魚雷艇「PT-109」との衝突とは? わかりやすく解説

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魚雷艇「PT-109」との衝突

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/04 21:03 UTC 版)

天霧 (駆逐艦)」の記事における「魚雷艇「PT-109」との衝突」の解説

1943年8月2日午前2時過ぎ輸送任務終えて帰航であった天霧ソロモン諸島近くのニュージョージアの西で、1キロ先に「黒いモノ」を発見した第五戦速航行中天霧と「黒いモノ」は瞬く間接近し、「黒いモノ」が米海軍哨戒魚雷艇判明した時には艦砲俯角が足らなくなるほど近接していた。天霧魚雷艇に「体当たり」する格好となり、38トン木製魚雷艇真っ二つとなって沈没した。この魚雷艇ジョン・F・ケネディ中尉艇長務めPT-109で、当時付近海域哨戒任務にあたっていた。 衝突時の状況に関して当時艦橋にいた当事者による証言幾つか存在するが、情報錯綜しており各証言には食い違い見られる天霧乗艦していた第11駆逐隊司令山代勝守大佐によれば攻撃衝突いずれも危険と判断した山代司令が(砲撃するには魚雷艇位置が近すぎる上に砲炎の閃光視界奪われ衝突する魚雷誘爆して損傷する危険がある)、魚雷艇船尾すり抜けようと取舵指令した。そこへ艦長花見弘平少佐反対面舵号令し、すぐに取舵号令改めたが間に合わなかったとして、魚雷艇との衝突は「単なる事故」としている。 一方花見は、「右十度前進全速!」を命じて意図的に魚雷艇衝突した回想し、「(山代司令による『取舵を採れ』は聞いていない」としている。 また、当時花見の隣で雷撃戦に備え前方監視行っていた水雷長の志賀博大尉は、山代司令による取舵指令はあったと回想している。しかし同時に花見もこの指令従い取舵号令発した回想しており、かつ「このとき花艦長は、とっさに、〔魚雷艇に対して天霧を〕正面からぶっつけるのが最善防御法だと決意した」と、衝突意図的なものであったように示唆している。 PT-109魚雷4本搭載37mm砲1門、乗員13名)は戦時急造木製であったレンドバ島米軍基地には魚雷艇15隻が配備されており、当日も全隻が出動していた。レーダー装備していた魚雷艇もあったが、各部隊・各魚雷艇間の連絡連繋が全くとれておらず、各魚雷艇合計魚雷30本を発射しながら1本も命中しなかった。PT-109敵情自軍状況充分把握しておらず、とりあえ命令に従って哨戒行動であった高速航行する魚雷艇敵艦衝突する事は滅多にない。だが当時PT-109日本軍航空機による攻撃避けるため、機関音および航跡出さないように、3基の内1基だけを使用する、減軸運転を行っていた。米側記録によると、PT-109は突然の会敵増速思うようにいかず、速度乗らないままだったため舵の効き鈍く回避が困難であった甲板乗組員火力強化のために特別に換装した対戦車砲砲弾装填しようと焦っていたという。 天霧損傷艦首わずかな亀裂と右スクリューの翼が曲がった程度で、航海支障はなかった。当時天霧乗員PT-109乗員全員戦死確信し報告した第三水雷戦隊司令官伊集院松治大佐は、天霧魚雷艇踏み潰した賞賛した。日本の新聞にも掲載された。 PT-109乗組員は2名が戦死したが、ケネディ中尉生存者らを励ましながら5時間亘って泳ぎ続けて陸地にたどり着き最終的に残り11名が救助された。なお、生還した乗組員1人は後に配属され別の魚雷艇捕虜駆逐艦夕雲乗組員)の反抗遭い殺害されている。 ケネディハーバード大学時代フットボール背中大きく損傷しており、更に天霧との衝突背中打ちつけたうえにその後遠泳で体を酷使したため、生涯にわたって背中激痛に耐えなければならなかった。 1951年昭和26年)秋、ケネディ下院議員として来日花見との面会希望したが、日程かなわず帰国した。これ以降花見ケネディ文通交流するになった後日1952年の上院選、1960年大統領選の際には、天霧の元乗員一同から激励色紙贈られている。大統領選において花見応援に来るように求められたが都合がつかず、代わりに天霧の元乗組員らを派遣したところ、現地大歓迎受けたという。また、かつて死闘した敵国軍人恩讐超えて選挙応援駆け付けたことに多くアメリカ人心を打たれたことが、アメリカ史に残る大接戦となった大統領選でのケネディ勝利貢献したといわれる映画『魚雷艇109』(英語)として暗殺の5ヶ月前に公開され日本でも公開された。

※この「魚雷艇「PT-109」との衝突」の解説は、「天霧 (駆逐艦)」の解説の一部です。
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