鋼体化改造の動向
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/10 23:24 UTC 版)
「近江鉄道モハ131形電車」の記事における「鋼体化改造の動向」の解説
以上の経緯により、西武鉄道より譲り受けた木造車各形式は全車とも鋼体化改造を実施された。また、鋼体化改造施工時期において親会社である西武鉄道における車体標準塗装がローズレッドとウォームグレーの2色塗装、いわゆる「赤電塗装」に変更されたことに伴い、近江鉄道に在籍する全形式についても順次同塗装への塗り替えが実施されたほか、モハ131形・クハ1214形以降は鋼体化改造竣功当初より同塗装で出場した。 全車とも鋼製車体で統一された各形式であるが、元西武モハ241形・クハ1241形の車体を流用したモハ133形・クハ1216形は西武鉄道在籍当時に実施された3扉化改造などの影響により車体の状態が非常に悪かったことから、一連の鋼体化改造が完了した翌年の1966年(昭和41年)9月16日付認可でモハ133・クハ1216がモハ135形135・クハ1210形1210(2代)の竣功に際して同2両への改造名義により事実上廃車となった。残るモハ134・クハ1217についても1969年(昭和44年)4月28日付認可による500系モハ501・クハ1501への改造名義で事実上廃車となり、モハ133形・クハ1216形は形式消滅した。次いで元西武モハ211形の車体を流用したクハ1205形についても500系新製に際して名義上の種車となり、クハ1206が1970年(昭和45年)11月24日付認可によって500系クハ1500形1502へ、クハ1205が1973年(昭和48年)1月30日付認可によってクハ1500形1503へそれぞれ名義を譲って事実上廃車となった。さらにクハ1212形1212については1969年(昭和44年)度に十和田観光電鉄への譲渡が計画されたものの結局実現せず、1973年(昭和48年)に導入されたモハ203形204の名義上の種車となってこちらも事実上廃車となった。 一方で早期に他形式への改造種車とならなかった各形式については、1969年(昭和44年)以降台車軸受部を平軸受(プレーンベアリング)仕様からコロ軸受(ローラーベアリング)仕様に改良する工事が1971年(昭和46年)3月にかけて順次実施された。さらに国鉄および西武鉄道から購入した中古部品によって電動車の台車のDT12 (TR25) 化および制御車の台車のTR11化・制御装置の電空カム軸式CS5への換装および弱め界磁接触器CS9の新設・主電動機のMT15C・MT15E(端子電圧750V時定格出力104kW)への統一、制動弁のA弁への換装に伴うAMA / ACA自動空気ブレーキ化など、各種改造が施工された。 クハ1207形1207は1981年(昭和56年)7月24日付認可によってクハ1500形1505の名義上の種車となり事実上廃車となったが、残る各形式については、1983年(昭和58年)5月に竣功した500系モハ506-クハ1506がオレンジイエローを基調色とした新塗装で落成したことに伴い、クハ1208形1208を除く全車がオレンジイエロー地にシルバーグレーの帯を腰板部へ配した新塗装に順次変更された。また1983年(昭和58年)4月には滋賀県が実施した観光キャンペーンへの協賛企画としてモハ132-クハ1215が白地にチューリップのイラストをあしらった特別塗装に変更された。同塗装が好評を博したことから、同年7月よりモハ131-クハ1214を白地にカブトムシなど昆虫のイラストをあしらった「昆虫電車」として運行した。また1985年(昭和60年)9月の滋賀県観光キャンペーンに際してはモハ131-クハ1214が白地に琵琶湖特産の鮎のイラストをあしらった「わかあゆ号」となった。 経営合理化を目的として1987年(昭和62年)5月1日より近江鉄道全線でワンマン運転が実施されたことに伴い、クハ1208形1208およびモハ132-クハ1215の3両を除く残存する全車を対象にバックミラーおよび車内運賃箱新設などワンマン運転対応改造を実施、さらに1988年(昭和63年)から翌1989年(平成元年)にかけてワンマン運転対応編成を対象に台車の空気ばね台車化および制動装置の電気指令式空気ブレーキ (HRD) 化が施工された。換装された台車は西武鉄道より購入した、住友金属工業製の車体と枕ばねの間に枕梁(上揺れ枕)を設けたインダイレクトマウント式のペデスタル型台車FS40で、同台車は500系全編成を含む近江鉄道に在籍する大半の車両に装着され、一時期における近江鉄道の標準型台車となった。 稼動編成に対しては上記改造が施工される一方、老朽化が著しく1980年代以降運用から離脱し長期間休車状態にあったクハ1208形1208は編成相手であるモハ9形9とともに1990年(平成2年)12月27日付で除籍され、全線ワンマン化以降運用から離脱し台車換装および制動装置改良の対象から漏れたモハ132-クハ1215が1993年(平成5年)6月18日付認可で800系モハ801-クハ1801への改造名義により事実上廃車となった。また、各種改造を施工した編成についても、1995年(平成7年)2月16日付認可でモハ131がモハ220形225への改造名義で事実上廃車となったことを皮切りに、従来車の代替目的で導入された800系への改造名義によって順次淘汰が実施され、改造名義・車籍継承の対象外となった車両を含めて2004年(平成16年)までに全廃となった。
※この「鋼体化改造の動向」の解説は、「近江鉄道モハ131形電車」の解説の一部です。
「鋼体化改造の動向」を含む「近江鉄道モハ131形電車」の記事については、「近江鉄道モハ131形電車」の概要を参照ください。
- 鋼体化改造の動向のページへのリンク