西部劇における先住民の描写とは? わかりやすく解説

Weblio 辞書 > 辞書・百科事典 > ウィキペディア小見出し辞書 > 西部劇における先住民の描写の意味・解説 

西部劇における先住民の描写

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/30 15:01 UTC 版)

西部劇」の記事における「西部劇における先住民の描写」の解説

コロンブスアメリカ大陸到達した時には北米大陸にもすでに先住民族がいた。北米大陸着いた時にインド着いた勘違いして先住民インディアン呼んだ話は有名だが、17世紀初めにイギリス人最初の植民地作った頃に北米にはおよそ人100万人、部族の数では約500余り暮らしていたと言われている。しかし西部開拓が進む頃から白人との戦い始まった西部開拓歴史はまた先住民迫害そして虐殺歴史でもあった。そして西部開拓時代1870年には人口がわずか2万5千人激減している。 20世紀初頭の黎明期西部劇では、インディアンヒーローとして扱ったものもあったが、西部劇アクション中心娯楽映画移行するインディアンは『フロンティア』を害する悪役となり、白人開拓者にとっては邪悪凶暴さ象徴であった西部劇は、インディアンイメージ決定付けた劇中に登場するインディアン達は、決まって馬にまたがって派手な羽飾りをつけ、手斧振り回し、「アワワワワ」と鬨(とき)の声を挙げて襲ってくる。これらは馬にまたがり羽飾りをつけること以外は出目なものである。彼らの衣装も、撮影所デザイナー考えたものであり、またそのほとんどが、白人たちが演じており、資料的価値皆無である。 また、西部劇には「号令一下、全インディアン戦士従わせる大酋長Grand Chief)や戦争酋長War chief)」が登場するが、これはインディアン文化に対する白人の誤解から生まれたのである基本的にインディアン社会合議制民主主義社会であり、このような絶対権力者存在しない。「大酋長」も「戦争酋長」もまったくのフィクションであり、現実には存在しない西部劇の中のキャラクターなのにも関わらず、これが全世界公開されることで、「酋長部族長である」といった、誤ったインディアン対す認識をさらに広めることとなってしまった。 平原部族風俗である羽飾りをつけ、無表情に片言の英語を喋る(日本語台詞では「インディアン、ウソツカナイ」はこの典型である)このステレオタイプは、その後世界中人々が「インディアン」と聞いて真っ先に頭に思い浮かぶイメージとなったラジオTVシリーズローン・レンジャー』に出てくる、主人公相棒であるインディアンの「トント」は、インディアンの間では「白人へつらうインディアン」の代名詞となっている。 1950年代入ってこのようなインディアン描き方対す反省から『折れた矢』「アパッチ」が製作され1960年代に入ると、『モホークの太鼓』(1939)で典型的なインディアン描き方をして以後悪役としてのインディアンしか描いてこなかったジョン・フォードが「シャイアン」(1964)でシャイアン族悲劇を描くようになり、1970年には『ソルジャー・ブルー』で騎兵隊インディアン虐殺する場面描かれている。 1960年に「片目のジャック」を監督主演したマーロン・ブランドは、インディアン権利団体アメリカインディアン運動』(AIM)に賛同し、同団体設立当初から助言運動をともにしていたが、1973年映画『ゴッド・ファーザー』アカデミー賞受賞した際、授賞式に「インディアン女性」を代理出席させ、ハリウッド西部劇において、いかにインディアン理不尽な扱い受けているかメッセージ代読させた。映画俳優AIM運動家スポークスマンをも務めラッセル・ミーンズハリウッド映画についてのインタビュー答え、こう述べている。 ハリウッド映画の中でインディアン人々求める姿として、私たちは、2種類の姿でいさえすればよいのです。私たちは夏の間、革服で盛装します。あるいは、我々は『スキンズ』(2002年)だとか、『スモーク・シグナルズ』(1998年のような映画のように、酔っぱらい社会不適格者でないといけないのです。1940年代のある土曜日午後に、私は弟のデイス二人でカリフォルニアバレーホにあるエスクァイア映画劇場映画を観に行ったことがあります。その映画にはカウボーイインディアン出てきて、満場観客たちが大喝采する中、進軍ラッパ鳴り響き騎兵隊撃ちまくり、否も応もなしにインディアンがぶち殺されるんです。デイスは、とても見ていられない様子でした。彼は、顔を手で覆っていました。あなたが8歳9歳だった頃、私たちはそんなふうだったんです。あなたは多分、今度映画(『ラスト・オブ・モヒカン』)はそれと違ってインディアンが勝つかもしれないなと思うでしょうね。まあそれからその後で、私たち映画館を出るわけです。 それから、これはホントの話なんですが、そのあと私たち兄弟は、メキシコ人とかフィリピン人中国人黒人に対して、ちょうど映画の中でインディアン白人と戦うのと同じようにして、背中合わせに戦わなければなりませんでしたこういう近所の子供たち全員が、私たちに言うわけです。「おいインディアン思いっきりケツひっぱたいてやるぞ!」とね。

※この「西部劇における先住民の描写」の解説は、「西部劇」の解説の一部です。
「西部劇における先住民の描写」を含む「西部劇」の記事については、「西部劇」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「西部劇における先住民の描写」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「西部劇における先住民の描写」の関連用語

1
4% |||||

西部劇における先住民の描写のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



西部劇における先住民の描写のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの西部劇 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS