第4波 3度目の緊急事態宣言
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/16 15:05 UTC 版)
「吉村洋文」の記事における「第4波 3度目の緊急事態宣言」の解説
2月10日に吉村は朝日放送テレビのキャストに出演した際、緊急事態宣言解除後の感染症対策として会食中にしゃべる時だけマスクを上げ下げる「マスク会食」の義務化を飲食店へ要請する考えを示したが、府の対策会議では「マスクの表面を触るのはお勧めしない」「孤食・黙食が有効」などの意見が識者から相次ぎ、「表面には触らずひもを持って上げ下げする」という折衷案で着地点を見出した。しかし、これについても専門家からは「人にうつさない部分では有効だが、自分自身が感染しないという意味では不十分。アゴにずらすというのは感染症的によろしくない」と指摘を受けた。府は宣言解除後のリバウンド対策として大阪市内では飲食店に対する午後9時までの営業時間短縮要請を続けたが、3月下旬には府内の新規感染者は300人台へと急増し、吉村は3月29日、蔓延防止等重点措置の適用を政府に申請するとともにマスク会食の徹底や飲食店へのアクリル板や二酸化炭素濃度センサーの設置を呼び掛けた。アクリル板の設置などは宣言解除時でも要請できたものであるため、府医師会の茂松茂人会長は「宣言が解除された時から、飲食店の感染対策を進めるべきだった」と苦言を呈した。4月5日には大阪などに蔓延防止等重点措置が適用されたことを受け、府市の職員計40人でマスク会食などの飲食店の感染防止対策をチェックする「見回り隊」の運用を始めたが、マスク会食の推奨については専門家からは「マスク会食なんかを勧めたら『会食していい』と言っていると誤解される。なぜ会食禁止にしないのか」(近畿大学吉田耕一郎教授(感染症学))などの批判もあり、13日には一日の新規感染者数が1,000人を超えたことを受け府も少人数での「マスク会食」も控えるように呼びかけるなど、軌道修正を余儀なくされた。 また、2月に緊急事態宣言が解除されたことを受け、大阪府は3月初旬、医療機関に対し重症病床の数を府内全体の確保計画で「150床」と定める「フェーズ3」の状態まで減らすよう要請しており、医療機関は病床を減らし、すぐに使える重症病床は減少していったが、3月下旬になって新型コロナの感染が急拡大し、大阪府は3月31日に再度、重症病床を最大限、確保するよう各医療機関に要請を出した。しかし、いったん減らした重症病床をすぐに戻すことは難しく、4月7日に大阪府は医療非常事態宣言を再度発令した。 大阪府内の重症患者用の病床が逼迫していることを受け、4月6日には軽症・中等症病床でも重症患者を診るようになり、12日に府は不急の手術の延期など、一般医療を一部制限して病床を追加確保するよう要請。15日には軽症・中等症病床の重症患者も含めると重症病床使用率が事実上100%を超える事態となり、20日には新型コロナウイルスに感染した大阪市内の男性の救急搬送先が見つからず、救急車内で1日半ほど待機する事例も発生。同20日の府の専門家会議では、座長の朝野が「医療崩壊といっていい状況だ」と指摘した。同日には政府が大阪府などを対象に3回目の緊急事態宣言を発令する準備に入ったが、2回目の宣言解除後大阪で感染が拡大したことで、政権内からは吉村の手腕を疑問視する声が噴出した。 4月21日に吉村は記者会見で新型コロナウイルス対策強化のための令和3年度一般会計補正予算を専決処分したと発表した。飲食店への協力金費用約1,221億円や、二酸化炭素濃度センサーの設置助成金約116億円のほか、飲食店への「見回り隊」の関連費用は約2億円盛り込まれた。見回り隊は3回目の宣言が発令された同25日からは巡回範囲を府内全域に広げたうえで、府市町村職員と業者がペアを組む600人態勢とした。この見回り隊はアルバイトも多く、ネットでは「大量募集 時給1300円 飲食店見回り業務!」といった募集もあった。また、店外からチェックするだけであったり、すでに閉店した店ばかりのリストを手渡されていたりなどずさんなチェック体制も報じられ、飲食店からは「こんなのに税金使っているなら、俺たち(店)の支援をもっとやってほしい」との意見も多数寄せられた。 第4波では、大阪府での死者が多く出た。累計死者数は5月22日時点で2114人で、人口の多い東京都の2015人より多く。府が第4波とする3月1日以降、5月21日までの死者は973人で全国の22.7%を占め、2番目に多い東京の634人を大きく引き離している。同期間の10万人あたりの死者数は大阪府が全国最多の11.0人で、東京都(全国5番目)の4.6人の2倍以上だった。5月1日から31日までの1か月間の死者数は859人と月間の死者数としては最多で1月の347人を超え倍以上となった。3回目の緊急事態宣言が出た4月25日以降、6月4日までの約1か月で、大阪府では2万5161人が感染し、1051人が死亡した。こうした現状に医療現場からは、2回目の緊急事態宣言を前倒しで終了し重症病床を削減させた大阪府の責任を訴える声もある。こうした批判もある中、吉村の対応について立憲民主党の枝野幸男代表が、5月10日の衆院予算委員会で「3月1日に重症病床の確保数を3割減らす通知を出している。病床不足に輪をかけた」と批判した。6月4日に吉村は「現場の要請に応じて運用病床を減らすとなると、どこかの立憲民主党代表から『吉村が病床を減らしたんじゃないか。一番悪いのは、吉村だ』といわれないようにしないといけない」「理解のない野党第一党党首にいちゃもんをつけられたら、うっとうしい」などと主張し反論した。 また、大阪府の時短協力金の支給は2月に受け付けた「第1期」ですら、4月下旬までの支給率は約5割にとどまり、吉村は「府の人員体制を強化し、(支給手続きを)進めたい」と述べた。5月中旬時点での「第1期」の協力金の支給率は緊急事態宣言が出された都府県のうち大阪を除く10都府県が8割を超えたのに対し、大阪が56%で最も低かった。吉村は「第1期」の支給遅れに対し、5月18日に同月中に支給完了を目指す考えを示したが、6月中旬時点での支給率は78%で、11都府県の中で唯一90%台に達しなかった。協力金の支給を巡っては東京都が民間委託で300人、都職員300人の600人態勢を組み迅速化を図ったのに対し、大阪府は民間委託が200人体制なのに対し府職員は3月末まで2、3人だけで対応しており、民間への丸投げが支給遅れを招いた。
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