007 オクトパシー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/27 08:16 UTC 版)
ナビゲーションに移動 検索に移動『007 オクトパシー』(ダブルオーセブン オクトパシー、Octopussy)は、1983年公開、ジョン・グレン監督のスパイアクション映画。007シリーズ第13作目。また、イアン・フレミングの第2短編集であり、本映画の原作としては、表題作の他『所有者はある女性』が使用されている。
小説
"Octopussy" (または、"Octopussy and The Living Daylights")はイアン・フレミングの小説007シリーズ第2短編集(単行本としては14冊目でフレミング作としては最後)で、1966年、ジョナサン・ケープより出版された。日本では1966年に『007号/ベルリン脱出』のタイトルで、早川書房から井上一夫訳によりハヤカワ・ポケット・ミステリで発売され、1983年に文庫化された際『オクトパシー』に改題された。
収録作
- オクトパシー(007号の追求) - Octopussy
- 本映画『007 オクトパシー』の原作。"PLAYBOY" 1966年3月号・4月号掲載。
- あらすじ 金塊を持ち逃げした、デクスター・スマイス少佐はボンドに連行され軍法会議にかけられようとしていた。彼は、最後の時の前に自分が起こした事件を回想していた。
- 所有者はある女性(007号の商略) - The Property of a Lady
- 本映画のもう一つの原作。"PLAYBOY" 1965年1月号掲載。
- あらすじ 英国諜報部のソ連に寝返ったマリア・フロイデンスタインにソ連は、二重スパイの報酬として、ファベルジュの卵をサザビーのオークションに出し、その利益を与えようとしていた。報酬額を増やすために、ファベルジュの卵の値を上げようとする人物を国外追放するために、ボンドはサザビーのオークションに出席する。
- ベルリン脱出 - The Living Daylights (Berlin Escape)
- 映画『007 リビング・デイライツ』の原作。Argosy1962年掲載。
- あらすじ 東側に潜入していた英国諜報部のエージェントが、機密情報を持ってベルリンを経由して脱出しようとしていた。ボンドはKGBスナイパー「トリガー」からエージェントを守るため、「トリガー」を狙撃するよう命じられる。エージェントが脱出する前、ボンドは向かいで行われていたオーケストラの一員の金髪の若い女性に目を奪われていた。いざエージェント脱出の時、向かいの窓からライフルを持って現れたのは、あの金髪の女性だった。
- 007 in New York (Agent 007 in New York)
- 早川書房版未収録。New York Herald Tribune1963年10月掲載。
- 『007号/世界を行く』アメリカ版のため執筆された短編
- あらすじ ボンドはガールフレンドのソランジュとスクランブルエッグのレシピについて思い浮かべる。
出版
- イアン・フレミング『オクトパシー』井上一夫訳、早川書房、1983年6月15日。ISBN 9784150706593。
- Fleming, Ian (2009-10-1) (英語). Octopussy and The Living Daylights. Penguin. ISBN 978-0141045092
映画
007 オクトパシー | |
---|---|
Octopussy | |
監督 | ジョン・グレン |
脚本 | ジョージ・マクドナルド・フレーザー リチャード・メイボーム マイケル・G・ウィルソン |
原作 | イアン・フレミング |
製作 | アルバート・R・ブロッコリ |
製作総指揮 | マイケル・G・ウィルソン |
出演者 | ロジャー・ムーア モード・アダムス ルイ・ジュールダン クリスティナ・ウェイボーン カビール・ベディ スティーヴン・バーコフ |
音楽 | ジョン・バリー |
主題歌 | 「All Time High」リタ・クーリッジ |
撮影 | アラン・ヒューム |
編集 | ジョン・グローバー |
製作会社 | ダンジャック イーオン・プロダクションズ メトロ・ゴールドウィン・メイヤー ユナイテッド・アーティスツ |
配給 | ![]() ![]() ![]() |
公開 | ![]() ![]() ![]() |
上映時間 | 130分 |
製作国 | ![]() ![]() |
言語 | 英語 |
製作費 | $27,500,000[1] |
興行収入 | ![]() |
配給収入 | ![]() (1983年度洋画配給収入4位) |
前作 | 007 ユア・アイズ・オンリー |
次作 | 007 美しき獲物たち |
ジョン・グレン監督の2作目。前作『007 ユア・アイズ・オンリー』のシリアス路線からロジャー・ムーアの持ち味を活かしたコミカル路線へと戻っている。アクションも多く取り入れ、列車の屋根の上での敵との肉弾戦やラストのセスナ機の格闘など見所も多い。また、非イオンプロ作品の『ネバーセイ・ネバーアゲイン』と同年に公開され、二人のジェームズ・ボンド(ショーン・コネリーとロジャー・ムーア)の戦いは注目を集めた。結果として本作が興行収入2位で勝利する。(ネバーセイ・ネバーアゲインは興行収入4位)
スタッフ
- 監督 - ジョン・グレン
- 製作 - アルバート・R・ブロッコリ
- 原案・脚本 - ジョージ・マクドナルド・フレーザー、リチャード・メイボーム、マイケル・G・ウィルソン
- 制作総指揮 - マイケル・G・ウィルソン
- 撮影 - アラン・ヒューム
- 編集 - ジョン・グローバー
- 音楽 - ジョン・バリー
- 主題歌「オール・タイム・ハイ」
- プロダクション・デザイン - ピーター・ラモント
- 美術 - ジョン・フェンナー
- 特殊効果 - ジョン・リチャードスン
- メインタイトルデザイン - モーリス・ビンダー
キャスト
- ジェームズ・ボンド - ロジャー・ムーア
- オクトパシー - モード・アダムス
- カマル・カーン - ルイ・ジュールダン
- オルロフ将軍 - スティーヴン・バーコフ
- マグダ - クリスティナ・ウェイボーン
