本来的意味
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/10/12 07:37 UTC 版)
ニーチェが『反時代的考察』で示したショーペンハウアーから先の大きな見通しを、およそ次のような形でまとめられることができる。革命の気運の時代の後、その挫折に伴って反動期がやってきた。その結果、ドイツ文化に次のような現象が蔓延した。 1, 愚劣な国家主義の台頭 2, キリスト教の堕落、その国家主義との癒着 3, 文化の営利主義、俗物主義 4, 単なる形式上の美(新奇なモノ、流行、世論)を追い求める傾向。つまり、美の内実の閑却。 これら、すべての事柄が忘れているのは、「生の本来的意味」を強く求め、苦悩を負ってもそれをどこまでも「誠実」に突き詰めるという態度である。ショーペンハウアーが初めてこうした道筋の可能性を示した(ワーグナーはその現実態であった)。 つまり、あくまで純粋なロマン主義にしがみつくのでなく、まずロマン主義(つまり、人間の純粋な理想)それ自体が孕んでいる現実的な矛盾をむしろ積極的に露わにすること、そして、その上で「それにもかかわらず」人間の本当の生の意味は、現実社会の論理のうちには全く見い出せないことをはっきりと示すこと。それが、ニーチェにとって必要なことだった。
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