。
概要
1960年代には、ビートルズやローリング・ストーンズなどの電気楽器を使用したロックが台頭し、ジャズは退潮傾向となった。ジャズでも電気楽器(エフェクトを多用したエレクトリック・ギターや、エレクトリックピアノ)を使用したロック的サウンドを取り入れ、ロックでもジャズ的な長尺の即興演奏をするバンドが現れた。これがジャズ・ロックである。NYタイムズに寄稿したロバート・パーマーは、コマーシャルなポップ・ジャズと創造的なジャズ・ロックは区別するべきだと主張している。[2]
ジャズ・マンのマイルス・デイヴィスやジミー・スミス、ジョン・マクラフリン、ハービー・ハンコックらは音楽的試みとして、演奏に取り入れた。さらに、1970年代にはクロスオーバーや、商業主義的なポップ・ジャズのフュージョンへと変化していった。
1960年代末から70年代初頭にかけて、英国のロック及びジャズ系のミュージシャンがジャズ・ロック・アルバムを発表した。コロシアム[3]、ソフト・マシーンやニュークリアスらが代表格である。他にフィル・コリンズが在籍したブランドX、グラハム・コリアー、マイク・ウェストブルック、ニール・アードレイらがいた。[4]
アメリカのジャズ・ミュージシャンによる電気楽器の使用は、その後クロスオーバーなどに発展したが、英国でのロック系音楽家によるジャズ・ロックは1970年代後半に衰退した。英国以外では、イタリアのアルティ・エ・メスティエリをはじめ、欧州の各国でプログレ的なアプローチが試みられた。[5]
代表的なアーティスト
- アラン・ホールズワース
- アルティ・エ・メスティエリ
- イアン・カー
- ウェザー・リポート
- カルロス・サンタナ
- コロシアム、コロシアムII
- ゴング
- ジェフ・ベック
- ジョン・マクラフリン
- スティーリー・ダン
- ソフト・マシーン
- トニー・ウィリアムス・ライフタイム
- ニール・アードレイ
- ニュークリアス
- ハットフィールド・アンド・ザ・ノース
- ビリー・コブハム
- ビル・ブルーフォード
- ブライアン・オーガー・アンド・ザ・トリニティー
- ブランドX
- マイク・ウェストブルック
- マイルス・デイヴィス
- マハヴィシュヌ・オーケストラ
エレクトリック・ジャズ
ジャズ・サイドでロックの影響を受けたジャズメンは、それまでの4ビートのジャズにはなかった8ビートや16ビートを取り入れた。ただし、ジャズ・サイドから電気的アプローチをしたため、ジャズ・ロックとは若干異なる「エレクトリック・ジャズ」へと発展した[6]。マイルス・デイヴィスの「ビッチェズ・ブリューは」は、クロスオーバーが登場する以前は、エレクトリック・ジャズ、ジャズ・ロックの代表的なアルバムとして位置付けられた[7]。
- マイルス・デイヴィス『ビッチェズ・ブリュー』
- ハービー・ハンコック『ヘッド・ハンターズ』
- ジミー・スミス『ルート・ダウン』
脚注
- ^ a b Jazz-Rock Music Genre Overview - オールミュージック. 2021年12月29日閲覧。
- ^ Palmer, Robert (13 February 1977). “Jazz Pop—A 'Failed Art Music' Makes Good”. The New York Times
- ^ Deming, Mark. Colosseum Biography, Songs & Albums - オールミュージック. 2021年12月29日閲覧。
- ^ “Biography”. Neilardley.com. 14 January 2025閲覧。
- ^ プログレッシブ・ロック入門 p/.158
- ^ Electric Jazz Music Genre Overview - オールミュージック. 2021年12月29日閲覧。
- ^ Stuart Nicholson, JAZZ ROCK: a History, 1998
書籍
- 細川周平、後藤雅洋、村井康司、寺島靖国、小川隆夫、加藤総夫、柳沢てつや、北里義之、大村幸則、瀧口秀之、西島多恵子、山下泰司、黒田京子、桜井圭介、上野俊哉、米田栄、田辺秀樹、高橋順一、川竹英克、田村和紀夫、大宅緒、高見一樹、島原裕司、柴俊一『新版 ジャズを放つ』洋泉社、1997年2月、23頁。ISBN 4896912500。
- 『ヨーロッパのジャズ・ディスク1800』 ジャズ批評社 1998年3月
- 松井巧著『ブリティッシュ・ジャズ・ロック』 エクシードプレス〈EXCEED PRESS POP CULTURE SERIES〉1999年7
関連項目
ジャズ・ロック
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「プログレッシブ・ロック」の記事における「ジャズ・ロック」の解説
1970年前後にアメリカのジャズのマイルス・デイヴィスやイギリスのギタリスト、ジョン・マクラフリンらが伝統的な手法に縛られないエレクトリック・ジャズというスタイルを追求した。ロックでは英国人のジェフ・ベックなどが、ジャズ・ロックやフュージョンへのアプローチを見せていた。またイギリスのジャズ・ロックでは、イアン・カーのニュークリアス、マイク・ウェストブルック、ニール・アードレイ、ジョン・ハイズマンのコロシアムなど多くのアーティストがジャズとロックの融合に挑戦していた。(ブライアン・オーガーなどは1967年にはザ・トリニティーを結成していた)
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