- ミーシカ - デビッド・マイヤー
- グリーシカ - アンソニー・マイヤー
- ゴビンダ - カビール・ベディ
- M - ロバート・ブラウン
- グレイ国防大臣 - ジョフリー・キーン
- Q - デスモンド・リュウェリン
- マニーペニー - ロイス・マクスウェル
- ビジャイ - ビジャイ・アムリトラジ
- ゴゴール将軍 - ウォルター・ゴテル
- サドルディン - アルバート・モーゼス
- ジム・ファニング - ダグラス・ウィルマー
- ビアンカ - ティナ・ハドソン
- レンキン - ピーター・ポーチェス
- 米空軍司令補佐官 - リチャード・ルパルメンティエ
ストーリー
ボンドは中南米某国のトロ大佐に変装し、開発中の高性能偵察機を破壊すべく侵入していた。本物の大佐に見つかり一旦は拘束され、仕掛けた爆弾も撤去されるが、CIA女性アシスタントのビアンカが敵兵を誘惑して注意を逸らした隙に超小型ジェット機(通称:アクロスター)で逃走。地対空ミサイルに追尾されるものの、前述の偵察機の格納庫内をすり抜けた直後にミサイルが格納庫を直撃、結果的に任務に成功する。
その頃、東ベルリンでピエロに成りすましサーカス団に潜入していた009は『レディーの卵(ファベルジュの卵)』(ロシア皇帝献上品)を持ち出したのを見つかり、サーカス団の双子の投げナイフ芸人兄弟ミーシカとグリーシカに致命傷を負わされ、ベルリン英国大使館公邸に『卵』を持ち込み死亡する。
ボンドはMと美術鑑定部ファニングから、サザビーズのオークションに参加して『レディーの卵』の秘密をつかむように指令を受ける。ボンドらはソ連の外貨稼ぎと考えていたが、売り専門のカマル・カーンがレディーの卵を買うのに不審感を抱き、ボンドはオークション会場で出展品を手に取って確かめる振りをして、発信機を仕込んだニセ物とすり替えた。
ボンドはカマルを追ってインドへ。ホテルのカジノで彼とバックギャモンで対決し、彼のいかさまを逆手にとって勝利する。ボンドはカマルと行動を共にする女性マグダに接近するが卵を奪われ、自らもカマルの屋敷に捕らえられる。部屋から抜け出したボンドはソ連軍のオルロフ将軍が屋敷を来訪し、カマルが用意した偽物の宝飾品を運び出し、二人がカール=マルクス=シュタットでの再会を約する現場を目撃する。間一髪でカマルの屋敷から脱出したボンドは、マグダの主人である謎の女性オクトパシーが住む屋敷に潜入する。しかし、そのオクトパシーこそが、サーカス団に偽装した宝石泥棒一味のリーダーであった。ボンドはオクトパシーに一味に入るよう誘われたが断り、またしても捕らえられてしまう。
そして事件の背後には、カマルと組んだソ連タカ派のオルロフ将軍の陰謀が隠されていた。西側諸国と武力衝突に至る可能性が低いというKGBの情勢分析に耳を貸さないオルロフは、盗んだ宝石をサーカス列車で密輸しているオクトパシーにロシアの宝飾品を西ドイツへ密輸させる。しかし実はそのサーカスの人間大砲に核爆弾を仕掛け、興行先の米空軍基地で核テロを起こそうとしていたのだ。列車に潜入したボンドは、カマルたちが核爆弾の時限装置を起動させる現場を目撃するが発見され、追われるうちに列車から転落する。一方、オルロフ将軍は東西ドイツ国境の駅で列車に駆け寄ろうとして警備兵に撃たれ、駆け付けたKGBのゴーゴル将軍の目前で絶命するが、「明日になればソ連邦英雄だ」との言葉を遺す。
ボンドはたどり着いた西ドイツの町で自動車を奪い、地元警察に追跡されながらも、サーカス団が上演を始めた米空軍基地に突入。とっさの判断でサーカス団のピエロに変装したボンドは客席の基地司令やオクトパシーに爆弾の存在を訴えるが、突然のことで信用されない。警備兵や警察官、サーカス団員たちが入り乱れる混乱の中、遂に爆弾が見付かり、ボンドは爆発の寸前で起爆装置の取り外しに成功する。
カマルはオクトパシーたちを見殺しにする形でインドに戻り、逃亡の用意を進めていた。そこへオクトパシーが一味を率いて攻め込み、空からボンドも合流する。オクトパシーを捕らえたカマルは邸宅を脱出し、双発の小型飛行機に乗って飛び立つが、離陸の寸前に跳び乗ったボンドが片方のエンジンを停止させ、昇降舵の動きを妨げたことで飛行機ごと墜落。ボンドは墜落の直前にオクトパシーと脱出し、生還を果たす。
映画評
『オクトパシー』は、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーが携わった最初のボンド映画で、MGMは以前の映画の製作・配給を担当していたユナイテッド・アーティスツを買収していた。本作のプレミアは、1983年6月6日にオデオン・レスター・スクエアで行われ、チャールズ王子とダイアナ王妃が出席した。この映画の収益は、前作よりわずかに少なかったが、それでも1億8750万ドルと巨額であり、米国だけで6780万ドルだった。西ドイツでは、300万枚以上のチケットを販売したことで、ゴールデンスクリーン賞を受賞した。
この映画はさまざまなレビューを受けた。レビュー・サイトの「Rotten Tomatoes」では、45件のレビューに基づき「42%」の評価だった。ニューヨークタイムズのために執筆しているヴィンセントキャンビーは、映画を称賛しながら一方では、「話の多くは理解できない」と矛盾した感想を述べた。 ジェームス・ベラーディネリは、映画が長いと主張し強く批判した。スティーヴン・バーコフは、 『非常に悪い』と最悪のパフォーマンスを指摘した。論争のポイントは、ボンドがピエロの衣装、ゴリラの衣装に身を包み、ジャングルの追跡中にターザンの叫びをしているコメディーシーンで、これが評論家にとっては怒りの材料になったようである。
興行成績
本作は1983年の映画の世界興行成績ランキングで、『スター・ウォーズ ジェダイの復讐』に次ぐ第2位にランクインした。ショーン・コネリーがジェームズ・ボンド役に復帰した「番外編」である『ネバーセイ・ネバーアゲイン』の第4位を凌いだが、この年は2本の007映画が上位を占める結果となった[3]。日本では1983年度の外国映画配給収入で第4位だった[4](『ネバーセイ・ネバーアゲイン』は1984年度の外国映画配給収入で第6位であった[5])。米国では1980年代の007シリーズ最大のヒットとなった。
キャラクター・キャスト
- 本作は経営危機に瀕したUAを買収したMGMが手掛けたシリーズ最初の作品で、ロジャー・ムーアは前作を最後に「いったん降板を表明」し、また、M役のバーナード・リーも故人となっていたため、シリーズ初のリブートを試み、ボンド役にジェームズ・ブローリン、マネーペニー役にミカエル・クラヴェルをキャスティング、製作しようとしたが、かねてより噂されていたショーン・コネリーとケヴィン・マクローリーによる『サンダーボール作戦』のリメイク作品『WARHEAD(後の『ネバーセイ・ネバーアゲイン』)』の製作開始が不可避の状況になり、しかも、その主演をロジャー・ムーアが務めるという情報が流れ、例え製作規模で勝っても認知度の高い二大ボンド対馴染みのない新ボンドではあまりにも分が悪いと判断したMGMはブローリンの出演をキャンセル、コネリ-×ムーアのタッグを引き離すため、ムーアに破格の出演料を提示、翻意させることに成功。認知度、規模、スタッフの錬度など、総合的に『ネバーセイ・ネバーアゲイン』を上回り、興行面でも上回った。2代目のマネーペニーになる予定だったクラヴェルは結局、ロイス・マクスウェル扮する初代マネーペニーの助手、ペネロプ・スモールボーン役になり、本作のみの出演となる。とはいえ、原語版でボンドはマネーペニーのことをしばしば「ペニー」と呼んでおり、ペネロプの愛称も「ペニー」であることから、マネーペニーの後釜に据えることを想定していたことが窺える。また、新M役にはムーアが友人でシリーズの出演歴もあるロバート・ブラウンを推薦した。因みにクラヴェルは戦争映画の名作『大脱走』の脚本を書き、作家としても『将軍 SHŌGUN』などのベスト・セラーを持つジェームズ・クラヴェルの娘である。
- モード・アダムスは『黄金銃を持つ男』に続き、役柄を変えての二度目の出演で、この後に『美しき獲物たち』でもカメオ出演した[6]。シリーズ中三作品に登場したボンドガールは彼女のみ。また、メインのボンドガール最年長記録を更新。
- 当初、オクトパシー役はフェイ・ダナウェイに打診したが、条件が合わず、続いてバーバラ・カレラにオファーを出すが、彼女は皮肉にも『ネバーセイ・ネバーアゲイン』への出演を決めた後だった。
- 今回はマネーペニーに新しく助手としてペネロプ・スモールボーンを迎えている。マネーペニーから「細部にわたるおぞましい説明」を受けてボンドに興味をなくす。マネーペニーの後任と噂されたこともあったが、MI6の他の部署に異動されたため以来登場していない。
- 『ムーンレイカー』までMを演じていたバーナード・リーが前作『ユア・アイズ・オンリー』の撮影直前に死去したため(同作ではMは登場せず、休暇中という設定でMの代わりに情報部の幕僚主任ビル・タナーがボンドに指令を出していた)、今作よりロバート・ブラウンが新任のMを演じている。この人物は、『私を愛したスパイ』で潜水艦に乗船していたハーグリーヴス提督[7]。前任のMはボンドが一般任務の頃からの付き合いのため、ボンドの類稀な能力や資質を認めて、彼の破天荒な仕事ぶりと快楽主義的な生き方に対しても比較的寛容だった(立場上は注意している)が、このMはそれとは異なり、ボンドの評判や人間性を侮るような態度を見せている。ロバートは『消されたライセンス』までMを演じ、2003年に他界。『ゴールデンアイ』ではこのMについて一言だけセリフが存在する。
- ビジャイ役のビジャイ・アムリトラジは、当時現役のインド人プロテニス・プレーヤーだった(ウィンブルドン選手権と全米オープンの男子シングルスで、それぞれ2回ずつ準々決勝進出。世界ランキング最高16位)。本作でもテニス・ラケットを武器にするシーンがある。
- 日本での公開に先立って、ロジャー・ムーア本人が来日(3度目)。「笑っていいとも!」、「夜のヒットスタジオ」などにゲスト出演もした。なお、後者にはリタ・クーリッジもゲストで出演し、スタジオで映画主題歌を熱唱した。
- 映画化するにあたって題名の“OCTOPUSSY”の後半が英語では卑猥な単語のため、主演のモード・アダムズは当初嫌がったという[6]。
- 1982年8月22日、本作の製作準備中だったプロダクション・デザイナーのピーター・ラモントの乗った旅客機が、インド国内でハイジャックされた。隣の乗客に自分が007映画関係者であることを話すと、秘密兵器はないのか聞かれたという。
- 列車でのアクションの撮影中、ボンドのスタントとして車両の側面につかまっていたマーティン・グレイスは、コンクリートの柱に接触して「全治六か月の重傷」を負った。
主題歌
アメリカの女性シンガー、リタ・クーリッジが起用され、映画とは別タイトルの「All Time High」が主題歌となった。イギリスの「ミュージック・ウィーク」誌では、最高位75位、アメリカの「ビルボード」誌では、最高位36位と両国共にチャートでは振るわなかった。さらに、ジョン・バリーが担当した同サウンドトラック・アルバムは、チャート入りを果たせなかった。
エピソード
- サザビーズを出たボンドは、ボンドストリートの売店で雑誌を買う(ロンドンのサザビーズは、実際にボンドストリート沿いにある)。
- デリーに向かったカマル・カーンを追ったボンドは、ヘリコプターでタージ・マハル付近を通り、ヤムナー川に着水する。
- インドのロケは、デリーという設定のシーンも含め、大部分がウダイプルで行われた。カマル・カーンの宮殿は、同地ピチョーラー湖畔の山頂にあるモンスーン・パレス、オクトパシーの宮殿はピチョーラー湖に浮かぶ小島に建てられたレイク・パレスで撮影された。レイク・パレスはマハーラーナー(王侯)の宮殿だったが、ホテルに改装されており、ボンドが劇中で投宿したホテルも、ここで撮影されている。撮影中は、出演者の宿泊先ともなった。
- オクトパシーが移動に使う列車は、イギリスのニーン渓谷鉄道(Nene Valley Railway)で撮影された。
- ジョン・グレン監督が好んで使ったのは「鳩」。今回は、ボンドがモーンスーン・パレスの壁面を移動する際、急に飛び立つ。
- 蛇使いに変装したビジャイが、最初にボンドと落ち合う際の合図に、笛で「ジェームズ・ボンドのテーマ」を吹く。
- カマルに追われて逃げるボンドが、木から木へ飛び移る際、ターザンの雄たけびを上げる。この声は、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーが、ターザン映画のために作り上げたものである。第1作よりイオン・プロと共同で007シリーズの製作を行ってきたユナイテッド・アーティスツは、1981年にMGMに買収されていた。
- ボンドが携行する拳銃はワルサーP5。しかし、ボンドはなぜかワルサーPPKと呼ぶ。
- サーカス団の列車が東ドイツから西ドイツへ越境する場面で、西ドイツ側に You are entering the American Sector の文字が書かれている。この掲示はアメリカが管理する西ベルリンの検問所にのみ設けられていたもので、東西ドイツ直接の検問所にはなかった。
- 東ドイツ駐留ソ連軍の陸軍兵士や東ドイツ国境警備隊の隊員がAK-47を、KGB兵士はステアーAUGを携行している。
- カマルの私兵たちはVZ58アサルトライフル、SKSカービン、リー・エンフィールド No.4小銃など雑多な小火器で武装している。
- 西ドイツ駐留アメリカ空軍基地の所在地であるフェルトシュタットは架空の地名である。ただし、旧東ドイツのシュヴェリーン市には同名のフェルトシュタット区がある。なお物語の後半でボンドが奪う乗用車にはバイロイトを、彼を追うバイエルン州警察の車輛にはニュルンベルクをそれぞれ示すナンバープレートが取り付けられている。
- 本作はシリーズ史上初めて、主題歌(“All Time High”)の歌詞の中に作品のタイトル(“Octopussy”)が織り込まれていない作品となった。また、作品タイトルと主題歌のタイトルが異なるのは『私を愛したスパイ』(原題=“The Spy Who Loved Me”、主題歌=“Nobody Does It Better”)以来、2作品めである。
- 2012年に公開されたコメディ映画『テッド』では、本作が主人公のジョンと恋人のローリーの思い出の映画という設定で、作中でジョンがローリーと復縁する為に、ノラ・ジョーンズのライブに飛び入り参加して本作の主題歌「All Time High」を歌うも、音程がずれた散々な歌唱の為に大ブーイングを浴びるシーンが挿入された。
日本語吹替
役名 | 俳優 | TBS版 | DVD/BD版 | 機内上映版 |
---|---|---|---|---|
ボンド | ロジャー・ムーア | 広川太一郎 | 羽佐間道夫 | |
オクトパシー | モード・アダムス | 来宮良子 | 唐沢潤 | |
カーン | ルイ・ジュールダン | 田口計 | 森田順平 | |
マグダ | クリスティナ・ウェイボーン | 榊原良子 | 櫨山めぐみ | |
オルロフ | スティーヴン・バーコフ | 坂口芳貞 | 成田剣 | |
ゴゴール | ウォルター・ゴテル | 大宮悌二 | 島香裕 | |
M | ロバート・ブラウン | 石森達幸 | 中博史 | |
マニーペニー | ロイス・マクスウェル | 好村俊子 | 泉裕子 | |
Q | デスモンド・リュウェリン | 丸山詠二 | 白熊寛嗣 | |
サドルディン | アルバート・モーゼス | 沢木郁也 | 宗矢樹頼 | |
ビジャイ | ビジャイ・アムリトラジ | 秋元羊介 | 羽多野渉 | |
ゴビンダ | カビール・ベディ | 西村知道 | 五王四郎 | |
ミシカ/グリシカ | デイヴィッド・マイヤー アンソニー・マイヤー |
星野充昭 | ||
グレイ国防大臣 | ジェフリー・キーン | 伊井篤史 | 佐々木省三 | |
ジム・ファニング | ダグラス・ウィルマー | 加藤正之 | 佐々木睦 | |
ビアンカ | ティナ・ハドソン | 伊倉一恵 | ||
ペネロプ・スモールボーン | ミカエラ・クラヴェル | 滝沢ロコ | ||
ソビエト連邦議長 | ポール・ハードウィック | 小関一 | ||
レンキン | ピーター・ポーテウス | 塚田正昭 | ||
シェッツィ | ブレンダ・カウリング | 巴菁子 | ||
赤い車のティーンエイジャー | ゲイリー・ラッセル | 菅原淳一 |
- TBS版 - 初回放送1988年9月6日20:00-22:24 『ザ・ロードショー』※キングレコードから発売の特別版DVDに収録。
- ※「ザ・ロードショー」で延長枠初放映された唯一の007作品(本編約122分)。
- プロデューサー - 上田正人、演出 - 小山悟、翻訳 - 木原たけし、効果 - 遠藤堯雄/桜井俊哉、調整 - 小野敦志、製作 - 東北新社/TBS
- DVD/BD版 - 初出2006年11月22日発売 DVD アルティメット・コレクション
- 演出 - 福永莞爾、翻訳 - 谷津真理、調整 - 金谷和美、製作 - 東北新社
秘密兵器
- 超小型ジェット機アクロスター(米国 Bede Aircraft 社製造のBD-5 )
- 日本のメイカーの腕時計を、二種類使用。一つはデジボーグで、ファベルジュの卵に仕込まれた発信機の電波に反応し、場所を探知した。もう一つはTVウォッチで、ボンドがカマルの宮殿に突入する際、Qがカメラで撮影した映像を受信し、液晶画面に映し出した[8][9][10]。
- Qは前述のカメラを搭載した熱気球を自ら操縦しながら、カマルの宮殿に突入するボンドを支援する。気球にはユニオンジャックのカラーリングが施されている。
- モンブランの万年筆。封入された強酸で、鉄格子を溶解。ファベルジュの卵に仕込まれた盗聴器の受信機にもなっている。
参照
- ^ a b “Octopussy” (英語). The Numbers. 2009年6月21日閲覧。
- ^ 1983年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
- ^ “Movie list by worldwide gross” (英語). WorldwideBoxoffice.com. 2009年6月21日閲覧。
- ^ “日本映画産業統計”. 日本映画製作者連盟. 2009年6月22日閲覧。
- ^ “日本映画産業統計”. 日本映画製作者連盟. 2009年6月22日閲覧。
- ^ a b “Interview with Maud Adams” (英語). (2004年9月4日) 2009年7月9日閲覧。
- ^ 実際にロバート・ブラウンはハーグリーヴスを演じている。
- ^ ボンドウォッチプロジェクト リンク切れ
