青春篇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/04 00:06 UTC 版)
物語の舞台は三州横須賀村(現・愛知県西尾市)、言わずとしれた忠臣蔵の敵役吉良上野介の地元である。.mw-parser-output ruby.large{font-size:250%}.mw-parser-output ruby.large>rt,.mw-parser-output ruby.large>rtc{font-size:.3em}.mw-parser-output ruby>rt,.mw-parser-output ruby>rtc{font-feature-settings:"ruby"1}.mw-parser-output ruby.yomigana>rt{font-feature-settings:"ruby"0}青成瓢吉(あおなりひょうきち)の父、瓢太郎は、旧家辰巳屋の旦那で、任侠を身上とする快男児だった。彼は吉良の仁吉の血をひく遊侠徒の残党の常吉という男に「吉良常」という小料理屋をやらせていた。 この父は、瓢吉に無鉄砲な男になるように教育する。八つになったころの瓢吉に、父は庭の銀杏の木に登れと命じた。登れたら何でも買ってやるというのである。瓢吉はも毎日その木にしがみついて、1ヶ月目にとうとう頂上までのぼることができた。頂上にのぼった瓢吉の下で、瓢太郎はゆさゆさ木を揺さぶりだした。彼一流のスパルタ教育は、こんなふうにして幼い瓢吉を叩き上げていった。 やがて、中学に入った瓢吉は、父の教育通り、血の気の多い少年になっていった。入学早々彼は、友人と一緒に校長を始め教員の悪口を書き連ねた新聞を発行、訓戒処分を受けてしまう。瓢太郎は、学校に呼び出しを受けたが、かえって瓢吉を励ます。 その頃、辰巳屋は傾き始め、瓢太郎は病気になる。父の病床にかけつけた瓢吉は、東京に出て苦学することを決意、中学を中途でやめて、父からもらっただぶだぶのトンビをはおり、こうもりがさを杖に、勇躍上京。友人の夏村大蔵をたよって、早稲田の経済科予科に入学する。刃傷沙汰を起こした吉良常、校長と衝突して学校をやめた黒馬先生(戸田先生)も、上京することになる。 瓢吉が、早稲田に入学してみると、期待とは違って教授も学生も沈滞しきっている。なにか事件でも起こして学校の雰囲気を改造したいと考えていた瓢吉の耳に、大隈公夫人の銅像が学園内に建設されるというニュースが入ってきた。チャンス到来とばかりに、瓢吉は学園を私物化する大隈重信総長に反対、「銅像建設反対」のアジ演説を学生たちにぶつまくった。学生たちは、瓢吉の名演説に度肝を抜かれ嵐のような拍手を送る。この日から、瓢吉は早稲田の英雄となった。彼の周りには、九州男児の新海、松井須磨子の風呂を覗いて三高を放校になった石上、弁舌の鬼高などの豪傑が集合、学生運動の指導権を握った。しかし、銅像反対運動は、学長の西野派と前学長の白川派の権力闘争という政治的な駆け引きに姿を変え、学生たちはその操り人形と化している現実に気がついた瓢吉は、吹岡とともに大学を去る決心を固める。一方、故郷では、病ですっかり気力の衰えた瓢太郎を吉良常が訪ねてくる。吉良常は、刃傷沙汰で監獄ぐらしをしばらくして、その後5年間台湾や朝鮮をうろついて、これから東京に出るという。瓢太郎は吉良常に東京に行ったら瓢吉にこのピストルを渡してくれと頼む。借金取りが来て、その応対をおみねと吉良常がしている最中、瓢太郎はピストルで自殺する。 瓢吉は、お袖に将来のことを迫られているが、態度を決めかねている。そこへ同じく大学を中退し、兜町で働く夏村が訪ねてくる。瓢吉の父が亡くなったことを告げ、帰省するお金を渡される。瓢吉は、帰省の汽車の中で、同郷の芸者、光竜ことおりんと出会う。おりんは代議士丘部小次郎と結婚が決まり、岡崎に帰るところと言う。 瓢吉は、吉良常から父の遺書を渡されて、そこには債権者に会って全てを任せて家の再建など考えるな、と書いており瓢吉は母と東京へ行くことを決意する。葬式のときも和尚からクソ度胸が何でも乗り越えられると励まされる。翌朝、夜明けとともに吉良常と母を連れて東京へ向かう。一方、東京の夏村はカフェで高見に久々に会うと、高見は大学を中退してから社会主義運動にのめりこんでいる。モスクワまで行きもコミンテルンの代表者ラデックと会い、活動資金として2万円受け取ってきたという。そして高見は夏村にハルピンに社会主義者の仲間として同行してくれという。。高見と分かれた夏村は今度は外で横井と会う。 一方、瓢吉と吉良常は東京へ電車で行き半助が駅で待ってくれていた。半助と吉良常が酔った勢いでお袖の店に会いに行く。酔った勢いで大暴れした吉良常は、外で誰かとぶつかり、前後不覚。気がつくと拘置所の中にその男と二人でいた。 その男から、瓢吉の元担任の黒馬先生だった。「黒馬」は食い逃げすると言う。吉良常は本当はする気はなかったが本当に寝てしまい、店の者に捕まってしまう。それでも、警察が来た所をなんとか逃げおおせる。 瓢吉はお袖の消息を聞くために夏目に会いに行く。ところが夏目は、高見が日本に潜入したコミンテルンのスパイとして官憲から追われているという。夏目は一人で東京のホテルにいる高見に会い、高見は誤解を解くためにこれから内務大臣に会いに行くという。そして高見は瓢吉と二人でハルピンに行って欲しいと頼む。 瓢吉が高見のいるホテルに向かうと既に引き払っていた。タクシーに乗ると運転手から先ほど、社会主義者が二人路上で捕まったと教えられ、それは高見だと感じる。降りたところで吹岡とバッタリ会い横井の家に行き半助に会いに行く。
※この「青春篇」の解説は、「人生劇場」の解説の一部です。
「青春篇」を含む「人生劇場」の記事については、「人生劇場」の概要を参照ください。
- 青春篇のページへのリンク