能登のキリコ祭りとは? わかりやすく解説

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能登のキリコ祭り

名称: 能登のキリコ祭り
ふりがな のとのきりこまつり
種別1: 風俗習慣
保護団体名:
選択年月日 1997.12.04(平成9.12.04)
都道府県(列記): 石川県
市区町村(列記):
代表都道府県 石川県
備考 所在地同一都道府県のもの(このデータ種別1から移行しています)
解説文: 能登半島には、木枠組んだ大型灯籠担いで神輿供奉神幸明かしとする行事広く分布する灯籠キリコ切子)・ホートー奉灯)・オアカシ(御明かし)などと呼ばれているが、一般的にはキリコ呼ばれる。この祭り夏から秋にかけて行われキリコ祭り総称されている。宵祭り神社参集したキリコが、神輿に従って水辺設けられお旅所向かい、そこで柱松焚いて祭典を行う形をとるものが多い。キリコいわゆる切子灯籠きりこどうろう】の略称で、初め笹竹角灯吊るしただけの笹ギリコやレンガクと呼ばれる簡素なものであったが、文化・文政期を境に現在のような本格的なキリコ出現し意匠華麗さ競うようになった考えられている。キリコ形態や行内容地域ごとに多彩な展開示している。たとえば、八月七・八両日わたって行われる能都町宇出津【うしつ】のキリコ祭りは、俗にあばれ祭りなどとも呼ばれ宵祭りには多数キリコ大松明おおたいまつのまわり乱舞し本祭りには八坂神社神輿若者たちによって海中火中投げ込まれるなどの特色をもっており、ほかにも大松明につけられている御幣奪い合う輪島市南志見【みなみしみ】の水無月祭みなづき】りや総輪島塗キリコが出る輪島大祭【わじまたいさい】、キリコ海中乱舞見られる珠洲市鵜飼【うかい】の宝立七夕【ほうりゆうたなばたキリコ祭り豪華な山車の上箱形紙張り人形灯籠を飾る珠洲市飯田地区飯田灯籠山【とろやま】祭りなどがある。
 六月輪島市祭り奉納されるキリコは、先端部に笹を残した青竹行灯をつけたもので、現在では町内ごとに趣向を凝らす山車とともに奉納され仮装行列の趣を呈しているが、本来は神輿渡御供奉する奉灯から出たといわれるキリコ原初的形態うかがわせるのであるまた、能都町鵜川【うかわ】のニワカ祭り奉納されるキリコは、ソデギリコという横長で袖のついた形をしたもので、縦長長方形のものとは一種趣を異にしたものである。穴水町中居南【なかいみなみ】の日吉神社秋季例祭奉納されるレンガクは、海上渡御する神輿を囲むように立てられるもので、二段作った高さ一メートル、幅六〇センチメートル厚さ二〇センチメートルほどの各灯籠上下二本ずつの蝋燭立て中心にメートルほどの竹を刺した簡単な作りのものである内浦町小木では春祭りには子どもが、夏祭りには若者が、秋祭りには壮年の者がそれぞれソデギリコを出す。ソデギリコの起源は明らかではないが、奴凧【やつこだこ】に似た形で袖付夜着【よぎ】を思わせる形からその名がついたという。かつては高さ四間半(八・一メートル)、幅一一間(一九・八メートル)もの大きさがあったというが、現在は高さ五メートル、幅七メートルほどに小型化している。
 能登地方キリコはそのほとんどが秋の収穫感謝祭りや、夏の納涼祭り奉納されるが、珠洲市一円ではそれ以外にも月遅れ八月七日中心とする七夕や盆の行事にも登場する七夕行事かつては能登地方各地行われていたが、七夕ギリコ担ぎ出されて現在まで盛大に行われているのは珠洲市一円限られており特色ある行事となっている。

能登キリコ祭り

(能登のキリコ祭り から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/15 15:02 UTC 版)

七尾市で行われる石崎奉燈祭

能登キリコ祭り(のとキリコまつり)は、石川県能登半島各地で行われる祭りである[1][2][3]

特徴

切籠(キリコ)または奉燈(ほうとう)と呼ばれる切子灯籠が使われる[1][4]。高さが10メートルを超える巨大なキリコもあるが、4メートルから6メートルのものが主流で、20人前後が1台のキリコを担ぐ[1][5]。地域によって御明かし(おあかし)とも呼ばれる。市街地を練り歩き、御旅所(多くは水辺や広場)に渡御神社に戻るのが一般的で[4]、祭りによっては海上を渡御するものもある[4]

主に7月から9月に掛けて夏祭り・秋祭りとして[6]、能登半島の約200か所で行われており[1][2][3][4]疫病退散[1]または大漁豊作[2]を願って始まったものが多い。

歴史

キリコ祭りは江戸時代の発祥とされ[4]、由来は祭りによって異なるが京都祇園祭に由来または夏超しの神事に由来するものに分けられる[1][4]。祭りの歴史は伝承にとどまるものもあり、文献による記録はそう多くないが、1647年正保3年)の輪島住吉神社の祭礼定書にキリコのことが書かれている[1][3]

1997年平成9年)12月4日、「能登のキリコ祭り」として国の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選択された[7]

2015年(平成27年)に放送されたNHK連続テレビ小説まれ』では、土屋太鳳が演じる主人公がキリコを担いで祭りに参加する場面がある[3]。また、同年4月24日には、「灯り舞う半島 能登 ~熱狂のキリコ祭り~」の名称で文化庁による日本遺産に認定された[3][8]