- ^ Q Branch at Her Majesty's Secret Servant
- ^ James Bond Gadget Watch History at Watchismo Times
外部リンク
- 007 オクトパシー - allcinema
- 007 オクトパシー - KINENOTE
- 007 オクトパシーのチラシ - ぴあ
- 007 Octopussy - オールムービー(英語)
- 007 Octopussy - IMDb(英語)
007/オクトパシー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/17 23:55 UTC 版)
007/オクトパシー | |
---|---|
Octopussy | |
監督 | ジョン・グレン |
脚本 | ジョージ・マクドナルド・フレーザー リチャード・メイボーム マイケル・G・ウィルソン |
原作 | イアン・フレミング |
製作 | アルバート・R・ブロッコリ |
製作総指揮 | マイケル・G・ウィルソン |
出演者 | ロジャー・ムーア モード・アダムス ルイ・ジュールダン クリスティナ・ウェイボーン カビール・ベディ スティーヴン・バーコフ ロバート・ブラウン ジョフリー・キーン デスモンド・リュウェリン ロイス・マクスウェル |
音楽 | ジョン・バリー |
主題歌 | 「All Time High」 リタ・クーリッジ |
撮影 | アラン・ヒューム |
編集 | ジョン・グローバー |
製作会社 | イーオン・プロダクションズ ダンジャック メトロ・ゴールドウィン・メイヤー ユナイテッド・アーティスツ |
配給 | ![]() ![]() ![]() |
公開 | ![]() ![]() ![]() |
上映時間 | 130分 |
製作国 | ![]() ![]() |
言語 | 英語 |
製作費 | $27,500,000[1] |
興行収入 | ![]() ![]() ![]() |
配給収入 | ![]() |
前作 | 007/ユア・アイズ・オンリー |
次作 | 007/美しき獲物たち |
『007/オクトパシー』(ダブルオーセブン オクトパシー、原題: Octopussy)は、ジョン・グレン監督の1983年のスパイアクション映画。映画「ジェームズ・ボンド」シリーズの第13作目。
ジョン・グレン監督の2作目。前作『007/ユア・アイズ・オンリー』のシリアス路線からロジャー・ムーアの持ち味を活かしたコミカル路線へと戻っている。アクションも多く取り入れ、列車の屋根の上での敵との肉弾戦やラストのビーチクラフト機の格闘など見所も多い。また、非イオン・プロ作品の『ネバーセイ・ネバーアゲイン』と同年に公開され、二人のジェームズ・ボンド(ショーン・コネリーとロジャー・ムーア)の戦いは注目を集めた。結果として本作が興行収入2位で勝利する。(『ネバーセイ・ネバーアゲイン』は興行収入4位)。
ストーリー


ボンド(ロジャー・ムーア)は中南米某国のトロ大佐に変装し、開発中の高性能偵察機を破壊すべく空軍基地に侵入していた。本物の大佐に見つかり一旦は拘束され、仕掛けた爆弾も撤去される。基地の外に連行されたボンドは、CIA女性アシスタントのビアンカが敵兵を誘惑して注意を逸らした隙に、用意していた超小型ジェット機(通称:アクロスター)で逃走。地対空ミサイルに追尾されるものの、前述の偵察機の格納庫内をすり抜けた直後にミサイルが格納庫を直撃、結果的に任務に成功する。
その頃、東ベルリンでピエロに成りすましサーカス団に潜入していた009は『レディーの卵(ファベルジュの卵)』(ロシア皇帝献上品)を持ち出したのを見つかり、サーカス団の双子の投げナイフ芸人兄弟ミーシカとグリーシカに致命傷を負わされ、西ベルリン英国大使館公邸に『卵』を持ち込み死亡する。
ボンドはM(ロバート・ブラウン)と美術鑑定部ファニング(ダグラス・ウィルマー)から、サザビーズのオークションに参加して『レディーの卵』の秘密をつかむように指令を受ける。ボンドらはソ連の外貨稼ぎと考えていたが、売り専門のアフガニスタン亡命貴族であるカマル・カーン(ルイ・ジュールダン)が現れてレディーの卵を買おうとするのに不審感を抱き、ボンドはオークション会場で出展品を手に取って確かめる振りをして、発信機を仕込んだニセ物とすり替えた。
ボンドはレディーの卵を相場以上の高額で落札したカマルを追ってインドへ。ホテルのカジノで彼とバックギャモンで対決し、彼のいかさまを逆手にとって勝利する。ボンドはカマルと行動を共にする女性マグダ(クリスティナ・ウェイボーン)に接近するが卵を奪われ、自らもカマルの居城に捕らえられる。部屋から抜け出したボンドはソ連軍のオルロフ将軍(スティーヴン・バーコフ)が城を来訪し、カマルが用意した偽物の宝飾品を運び出し、二人がカール=マルクス=シュタットでの再会を約する現場を目撃する。間一髪でカマルの城から脱出したボンドは、マグダの主人で、カマルのビジネスパートナーでもある謎の女性オクトパシー(モード・アダムス)が住む湖の城に潜入する。しかし、多数の女性を配下に従えたオクトパシーこそ、表向きこそサーカス団を含めたビジネスを多角展開しているが、裏では宝石泥棒一味のリーダーであった。ボンドはオクトパシーに一味に入るよう誘われたが断り、またしても捕らえられてしまう。
そして事件の背後には、カマルと組んだソ連タカ派のオルロフ将軍の陰謀が隠されていた。NATOとの軍縮交渉を進めても国益を損なわないというKGBの情勢分析に耳を貸さず、優勢な兵力を背景に西ヨーロッパへの侵攻を主張するオルロフは、盗んだ宝石をサーカス列車で密輸しているオクトパシーにロシアの宝飾品を西ドイツへ運ばせる。しかし実は人間大砲に隠した宝飾品を核爆弾にすりかえ、興行先の米空軍基地で核テロを起こそうとしていたのだ。ベルリンで東ドイツに入ったボンドは、カール=マルクス=シュタットでの公演を終えたサーカス団の列車に潜入して、カマルたちが人間大砲を貨車ごとすりかえ、核爆弾の時限装置を起動させる現場を目撃する。いったんはオルロフを抑えるがソ連兵たちと銃撃戦になり、人間大砲から抜き取られた宝飾品を積んだ彼の公用車を奪い、西ドイツへ向かったサーカス団の列車を追う。列車に乗り移ったボンドはカマル一味に見つかり、追われるうちに列車から転落する。一方、ボンドの登場に焦るオルロフ将軍は、東西ドイツ国境の駅で列車に駆け寄ろうとして東ドイツ警備兵に撃たれ、駆け付けたKGBのゴーゴル将軍(ウォルター・ゴテル)の目前で絶命するが、「明日になればソ連邦英雄だ」との言葉を遺す。
