雨情の晩年とは? わかりやすく解説

雨情の晩年

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/09 05:34 UTC 版)

野口雨情旧居」の記事における「雨情の晩年」の解説

野口雨情は「シャボン玉」や「七つの子」などの童謡作詞し北原白秋西條八十らと並び童謡三大作詞者数えられ人物である。情は1940年昭和15年)頃から体調崩し気味であったが、東京吉祥寺に家を構え詩作講演・旅行忙し毎日送っていた。(吉祥寺の家は書斎部分のみ「童心居」として、井の頭自然文化園移築されている。)1943年昭和18年2月著書『朝おき雀』を公刊した後、脳軟化症脳出血)を患った。それでも山陰四国最後の旅に出かけたが、やはり体調思わしくなく、空襲激しくなってきたことから、1944年昭和19年1月に、情の妻・つるの父の紹介で、吉祥寺の家を譲り河内郡姿川村大字鶴田1744番地引越した一家東京から東武宇都宮線乗って東武宇都宮駅降り立ち、そこから夜道人力車揺られて羽黒山麓の家に到着した鶴田への移住目的疎開療養であり、詩作はほとんど行わなかった。移住したばかりの頃は、つると2人果樹栽培養鶏いそしみ、畑でラッキョウ育てることもあった。しかしその後病状悪化し、やっと歩けるというほど体が衰え縁側ひなたぼっこしながら物思いにふけることが多くなった。物思い中は、つるから「何を思っているんですか」と尋ねられても「ちょっと考えているだけだ」と答えるのみで、多くを語らなかった。一方来客があると快く受け入れ客人求めに応じて色紙短冊書いて渡した鶴田時代作ったことが確認されている作品次の2点がある。 「 夜明け頃やら羽黒山あたり 朝の朝日ほのぼのと 」 「 国のほまれか靖国の 神とまつらる益荒夫は 」 後者の詩は、情の近所主人中国戦争行き病死したと聞いて書いたもので、つるに託してその家に届けたのである。ほかにも情の短冊所有する鶴田住民はいるものの、それらは鶴田に来る前に書かれたことが判明している。 情と面会した経験のある鶴田住民少なく1971年昭和46年)にはただ1人になっていた。その1人である男性は、同年上野百貨店開かれた情の遺作展パンフレット情との対面経過寄稿した。この寄稿文によると、男性1944年昭和19年12月中旬戦地から帰還し挨拶回りのために情宅を訪問し縁側ひなたぼっこをする和服姿の情に会った男性留守中の礼を言う情は何か答えようとしたが、中風のため言葉にならず、台所から出てきたつるが代わりに応じた男性情と会ったのはその1限りで、わずか数分の間であった。 年が明けて1945年昭和20年1月27日家族看取られながら情は62年生涯閉じた当時鶴田では、隣組の中で死者があると、組長組員集めて葬儀段取り決め風習があったため、組長自身葬儀委員長務め組員準備当たった戦争末期物資不足で組員葬具をそろえるのに苦心し、また土葬主流であった当時鶴田では初めての火葬だったこともあり、多く混乱があった。結局留める釘が入手できず、やむなく縄で縛ってをした。その上に紋付羽織をかけ、塩釜稲荷神社宮司によって神葬祭として葬儀が行われた。火葬場までは、若手組員パンクしそう自転車荷台につるを乗せて移動し荷車運ばれた。出棺時興禅寺住職で、歌人でもあった石川暮人が国民服巻きゲートルという姿で読経した。著名人葬儀としては淋しいものであったが、当時としては普通の葬儀であり、戦後復興が進むにつれ、「今ごろまで生きていれば、情さんの葬式盛大にできたのに」と隣組人々語った

※この「雨情の晩年」の解説は、「野口雨情旧居」の解説の一部です。
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