近年[いつ?]過疎化に伴い担ぎ手が不足している地域があり、宝立七夕キリコ祭りでは2019年令和元年)より、開催日をそれまでの8月7日から8月第1土曜日に変更した[2]。また、2024年に発生した能登半島地震能登半島豪雨の影響で、同年の開催を断念したり規模を縮小したりした祭りが多数に上ったことから、石川県は翌2025年度よりキリコの担ぎ手や運営スタッフのボランティアを募集する制度を創設した[9]

キリコ

輪島キリコ会館に並べられたキリコ
キリコ吉祥文字

キリコは、代表的な形としては背が高い直方体状の行灯[1]、前面中央部には漢字3文字で表した「キリコ吉祥文字」と呼ばれる地区ごとの願いや祈りを込めた文字を配し[1]、「後美人」と呼ばれる背面には武者絵風景画など様々な絵が施されている[1][5]。上部は切妻屋根の構造で[5]提灯御幣などの飾りが付けられている[5]。ただ実際のキリコの形や大きさはその地区・地区により様々である[5]。中には青森ねぶたにも似た曲線状のものも存在する。

キリコは「笹キリコ」と呼ばれるの先端に和紙を付けた手で持てる程度のものが始まりとされており[1][3]、次第に巨大化していき、江戸時代後期には現在のキリコになったとされている[3]

主なキリコ祭り

記載している期日は年度によって変動がある。

七尾市
輪島市
  • 剱地八幡神社大祭(おさよ祭り) - 7月中旬
  • 水無月祭り - 7月下旬
  • 名舟大祭 - 7月下旬
  • 曽々木大祭 - 8月17日
  • 輪島大祭(奥津姫神社大祭・重蔵神社大祭:住吉神社大祭・輪島前神社大祭の総称)- 8月22日 - 25日[11]
珠洲市
穴水町
  • 中居キリコ祭り - 7月下旬
  • 明千寺キリコ祭り - 8月中旬
  • 沖波大漁祭り - 8月14日・15日[11]
  • 大町・川島祭り - 9月中旬
  • 前波曳山祭 - 9月中旬
能登町
  • あばれ祭 - 7月第1金・土曜日[10]
  • 藤波キリコ祭り - 7月14日・15日
  • 姫どいやさ祭 - 7月第4土・日曜日
  • 松波人形キリコ祭り - 7月第4土曜日
  • 恋路火祭り - 7月27日
  • ござれ祭り - 8月中旬
  • にわか祭 - 8月24日
  • 波並大祭 - 9月第1金・土曜日
  • 柳田大祭 - 9月16日
  • 小木袖キリコ祭り - 9月第3土・日曜日
志賀町
  • 大福寺祭 - 8月上旬
  • 西海祭り - 8月14日
  • 酒見祭 - 8月下旬
  • 富来八朔祭り - 8月下旬
  • 福浦祭 - 8月下旬
  • 笹波・前浜祭 - 8月下旬

キリコ祭りを紹介する施設

輪島キリコ会館

輪島キリコ会館

輪島市マリンタウンにある輪島キリコ会館[3]では、大小のキリコ31基を常設展示し、キリコ祭りを紹介している[3]。1979年(昭和54年)6月、前身である「能登のお祭り館 キリコ会館」が同市塚田町3-22-2に開館した。2015年(平成27年)3月29日、マリンタウンに移転して「輪島キリコ会館」としてリニューアルオープンした[12][13]

和倉温泉お祭り会館

脚注

  1. ^ a b c d e f g h i j k 日本遺産を訪ねる西への旅 神をいざなう能登の祭り」『Blue Signal』2019年7月号、西日本旅客鉄道、2019年7月、2022年12月30日閲覧 
  2. ^ a b c d e 【美しきにっぽん】夢幻 漆黒照らす燈籠 能登半島・キリコ祭り”. 産経フォト (2019年10月2日). 2022年12月30日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i “能登の祭りの代表格「キリコ」 土屋太鳳さん、自衛隊も担ぐ”. 朝日新聞デジタル. (2022年5月29日). オリジナルの2022年5月29日時点におけるアーカイブ。. https://web.archive.org/web/20220529163550/https://www.asahi.com/articles/ASQ5X747GQ5QPISC001.html 2022年12月30日閲覧。 
  4. ^ a b c d e f JTB 2018, p. 134.
  5. ^ a b c d e JTB 2018, p. 135.
  6. ^ JTB 2018, p. 134-135.
  7. ^ 能登のキリコ祭り - 文化遺産オンライン文化庁
  8. ^ これまでに認定された「日本遺産」一覧 文化庁、2018年12月5日
  9. ^ 祭りお助け隊見参 キリコ担ぎ、運営補助「任せて」 県が新設、能登の伝統守る〈いしかわ2025年度予算案〉」『北國新聞』北國新聞社、2025年2月19日。2025年6月15日閲覧。
  10. ^ a b JTB 2018, p. 136.
  11. ^ a b c JTB 2018, p. 137.
  12. ^ いよいよ明日輪島キリコ会館オープンです!”. 輪島キリコ会館 (2015年3月28日). 2020年8月27日閲覧。
  13. ^ キリコ会館 本日リニューアルオープン”. 輪島ねぶた温泉能登の庄 (2015年3月29日). 2020年8月27日閲覧。

参考文献

関連項目

外部リンク



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