ボンドはたどり着いた西ドイツの町で自動車を奪い、地元警察に追跡されながらも、サーカス団が上演を始めた米空軍基地に突入。とっさの判断でサーカス団のピエロに変装したボンドは客席の基地司令やオクトパシーに爆弾の存在を訴えるが、突然のことで信用されない。しかし宝飾品のひとつ「ロマノフの星」をボンドから見せられたことで、オクトパシーは裏切られていたことを悟る。警備兵や地元警察官、サーカス団員たちが入り乱れる混乱の中、遂に爆弾が見付かり、ボンドは爆発の寸前で起爆装置の取り外しに成功する。
カマルはオクトパシーたちを見殺しにする形でインドに戻り、逃亡の用意を進めていた。そこへオクトパシーが一味を率いて攻め込み、空からボンドとQも合流する。オクトパシーを捕らえたカマルは邸宅を脱出し、双発の小型飛行機に乗って飛び立つが、離陸の寸前に跳び乗ったボンドが片方のエンジンを停止させ、昇降舵の動きを妨げたことで飛行機ごと墜落。ボンドは墜落の直前にオクトパシーと脱出し、生還を果たす。
キャスト

- ジェームズ・ボンド - ロジャー・ムーア
- オクトパシー - モード・アダムス
- カマル・カーン - ルイ・ジュールダン
- オルロフ将軍 - スティーヴン・バーコフ
- マグダ - クリスティナ・ウェイボーン
- ミーシカ - デビッド・マイヤー
- グリーシカ - アンソニー・マイヤー
- ゴビンダ - カビール・ベディ
- M - ロバート・ブラウン
- グレイ国防大臣 - ジョフリー・キーン
- Q - デスモンド・リュウェリン
- マネーペニー - ロイス・マクスウェル
- ビジャイ - ビジャイ・アムリトラジ
- ゴゴール将軍 - ウォルター・ゴテル
- サドルディン - アルバート・モーゼス
- ジム・ファニング - ダグラス・ウィルマー
- ビアンカ - ティナ・ハドソン
- レンキン - ピーター・ポーチェス
- スミサーズ - ジェレミー・ブロック
- 米空軍司令官 - ブルース・ボア
- 米空軍司令補佐官 - リチャード・ルパルメンティエ
スタッフ
- 監督 - ジョン・グレン
- 製作 - アルバート・R・ブロッコリ
- 原案・脚本 - ジョージ・マクドナルド・フレーザー、リチャード・メイボーム、マイケル・G・ウィルソン
- 制作総指揮 - マイケル・G・ウィルソン
- 撮影 - アラン・ヒューム
- 編集 - ジョン・グローバー
- 音楽 - ジョン・バリー
- 主題歌「オール・タイム・ハイ」
- プロダクション・デザイン - ピーター・ラモント
- 美術 - ジョン・フェンナー
- 特殊効果 - ジョン・リチャードスン
- メインタイトルデザイン - モーリス・ビンダー
- 日本語字幕 - 戸田奈津子[3]
興行成績
本作は1983年の映画の世界興行成績ランキングで、『スター・ウォーズ/ジェダイの復讐』に次ぐ第2位にランクインした。ショーン・コネリーがジェームズ・ボンド役に復帰した「番外編」である『ネバーセイ・ネバーアゲイン』の第4位を凌いだが、この年は2本の007映画が上位を占める結果となった[4]。日本では1983年度の外国映画配給収入で第4位、全体配給収入6位だった[5](『ネバーセイ・ネバーアゲイン』は1984年度の外国映画配給収入で第6位であった[6])。米国では1980年代の007シリーズ最大のヒットとなった。
主題歌
アメリカの女性シンガー、リタ・クーリッジが起用され、映画とは別タイトルの「All Time High」が主題歌となった。イギリスの「ミュージック・ウィーク」誌では、最高位75位、アメリカの「ビルボード」誌では、最高位36位と両国共にチャートでは振るわなかった。さらに、ジョン・バリーが担当した同サウンドトラック・アルバムは、チャート入りを果たせなかった。
エピソード
![]() |
この節に雑多な内容が羅列されています。
|



- ソ連指導者を演じたポール・ハードウィックは、当時のソ連最高会議幹部会議長レオニード・ブレジネフに風貌を似せて出演した。しかしブレジネフ当人は映画が公開される前の1982年11月に他界してしまった。
- サザビーズを出たボンドは、ボンドストリートの売店で雑誌を買う(ロンドンのサザビーズは、実際にボンドストリート沿いにある)。
- デリーに向かったカマル・カーンを追ったボンドは、ヘリコプターでタージ・マハル付近を通り、ヤムナー川に着水する。
- インドのロケは、デリーという設定のシーンも含め、大部分がウダイプルで行われた。カマル・カーンの宮殿は、同地ピチョーラー湖畔の山頂にあるモンスーン・パレス、オクトパシーの宮殿はピチョーラー湖に浮かぶ小島に建てられたレイク・パレスで撮影された。レイク・パレスはマハーラーナー(王侯)の宮殿だったが、ホテルに改装されており、ボンドが劇中で投宿したホテルも、ここで撮影されている。撮影中は、出演者の宿泊先ともなった。
- オクトパシーが移動に使う列車は、イギリスのニーン渓谷鉄道(Nene Valley Railway)で撮影された。
- ジョン・グレン監督が好んで使ったのは「鳩」。今回は、ボンドがモーンスーン・パレスの壁面を移動する際、急に飛び立つ。
- 蛇使いに変装したビジャイが、最初にボンドと落ち合う際の合図に、笛で「ジェームズ・ボンドのテーマ」を吹く。
- ビジャイはカマル・カーンを調べるためテニスクラブに潜入し、成果はバックハンドが上達しただけと述べる。また襲ってきたカマルの刺客たちをテニスラケットを振るって撃退する。演じたビジャイ・アムリトラジは当時、現役のプロテニス選手であった。
- カマルに追われて逃げるボンドが、木から木へ飛び移る際、ターザンの雄たけびを上げる。この声は、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーが、ターザン映画のために作り上げたものである。第1作よりイオン・プロと共同で007シリーズの製作を行ってきたユナイテッド・アーティスツは、1981年にMGMに買収されていた。
