老朽廃車・車体更新とイベント車への移行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/12 01:14 UTC 版)
「東武100形電車 (軌道)」の記事における「老朽廃車・車体更新とイベント車への移行」の解説
上記の通り、本形式は途中で1両が脱落したものの、残る9両は1989年まで揃って在籍していたが、製造後36年を経て車体の疲弊が目立ち始めたことと、岡山電気軌道で最後に残った非冷房車であったことから、特に夏場にサービス面で不評を買うようになっていた。 そこで冷房化を兼ねて車体新造が実施されることとなり、1989年以降、概ね年1両のペースで主電動機や制御器等を流用して岡軌7900型への更新が開始された。 この工事は1995年の8501竣工と、これに伴う3006の廃車でラッシュ時の運用定数が冷房車で充足されたこと、それに続く増備車が超低床構造の9200型となったことなどから打ち切られ、2011年5月現在は3005・3007・3010の3両のみが在籍した。 前述の通り、本形式は岡山電気軌道に残された最後の非冷房車であり、現在はイベント用車両としての性格が強く打ち出され、前述の3両とも以下の特別塗色となっていた。 3005 - 東武日光軌道線塗色(2005年〜) 3007 - KURO(2004年〜) 3010 - レトロ調に塗装を変更(1991年〜)→夢二号(竹久夢二生誕120周年記念、2004年〜2006年)→ピアノ(CSデザイン学生賞2006受賞作品/浜崎祐貴、2006年〜2008年)→チェック模様(CSデザイン学生賞2008受賞作品/高橋健吾、2008年〜2013年)→東武日光軌道線塗色(2013年さよなら運転時) 3007は2004年に自社東山工場でリニューアル工事(大阪車輌工業による出張工事)を実施したが、3005・3010は未実施で、車内はほぼ岡山電気軌道移籍時のままの姿をとどめている。 3007のリニューアル工事は、デザインを水戸岡鋭治(両備グループデザイン顧問)が担当し、車体は烏城と呼ばれている岡山城にあわせて、「からすの濡れ羽色」を表現した独特の黒色となった。車内は木製の素材感を生かしたレトロ調となっており、座席には楢の木、日よけには科(シナ)の木が使用され、つり革は日本の鉄道・軌道含め初めての本革が使用されており、握り部分はカーボンファイバーを中心に挟んだ合板製になっている。リニューアル工事完成後にKUROの愛称がつけられた。 2011年5月現在、3007が東山線で1日5往復の定期運用を、3005が毎月第1土曜日に東山線で2往復の定期運用を持っているが(いずれも、6月〜9月は運休)、3010は定期運用がなく事実上休車扱いとなっていた。また、3005は岡山市などの啓発電車として不定期で東山線で運転されるほか、毎年12月に東山線で運転されるクリスマス電車には、3007が2004年から2020年まで使用されていた。その後3010は2012年5月に希望者に無償譲渡されることが発表され、6月には栃木県日光市の観光施設「日光霧降高原チロリン村」への寄贈が決まった。3005と同じ日光軌道線色に復元整備の後、2013年4月7日にさよなら運転を行って4月23日に東山車庫から現地へ輸送され、4月27日から一般公開された。その後2020年3月より、上述のチロリン村から東武日光駅駅前広場に移転の上で再公開されている。この移転に際し、岡電時代の石津式パンタグラフのままだった集電装置が日光時代に近いビューゲルに復元されている。 また、9200型MOMOの竣工を前に廃車となった3009は本形式にとって縁の深い日光市の鉄道愛好家に無償で譲渡され、現在栃木県内にて保存されている。 2020年2月現在、3005・3007の2両が在籍している。新旧の番号対照は下記の通りである。 東武車番岡電車番備考東武車番岡電車番備考102 3001 1968年7月岡電竣工1973年10月10日事故のため廃車解体 104 3006 1969年8月31日岡電竣工1995年3月1日8501号の代替で廃車解体 105 3002 1968年12月28日岡電竣工1991年6月7日8101号との代替で廃車解体 108 3007 1970年1月岡電竣工KURO 106 3003 1969年5月28日岡電竣工1989年7月10日7901号との代替で廃車解体 101 3008 1969年7月10日岡電竣工1993年3月31日8301号との代替で廃車解体 107 3004 1968年9月20日岡電竣工1992年4月4日8201号との代替で廃車解体 103 3009 1969年7月16日岡電竣工2002年5月13日9200型momoとの代替で廃車後栃木県で保存 110 3005 1969年3月岡電竣工東武日光軌道線色 109 3010 1969年7月16日岡電竣工夢二号→ピアノ→チェック模様→東武日光軌道線色2013年4月廃車後栃木県で保存、2020年3月に東武日光駅前に移転
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