飼育容器(成虫用)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/22 08:44 UTC 版)
飼育容器に必要な条件としては中が蒸れないような通気性 観察することの出来る透明性 何匹も飼育をする時にでも場所をとらない積み重ねが可能 逃げられることのない蓋の頑丈さ のような機能・特性が挙げられる。 プラスチックケース 略してプラケース。ガラスよりも扱いが簡単であるため初心者に多く利用される。飼育容器として最も普及しているが、乾燥しやすい上コバエが侵入しやすい(蓋と本体の間に新聞紙を挟めばある程度防げるが蓋がゆるくなる)、蓋にカブトムシの角やクワガタムシの大顎が引っ掛かる恐れがある(マットと産卵木の入れ方やケースのフタ次第でリスクは減らせる)などの欠点がある。こうした欠点をカバーするグッズも市販されている。 コバエシャッター クワガタムシ飼育に特化したプラスチックケース。蓋の構造が独特で、穴が数箇所に空いた部分にフィルターがはめ込まれている。蓋が網状になった通常のプラケースと比べると、その名の通りコバエの侵入を防ぎ、クワガタムシの大顎が引っ掛かって抜けなくなる事故も防げ、また湿度も保つことができる。前述の一般的なプラスチックケースに比べ高価(同じサイズならほぼ二倍)で、フィルターが破れやすいのがネックである。 ガラスケース 観賞魚用の水槽。幅60cm程のものなら大きさにゆとりがあり、大型・攻撃性の強いカブトムシでもストレスがたまりにくいが、蓋を別途用意する必要がある。成虫の観賞に向いており、人工の枝や葉をセットしてレイアウトを楽しむこともできる。重く割れやすいため取り扱いづらいのが難点。 コンテナケース CDを入れておくような小型のものから衣装ケースと呼ばれる大型のものまである。同じものでも専門店よりもホームセンター等の方が割安で売られていることが多い。積み重ねるのが簡単で、蓋のロックができるため脱走のリスクがほとんどない。半透明もしくは不透明なため観賞性は悪く、主に大量に飼育している増殖・販売業者や愛好家に利用される。大抵の場合蓋をロックしても密閉されるわけではないのでそのままでも使えるが、新聞紙を蓋に挟むと保湿効果がさらに高まる。 タッパー 安価である故利用者も比較的多いが、通気性が悪く(そのまま使うと窒息死してしまうこともある)、蓋のロックが出来ない(成虫や大型カブトムシの3令幼虫では持ち上げられることがある)のが欠点。蓋にドリルなどで小さな穴をいくつか開け、蓋と本体をガムテープなどで固定すれば問題ない。
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飼育容器(幼虫用)
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1ペアから時に何十頭もの幼虫が得られる。そうした大量の幼虫を場所を取らずに置けることが重要である。 プリンカップ 卵や1令幼虫に対して使われる。プリンカップ型のプラスチック容器が用いられる。積み重ねができるため、店頭などでメスなどの小型の成虫に対しても使われることがある。素材がやわらかいためメスや幼虫は壁を食い破って脱走することもあるので、一時的な保管と割り切り、早めに他の容器に移すことが望ましい。通気性が悪いため、蓋に画鋲や千枚通しなどで小さな穴をいくつか開ける必要がある。 ビン 2令幼虫以降に対して使われる。マットを硬く詰め易い。プラスチックビン(プラビン)は軽くて割れにくく取り扱いが簡単だが半透明のため中がはっきり見えない。ガラスビンは重くて割れやすいが中が見えやすいことと、温度管理が簡単であるため、どちらかと言うとマニア向け。専用のビンが市販されているほか、梅酒用のビンを使う人もいる。プリンカップ同様通気性の確保は必須であるが、飼育専用のビンであれば最初からフィルター付きでそのまま使えるものも多い。 菌糸ビン(ボトル)・菌床ビン(ボトル) 未分解の広葉樹材を粉砕したおが屑に栄養剤などをくわえて滅菌し、ヒラタケ、オオヒラタケ、カワラタケなどの菌糸体を植つけ、多くのクワガタムシの幼虫が好む白ぐされ状態の朽木の環境を人工的にコントロールしやすい環境下で再現したもの。本来はホダ木を使わずに木材腐朽菌の食用キノコを栽培するために開発され、エノキタケやヒラタケ、エリンギタケなどの産業的栽培に用いられてビン栽培法と呼ばれているものをクワガタムシ飼育に転用したものである。 菌糸のため白っぽく、幼虫が食べたところや移動したところが茶色くなるためプラビンでも交換のタイミングを見極めやすい。もともとキノコ栽培用の技術であるため、環境の条件によってはビンの中の菌糸表面からキノコ(菌の子実体)が生えてくることがあるが、菌は子実体の成長と胞子生産のために菌糸体に蓄積した栄養素を子実体へと転用してしまい、ビン内の菌糸体内部にクワガタムシの幼虫の成長に役立つ栄養素が乏しくなるために、まだ大きくならない原基のうちに抜き去るのが望ましいとされる。使用後数ヶ月で品質が落ちるため、幼虫の大きさにあった大きさの菌糸ビンを使う必要があるとされている。 自然状態の朽木に近い椎茸栽培に使用された後のホダ木を使った材飼育や、微生物の分解活動を利用した発酵マット飼育と比べ、1種類の菌のみが純粋培養された菌糸ビン法は菌とクワガタムシとの関係に異なる点が多い。そのため様々な点で他の飼育法と異なる管理法をとらなければならないが、幼虫を安全に大きく育てるには確率的に一番優秀な方法とされている。 例えば材飼育ではクワガタムシの成長に適する種のキノコの菌糸が、この飼育法では逆にクワガタムシの幼虫を襲って殺し、そこから栄養素を吸収してしまうことも起きた。このため、クワガタムシの成長に適合する菌の種類の解明までにかなりの試行錯誤が必要であった。 また多種類の微生物が朽木に共存して微生物群集を形作る野生状態、材飼育、発酵マット飼育では、クワガタムシの幼虫がいったん食べて消化管の一部に発達した発酵室内で朽木を発酵、栄養素の一部を吸収して排泄した糞を再び摂食によってできた朽木の坑道内で様々な微生物に発酵させ、再度摂食するというサイクルを繰り返して朽木の中の栄養素を徐々に吸収していくが、菌糸ビン飼育では単純に特定のキノコの菌糸体のみを消化吸収して、そこに蓄積された栄養素を利用しているらしく、生きた菌糸体の繁茂した部分が3分の2ほど食い尽くされた段階で、新しい菌糸ビンに移さなければならない。 プラビンやガラスビンやプリンカップを使ったものや、中身を詰め替える菌糸ブロックも市販されている。この菌糸ブロックは、キノコ栽培において菌床栽培法と呼ばれている栽培法で用いられるものをクワガタ飼育用に流用されているものがほとんどだが、一部はクワガタ幼虫飼育専用に開発されている菌糸ブロックもある。
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