1号ドックの建設開始とは? わかりやすく解説

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1号ドックの建設開始

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 14:58 UTC 版)

横須賀海軍施設ドック」の記事における「1号ドックの建設開始」の解説

ヴェルニーがドック使用する石材探し奔走する直前慶応3年1867年3月第1号ドック着工された。着工後慶応3年10月14日1867年11月9日)、大政奉還が行われ、続いて慶応3年12月9日1868年1月3日)に王政復古宣言され徳川幕府終焉し、新政府樹立されることになった慶応4年閏4月1日1868年5月22日)には新政府東久世通禧鍋島直大寺島宗則らが横須賀製鉄所来所し、横須賀製鉄所接収行った接収後、横須賀製鉄所事業重要性認識していた新政府は、これまでと変わることなく事業推進していくようヴェルニーに通告した1号ドック設計はヴェルニーとヴェルニーのもと建築課長務めていたL.F.フロランが行ったものと考えられている。1号ドック当初全長115メートル計画であったが、工事途中設計変更され、約9メートル長い全長124メートルとなった工事監督当初ツーロン造船所働いていたペリコが務めていたが、能力的に問題あったようでわずか2か月同じくツーロン造船所働いていたデュモン交代した。なお施工幕府海軍御用達であった橋本左衛門らが請け負った1号ドック工事は、まずドック予定地前の海を締切堤仕切ることから始められた。続いて締切堤内部海水抜きドック本体掘削開始された。ドック本体掘削続いてドックに石を組む作業が行われた。先述のように真鶴から熱海付近から運ばれ安山岩質の新小松石石材として使用された。石材購入代金当時金額で18370両であった一般的に船の修復用のドックは船の建設ドックよりも底の部分厚く造られる。これは既に完成された船の方が建造中の船よりも重いことによる。船の修復ドックとして建設され第1号ドックも、そのあたりの事情考慮され造られたと考えられるが、現在に至るまで現役使用され続けているために石組み具体的な方法厚さなどはこれまで確認されていない。また1号ドック石積みについては、東京大学生産技術研究所調査によれば西洋式直方体石材隙間無く組む方式と、日本式の「間知積み」と呼ばれる城の石垣を組む際に行われた方式折衷であった推察されている。なお、1号ドック建設中1867年慶応3年11月に、建設現場からナウマンゾウ下顎部分化石発見されている。 1号ドック完成し使用され続けてすでに百数十年が経過しているが、一部風化磨耗認められるものの、ドック形成している石材全体として健全な状態が保たれており、ヴェルニーが選び抜いた石材耐久性耐水性の高さは明らかである。2013年行われた1号ドック石材侵食状況についての調査によれば、最も侵食進んだ石材でも侵食深さは約10センチメートルであり、石材全体から見て四分の一深さであることが明らかとなったこの程度の侵食ではドック強度的に大きな問題発生するとは考えられない1号ドック使用したセメント購入代金石材の約3倍の56000両に達しており、ドック本体建設総費用の約45パーセントにも及んだ、これは当時日本生産不可であった水中でも固まる性質があるポルトランドセメント全量輸入したためと考えられる。またポルトランドセメント以外にも消石灰および火山灰からなるセメント併用したとの説もある。セメント掘削したドック断面石組み構築する際、裏込めとされた。つまりセメント現在の基礎コンクリートないし捨てコンクリート同様の役割と、掘削されドック壁面石組みとの充填剤役割果たしていると考えられるドック本体石組み完成するドック入り口部分建設が行われた。そこまで工事進んだ後に締切堤撤去なされる締切堤撤去後船舶ドック出入する際に支障とならぬよう、締切堤があった部分中心としたドック入り口付近海底浚渫した。浚渫終了後ドック入り口閉じる扉船がドック入り口設置され完成となった。なお扉船の購入費用は29568両に及び、他の工事費用と比較するかなりの高額であったことがわかる。 1号ドック明治4年1871年1月完成した明治4年2月8日1871年3月27日)には有栖川宮熾仁親王伊達宗城らが出席して1号ドック開業式が行われた。1号ドック特徴としてはドック底面となっている点が挙げられる一般的にドライドック排水効率的に行うために、ドックの奥から入り口向かってゆるやかな坂をなすよう建造される1号ドック底面水平に施工され理由は、ドック底面均一な勾配傾斜をつけることが技術的に困難であったからと考えられる。しかしやはりドック底が平であると作業上都合が悪かったようで、1号ドック続いて建造され3号ドック底面勾配つけられた。また現在のドック比較してもうひとつ大きな差は、ドック壁面階段状をしている点が挙げられる。これはフランス技術指導のもと建設され1号ドックは、フランス好んで建設していたドック壁面階段状をしたタイプになったものと考えられる階段式のドライドック船底平らでない船舶ドック入りに便利であり、そのような船舶ドック入り後、排水時に船体両側から支持棒で固定する必要があり、支持棒の設置のためにドック壁面階段状に施工される必要があったためである。また施工上も階段式の方が容易であった1号ドック建設場所地盤良く湧水少量であった考えられ土留め止水壁用いことなく工事が可能であった考えられるが、例えば海を締切堤仕切るような大規模な海上での工事は、これまで日本では行われた経験がないもので、やはり工事は困難であった考えられる。またこのような大きな近代的な海洋土木工事を、幕末から明治初年という時期初め取り組むこと自体工事進めていく組織作り運営材料輸送搬入などにも大きな困難が伴った考えられる1号ドック完成後百数十年余り、これまで改修補修行われているものの、今なお現役使用され続けている。これは財政破綻状態であった幕末期にあえて建設開始されたことを始め数多く大きな困難の中で建設され1号ドックであるが、ヴェルニーの選定した建設場所石材優秀さ、そして施工確かさ技術力の高さを示している。 なお、1号ドック排水ポンプ2号ドック兼用であり、ドック石積み護岸一部補修等は行われているが、ドック建設当初幕末から明治初年のものが残っている。

※この「1号ドックの建設開始」の解説は、「横須賀海軍施設ドック」の解説の一部です。
「1号ドックの建設開始」を含む「横須賀海軍施設ドック」の記事については、「横須賀海軍施設ドック」の概要を参照ください。

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