経学の対象とは? わかりやすく解説

経学の対象

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/13 15:35 UTC 版)

経学」の記事における「経学の対象」の解説

儒家経典五経九経易書詩礼(儀礼/周礼春秋 礼記春秋左氏伝春秋公羊伝春秋穀梁伝 七経十二経論語孝経 爾雅 十三経孟子 経学研究の対象とするのは、儒教において最も重視された「経書」と呼ばれる古典群である。易・書・詩・礼・楽春秋六種六経)である。このうち楽経書物ではなく楽譜であった。そのため後世には、書物として伝わった易・書・詩・礼・春秋の5種類五経)が伝えられた。なお、易を頂点とする易・書・詩……という経書配列方法は、漢代決定されたものである。 各経書テキストにも異同が多い。最も大き異同今文古文との異同である。今文古文相違は、秦の焚書によって失われた経書継承かかっている。即ち、焚書によって経書を失つた経学者は、口伝方法によって経文とその解釈継承した彼等は、漢代儒学復興時に漢代通用していた文字書き写したが、それが今文である。一方焚書難を逃れるため、経書隠したものがいた。それらの書物は、漢代経学復興時に漸次発見された。その書物先秦文字書かれてあるため古文呼ばれたこのように今文古文との相違は、経書伝承問題過ぎず書物伝わった古文の方が正確であったとされる。しかし今文古文背後存在する政治的問題や、古文読解過程やその発見時の偽作などの問題交わり経学史上複雑な影を落とした。ただ現存するテキスト殆んど古文経書である。 易経周易呼ばれる夏王朝連山殷王朝帰蔵対し周王朝の易という意味とする説がある。漢代以前『周易』呼ばれ宋代以後は『易経』と呼ばれる場合が多い。本来は占筮占い)の書であるが、魏の王弼人間本質義理)を講説するものとして義理易なる学問提起した今文には施氏・孟氏・梁丘氏・京氏の四家古文には高氏・費氏の二家存在する現存するものは費氏系のテキストである。 書経先秦時代文献には単に書とされる漢代は『尚書』と呼ばれ宋代以後には『書経』呼ばれるようになった。古の聖王政治的宣言集めたもの。一般に尚書百篇とされるが、本当に百篇存在したか否か学説によって分かれる今文には欧陽氏・大夏侯氏・小夏侯氏があり、古文には孔安国のものがあった。現存する尚書』は、今文尚書合致する古文テキスト(真古文尚書)と、東晋時代偽作されたとされた偽古文尚書合体したのである詩経先秦時代文献には単に詩とされる現代まで伝わったテキスト漢代古文学一派毛氏テキストであったことから、『毛詩』と呼ばれる宋代以後には『詩経』と呼ばれるようになった。『毛詩』は本来、恋愛悲哀などを歌ったのであるが、漢代詩学は、そのような本文直接的意味を解読するではなく、詩の文字直接的意味と切り離し政治的意味解釈する学問であった一方宋代の詩研究は、詩の本来的意味追求する方面重きを置くようになった今文には申氏・轅氏・韓氏三家存在し古文には毛氏があった。 三礼現在、正式に礼経なる書物存在しない礼経関連する書物に、『儀礼』『周礼』『礼記』の三書がある。この三書を「三礼」と総称するこの中、『儀礼』が礼経であると考えられるが、現在の儀礼』には士礼し含まれていないため、現存儀礼』は完全な礼経一部であるとする学説と、本来は士礼のみであったとする学説との論争止まない。『儀礼』は士の行う礼儀作法説いたのである。なお『儀礼』は今文である。 南北朝時代以後支配的地位占めたのが『礼記』である。『礼記』とは「礼」の「記」という意味である。この場合の「記」とは、注釈意味する。即ち『礼記』は、本来礼経注釈書物であった。しかし漸次勢力を得、唐代官選注釈書五経正義』の礼部門に選ばれた。宋代以後はその地位相対化されたが、明の『五経大全』の一つにも『礼記』が選ばれ礼経正統的地位保持しつづけた。『礼記』は先秦経学者によって書かれたと伝承される部分もあるが、殆んど漢代経学の手になるものである現行本『礼記』は、漢代戴聖の手成ったと云われている。 『周礼』は前漢末期劉歆発見した書物で、周の礼制を詳説したものである。しかし書物成立内容不安な部分多く戦国時代捏造された書物であるという説や、発見者劉歆偽造したのであるという説が横行した一方、礼の制度的側面重視する周礼』は、前漢末に革命起こした王莽始め、宋の王安石など、一部には熱烈な信奉者生み出した。『周礼』は歴代王朝、常に賛否分かれた書物であった。なお『周礼』は古文しか存在しない楽経現在、楽経なる書物存在しない楽経楽譜であったとする説や音楽理論書であったとする説、音楽そのものであったとする説がある。 春秋経現在、正確に春秋経単独に現存しない。現存する春秋経は、先秦より漢代春秋経解釈した『春秋左氏伝』春秋公羊伝』『春秋穀梁伝』の三書引用された「経」の部分を指す。単に春秋呼ばれる場合が多い。春秋経は、国史下敷き孔子筆削加え微妙な文字差異褒貶込めたとされる書物である。また公羊学説では、孔子弟子に百二十ヶ国の歴史書集めさせ、それを取捨して作ったものが春秋経であった主張する一説もあった。今文は『公羊伝』と『穀梁伝』であり、古文は『左氏伝』である。

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