関係者の逮捕・起訴・判決
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「構造計算書偽造問題」の記事における「関係者の逮捕・起訴・判決」の解説
2006年4月26日 - 警視庁は、A元建築士(名義貸しによる建築士法違反幇助)、イーホームズ社長(電磁的公正証書原本不実記載)、木村建設社長(粉飾決算による建設業法違反)、同社元東京支店長(建設業法違反)をそれぞれ逮捕。容疑者は全員起訴される。いずれも耐震偽装とは無関係の容疑。翌日東京拘置所に送検されたA元建築士の容貌は様々な憶測を呼んだ。 5月17日 - 警視庁は、ヒューザー社長を「偽装を知りつつマンションを引き渡した」として詐欺容疑で逮捕(後に起訴)。同時に木村建設社長も同容疑で再逮捕。 6月7日 - 警視庁は、「総合経営研究所」の立件を断念。事実上捜査が終結する。 6月7日 - 民主党 馬淵代議士が国会でアパグループ(APAホテル参照)のマンション2棟も他の建築士によって構造計算書が偽装され、工事が中断している件について国会で質疑を行う。この2棟については@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}現在[いつ?]においても工事が再開していない。 6月22日 - A元建築士を議院証言法違反(証人喚問での偽証)容疑で再逮捕。最初に偽装した時期を1998年と証人喚問では言ったが、実際は1996年だった。 6月26日 - A元建築士を建築基準法違反容疑で追送検、起訴。 7月7日 - イーホームズ社長の初公判。架空増資の起訴事実を認めるも、耐震強度偽装に関する容疑は否定。被告本人は「当社だけを厳しく罰するのは公権力の乱用だ」と述べたが、「法律の不備な点が見直されたのはいいことだ」と偽装公表の意義を強調した。 8月7日 - 木村建設元東京支店長の初公判。起訴事実を全面否定。「A元建築士のいい加減な証言で、私が諸悪の根源であるかのような処罰を受けた」と語った。公判時にはもはや体重が逮捕時よりも30kg近くも落ち込み、非常にやつれた様子だった。 9月6日 - A元建築士の初公判。髪の毛はやや伸びていた。まずマンション住民に謝罪し、起訴事実を大筋で認めた。証人喚問で偽証したことについて「資料が手元になく、あいまいな記憶のもとにしゃべり、結果的にウソをついたことになった」と、ウソは意図的でないと犯意を否定した。なお検察側は冒頭陳述で被告を痛烈に批判し、被告の供述をもとに作られる供述調書によると、「偽造の動機は、経済設計・コストダウンができる優秀な建築士という名誉を維持し信用を得るため」 「年収2,000万円を超える年もあり、高級自動車などを買い続けていた」 「金を稼ぐために人命よりも稼ぎを優先した」 「大地震が起こっても知らない」 「妻が入院中なのに愛人を作って月15万円近くも小遣いとして与えていた」 これらの供述について、公判を傍聴した被害マンションの元住民は「『おまえらは死んでもかまわない』という発言で、もはや単なる殺人未遂だ」とした。 9月7日 - 木村建設元社長の初公判。起訴事実である建設業法違反は認めるも、詐欺は否定。だが、検察側は「被告は自分が信仰する神社に偽造の認識がバレたらうちはつぶれる。国交省の調査が木村に飛び火してほしくないなどと嘆願のFAXを送っていた」と述べた。 10月5日 - ヒューザー元社長の初公判。「(詐欺という)犯罪を行なったことは一切ない」と起訴事実を全面的に否認した。検察側は、被告が「(購入者に知らせるべきだが、強度不足は)知らなかったことにしよう」と考えながらマンションを引き渡した、とした。 10月18日 - 東京地裁はイーホームズ社長に、懲役1年6ヶ月・執行猶予3年の有罪判決を言い渡した(検察側は懲役2年を求刑)。また、起訴事実と偽装見逃しの因果関係は証拠不十分として同被告の「起訴事実は認めるがそれと偽装見逃しは関係ない」という主張を認めた。判決公判後の会見で同被告は「主張が認められたことは非常にうれしい」として、控訴しない方針を固めた。また、この会見では「国が偽装をしやすいプログラムを作ったのが原因」「APAグループの物件でも偽装が行われた」「そのうち暴露本を出版する」とも語った。 同日、イーホームズ社長は、自身の判決報告のための記者会見で、T設計と他の建設会社による耐震偽装を告発。自分が逮捕された本当の理由は、「国がアパのマンションやホテルの偽装を隠蔽するために、逮捕して黙らそうとしたものである」と訴えた。 翌10月19日 - イーホームズ社長は首相官邸を訪れ、新たな偽装物件に対する直接対応を求め安倍晋三首相に面会を求めるが拒否された。偽装物件を告発する書面を官邸は受け取らず、内閣府が受け取った。 10月20日 - イーホームズ社長が「きっこの日記」というウェブサイトに「安倍総理殿、国家に巣食う者を弾劾致します」 と題する公開メッセージを公表。川崎市内のマンションの構造計算図書の偽装を川崎市と国土交通省が隠蔽したこと、A建築士による構造計算書の偽造を伝えた設計事務所の建築士が無資格であることを告発。しかし、「きっこの日記」は数々の捏造報道で問題視されていたウェブサイトであるため、周囲から無視され、一切話題にならなかった。 11月1日 - 東京地裁は木村建設元東京支店長に、懲役1年・執行猶予3年の有罪判決を言い渡した(検察側は懲役1年6ヶ月を求刑)。また、イーホームズ社長と同様、「起訴事実である粉飾と偽装との因果関係は認められない」とした。執行猶予が認められたのは、「偽装の不正に関与したと世間から見られ、相当の社会的制裁を受けている」と判断したため。もともと元住民も「元支店長の関与は薄いのではと思っていた」と話している。 12月21日 - A元建築士が保釈金500万円を払い保釈される。保釈は東京地裁も東京高裁も認めていたが、保釈金を納付していなかったため拘置され続けていた。 12月26日 - 東京地裁はA元建築士に、懲役5年・罰金180万円の実刑判決を言い渡した(検察側の求刑通り)。川口政明裁判長は「まったく反省の念が感じられず、A被告にはいらだちすら覚えた」「事件の最大の原因はA被告にある」「自分が圧力を受けた犠牲者であるかのように演じ悪質」と厳しく断罪した。 12月27日 - 年末になって国土交通省は、耐震強度偽装事件に絡み、国交省が実施中のマンション約400棟のサンプル調査で、既に報告があった221棟のうち7%に当たる15棟が「耐震強度不足の疑いがある」と判定されたと発表した。強度が基準の5割程度とみられる物件もあった。 2007年1月8日 - A元建築士は、12月26日の東京地裁判決を不服として、東京高裁に控訴した。
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