インディアン文化に対する白人の誤解
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/23 10:26 UTC 版)
「ポウハタン」の記事における「インディアン文化に対する白人の誤解」の解説
ポウハタン連邦はその領土の中に、イギリス人入植者に北アメリカで最初の恒久的入植地を造られたインディアン部族として有名である。これはインディアン部族連合国家の没落の始まりでもあった。 白人の上陸と同時に彼らとの間には殺し合いが始まった。インディアンたちは、イギリス人以前にすでに当地に上陸したスペイン人との紛争があったために、白人に悪感情を持っていた。このため、イギリス人が上陸した途端にもめ事が起こり、さらにイギリス人は彼らに問答無用で銃撃を加えている。こうして、ジェームズタウンにイギリス人が上陸してわずか2週間以内には、インディアンが射殺されるという事件が起こった。 当初、白人入植者たちは友好的な関係を望み、インディアン側に食べ物を乞い、取引する計画だった。クリストファー・ニューポート船長は1607年にジェームズ川を遡る最初の探検を率い、ポウハタン族の酋長、パラハントと初めて出会った。ニューポートは当初パラハントが「最高位」にあるポウハタン酋長、すなわちワフンスナコックだと誤解した。だがそもそもインディアン社会には、「最高位」の立場など存在しない。パラハントは調停者として、闖入者との交渉の矢面に立ったのである。 このジェームズタウンへのイギリス人上陸をきっかけに、続々と入植白人の侵略が始まり、インディアンの土地を蚕食していったことで、その後37年間ほとんど絶え間のない紛争に繋がった。 ニューポートは「最高位にある酋長」(そんなものは存在しない)に儀礼用の王冠を被らせ、インディアンの友好を得るために多くのヨーロッパからの贈り物を贈呈した。ニューポートはポウハタン族との友好が小さなジェームズタウン植民地の存続に不可欠であると判断した。 白人はインディアンの酋長を「王」、または「支配者」だと思い込んだ。彼らはワフンスナコック(ポウハタン酋長)を「ポウハタン連邦の野蛮な皇帝」と呼び、「ワフンスナコックがポウハタン族を支配している」と勘違いした。このため、白人たちは「ポウハタン酋長と盟約し、彼を懐柔すればポウハタン連邦の全部族民がこれに従うだろう」と思い込み、この酋長に「王冠」を被らせ、従属の図式を作ろうとしたのである。しかし、そもそもインディアンの社会はイギリスのような「国王」が支配するような帝国ではなく、合議制に基づく民主主義社会である。インディアンたちから見れば、白人の企んだこの催しごとは、「白人がやってきて、贈り物と一緒に調停者に冠を被せた」だけにすぎない。 なにはともあれ、白人は彼らに贈り物をしたので、インディアンたちは白人が和平を結ぶつもりであるということは理解した。 一方、植民地議長となったジョン・スミスは、マーティン船長の指揮で軍隊を派遣し、ナンスモンド族領地の島を占領し、ナンスモンド族を追い出した。同時に別の部隊をフランシス・ウェストの指揮で派遣して滝の近くに砦を建設し、その後幾らかの銅と引き換えにパラハント族から近くにあるポウハタンの防御柵で囲まれた集落(現在のリッチモンドにあった)を「購入した」。 白人はインディアンから「土地を購入した」つもりでいるが、インディアンには「土地を売り買いする」という文化は無いから、彼らはこれを理解していない。インディアンから見れば、「贈り物をしたのだから、ここから出ていってもう戻ってくるな」ということである。インディアンがこれを納得できるわけがなかった。白人のほうは、「部族の実力者」である酋長が調印すれば、部族民はこれに従い、土地を明け渡すだろうと思い込んでいるのである。 スミスは飢えた植民の要求に従い、インディアンからの食料略奪を始めた。スミスは船をあちこちの沿岸に乗り寄せ、地元のインディアンの村々を襲い、酋長を人質にとって村人を脅迫し、トウモロコシや食料を強奪した。 スミスはパラハント族から「買った」つもりの集落を「ノンサッチ」(無比のもの)と改名し、ウェストの兵士達をそこに住まわせようとした。ジェームズタウンの境界を越えて入植地を拡大しようというこれらの企みはどれも、ポウハタン族の抵抗に遭ったために失敗した。 スミスは火薬事故の傷がもとで、1609年にバージニアを離れてイングランドに戻り、二度とバージニアに戻ってくることは無かった。その後間もなく2番目のイギリス人による砦、アルジャーノン砦がケクータン族の領地内に造られた。スミスがインディアンに対して行った誘拐、略奪、殺人、脅迫は、ポウハタン族を始め地元のインディアンたちに強い怒りと憎しみを植え付けた。スミスはポウハタンの村の一つを襲い、ワフンスナコックの弟のオペチャンカナウ酋長に銃を突きつけ、「トウモロコシ20トンの要求」という村の存続を危うくするほどの脅迫を行っている
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