- ボンドが携行する拳銃はワルサーP5。しかし、ボンドはなぜかワルサーPPKと呼ぶ。
- サーカス団の列車が東ドイツから西ドイツへ越境する場面で、西ドイツ側に You are entering the American Sector(「ここからアメリカ管理区域」)の文字が書かれている。この掲示はアメリカが管理する西ベルリンの検問所にのみ設けられていたもので、東西ドイツ直接の国境検問所にはなかった。
- 東ドイツ駐留ソ連軍の陸軍兵士や東ドイツ国境警備隊の隊員がAK-47を、KGB兵士はステアーAUGを携行している。
- カマルの私兵たちはVZ58アサルトライフル、SKSカービン、リー・エンフィールド No.4小銃など雑多な小火器で武装している。
- 西ドイツ駐留アメリカ空軍基地の所在地であるフェルトシュタットは架空の地名である。ただし、旧東ドイツのシュヴェリーン市には同名のフェルトシュタット区がある。なお物語の後半でボンドが奪う乗用車にはバイロイトを、彼を追うバイエルン州警察の車輛にはニュルンベルクをそれぞれ示すナンバープレートが取り付けられている。
- 本作はシリーズ史上初めて、主題歌(“All Time High”)の歌詞の中に作品のタイトル(“Octopussy”)が織り込まれていない作品となった。また、作品タイトルと主題歌のタイトルが異なるのは『私を愛したスパイ』(原題=“The Spy Who Loved Me”、主題歌=“Nobody Does It Better”)以来、2作品めである。
- 2012年に公開されたコメディ映画『テッド』では、本作が主人公のジョンと恋人のローリーの思い出の映画という設定で、作中でジョンがローリーと復縁する為に、ノラ・ジョーンズのライブに飛び入り参加して本作の主題歌「All Time High」を歌うも、音程がずれた散々な歌唱の為に大ブーイングを浴びるシーンが挿入された。
- ボンドが変装したトロ大佐を演じたジョン・ウッドは、ロジャー・ムーアのスタンドインを務めていた。
- 本作のボンドは当初ジェームズ・ブローリンが演じる予定でテスト撮影が進められていたが、同時期にショーン・コネリー主演のネバーセイ・ネバーアゲインが製作されることが判明したため新キャストでは厳しいと判断され、ムーアが続投することになった[7][8][9]。
- 本作は日本を舞台にすると設定されていたが、脚本のジョージ・マクドナルド・フレーザーが自作小説「フラッシュマン」執筆のためインドを研究していたため、設定はインドに変更となった[10]。
- 作中でQが提供する腕時計はセイコーデジボーグ、及びセイコーテレビウォッチSeiko T001 Watchであった[11]。
日本語吹替
役名 | 俳優 | TBS版[12] | ソフト版 | 機内上映版 |
---|---|---|---|---|
ボンド | ロジャー・ムーア | 広川太一郎 | 羽佐間道夫 | |
オクトパシー | モード・アダムス | 来宮良子 | 唐沢潤 | |
カーン | ルイ・ジュールダン | 田口計 | 森田順平 | |
マグダ | クリスティナ・ウェイボーン | 榊原良子 | 櫨山めぐみ | |
オルロフ | スティーヴン・バーコフ | 坂口芳貞 | 成田剣 | |
ゴゴール | ウォルター・ゴテル | 大宮悌二 | 島香裕 | |
M | ロバート・ブラウン | 石森達幸 | 中博史 | |
マネーペニー | ロイス・マクスウェル | 好村俊子 | 泉裕子 | |
Q | デスモンド・リュウェリン | 丸山詠二 | 白熊寛嗣 | |
サドルディン | アルバート・モーゼス | 沢木郁也 | 宗矢樹頼 | |
ビジャイ | ビジャイ・アムリトラジ | 秋元羊介 | 羽多野渉 | |
ゴビンダ | カビール・ベディ | 西村知道 | 五王四郎 | |
ミシカ/グリシカ | デイヴィッド・マイヤー アンソニー・マイヤー |
星野充昭 | ||
グレイ国防大臣 | ジェフリー・キーン | 伊井篤史 | 佐々木省三 | |
ジム・ファニング | ダグラス・ウィルマー | 加藤正之 | 佐々木睦 | |
ビアンカ | ティナ・ハドソン | 伊倉一恵 | ||
ペネロプ・スモールボーン | ミカエラ・クラヴェル | 滝沢ロコ | ||
ソビエト連邦議長 | ポール・ハードウィック | 小関一 | ||
レンキン | ピーター・ポーテウス | 塚田正昭 | ||
シェッツィ | ブレンダ・カウリング | 巴菁子 | ||
赤い車のティーンエイジャー | ゲイリー・ラッセル | 菅原淳一 |
- TBS版 - 初回放送1988年9月6日20:00-22:24 『ザ・ロードショー』(本編約122分)※キングレコードから発売の特別版DVDに収録。
- ソフト版 - 初出2006年11月22日発売 DVD アルティメット・コレクション
原作
『007号/ベルリン脱出』(Octopussy、またはOctopussy and The Living Daylights)はイアン・フレミングの小説007シリーズ第2短編集(単行本としては14冊目でフレミング作としては最後)で、1966年、ジョナサン・ケープより出版された。日本では1966年に『007号/ベルリン脱出』のタイトルで、早川書房から井上一夫訳によりハヤカワ・ポケット・ミステリで発売され、1983年に文庫化された際『オクトパシー』に改題された。
収録作
- オクトパシー(007号の追求) - Octopussy
- 本映画『007 オクトパシー』の原作。また、『007/スペクター』に登場人物ハンス・オーベルハウザーが使用された。"PLAYBOY" 1966年3月号・4月号掲載。
- あらすじ 金塊を持ち逃げし、ボンドの恩人オーベルハウザーを射殺したデクスター・スマイス少佐はボンドに連行され軍法会議にかけられようとしていた。彼は、最後の時の前に自分が起こした事件を回想していた。
- 所有者はある女性(007号の商略) - The Property of a Lady
- 本映画のもう一つの原作。"PLAYBOY" 1965年1月号掲載。
- あらすじ 英国諜報部のソ連に寝返ったマリア・フロイデンスタインにソ連は、二重スパイの報酬として、ファベルジュの卵をサザビーのオークションに出し、その利益を与えようとしていた。報酬額を増やすために、ファベルジュの卵の値を上げようとする人物を国外追放するために、ボンドは専門家のスノーマン氏とともにサザビーのオークションに出席する。
- ベルリン脱出 - The Living Daylights (Berlin Escape)
- 映画『007 リビング・デイライツ』の原作。Argosy1962年掲載。
- あらすじ 東側に潜入していた英国諜報部のエージェントが、機密情報を持ってベルリンを経由して脱出しようとしていた。ボンドはKGBスナイパー「トリガー」からエージェントを守るため、「トリガー」を狙撃するよう命じられる。エージェントが脱出する前、ボンドは向かいで行われていたオーケストラの一員の金髪の若い女性に目を奪われていた。いざエージェント脱出の時、向かいの窓からライフルを持って現れたのは、あの金髪の女性だった。
- 007 in New York (Agent 007 in New York)
- 早川書房版未収録。New York Herald Tribune1963年10月掲載。
- 『007号/世界を行く』アメリカ版のため執筆された短編
- あらすじ ボンドは、元英国諜報部のスタッフであったソランジュがKGBのエージェントと交際していることを彼女に伝えるために、ニューヨークに飛ぶ。そして、ボンドは、任務とともにニューヨークの街を散策する。
出版
- イアン・フレミング 著、井上一夫 訳『オクトパシー』早川書房、1983年6月15日。ISBN 9784150706593。
- Fleming, Ian (2009-10-1) (英語). Octopussy and The Living Daylights. Penguin. ISBN 978-0141045092
参照
- ^ a b “Octopussy” (英語). The Numbers. 2022年8月12日閲覧。
- ^ 1983年配給収入10億円以上番組 - 日本映画製作者連盟
- ^ 007/オクトパシー : 作品情報 - 映画.com
- ^ “Movie list by worldwide gross” (英語). WorldwideBoxoffice.com. 2009年6月21日閲覧。
- ^ “日本映画産業統計”. 日本映画製作者連盟. 2009年6月22日閲覧。
- ^ “日本映画産業統計”. 日本映画製作者連盟. 2009年6月22日閲覧。
- ^ James_Brolin_was_devastated_to_be_dropped_as_James_Bond_for_Roger_Moore_|_Films_|_Entertainment_|_Express.co.uk
- ^ ジェームズ・ボンド役候補者だった父を語る – ジェームズ・ボンド007ニュース
- ^ ジョシュ・ブローリン父、『007』初のアメリカ人ボンド俳優として起用寸前だった過去を振り返る | THE RIVER
- ^ “Octopussy”. American Film Institute. 2021年6月11日閲覧。
- ^ Seiko_G757_5020_Sports_100_|_Bond_Lifestyle
- ^ “007 オクトパシー(ザ・ロードショー版)”. ふきカエル大作戦!!. 2022年7月29日閲覧。
- ^ “映画解説 4月の映画・ビデオプログラム”. 機内誌 WINDS (JAL): 117. (1984年8月号).
外部リンク
007 オクトパシー
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 06:13 UTC 版)
メルセデス・ベンツ250SE 所有者のオルロフ将軍から盗み、列車を追おうとしたが兵士の銃撃でタイヤが四本ともホイールから外れる。しかし鉄道用の線路にホイールをはめて、列車を追跡した。 アルファロメオ・GTV6 公衆電話で電話中の女性から拝借した。
※この「007 オクトパシー」の解説は、「ボンドカー」の解説の一部です。
「007 オクトパシー」を含む「ボンドカー」の記事については、「ボンドカー」の概要を参照ください。
「007 オクトパシー」の例文・使い方・用例・文例
- 多くのエコノミストが、団塊の世代が定年に達する2007年に起こる可能性がある2007年問題に関する懸念を示した。
- 2007年4月1日以前の年金記録も年金分割制度の対象となる。
- 消費者団体訴権制度は消費者契約法の改正を受けて2007年に施行された。
- 2007年三月から五月の間に
- 製造年月は2007年2月と書かれています。購入日は2007年5月頃です。
- イアン・フレミングによる英国の秘密スパイ007
- これは第20作目の007映画である。
- ミューゼスCは短時間着陸し,地表の岩石を破(は)砕(さい),破片を採取し,2007年6月に地球に持ち帰る。
- その最終目標は,2007年以降に株式上場企業となることだ。
- 同庁は,2007年3月末までに,所蔵品を閲覧できる博物館の数を1000館にまで増やすことを考えている。
- 2007年には,新型のN700系が導入される。
- 2年間の試運転の後,N700系は2007年春に東海道・山陽新幹線で運行を開始する予定だ。
- ちきゅうは2007年に稼(か)動(どう)を開始する予定だ。
- 改修工事は2007年に始まる予定だ。
- 法案が国会を通過すれば,国営の日本郵政公社は2007年4月に,貯金,保険,郵便,窓口の4社に分割される。
- 2007年6月,探査機はイトカワからの岩石のサンプルを持って地球に戻ってくる予定だ。
- すべて計画どおりに進めば,はやぶさは2007年6月に地球に近づく。
- 同協会は,2007年のカニのシーズンに間に合うころに日本初のカニのソムリエが資格を得ることを期待している。
- ミロのビーナスの新展示室,2007年にオープン
- フランスのパリにあるルーブル美術館は,同美術館で最も人気の高い呼び物の1つである「ミロのビーナス」のための新展示室を2007年にオープンする予定だ。
固有名詞の分類
映画作品 |
最後の命令 Wired Bob 007/オクトパシー エルビス オン ツアー 波光きらめく果て |
- 007オクトパシーのページへのリンク