第4段階:専門技能(15~48週間)
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「アメリカ陸軍特殊部隊群」の記事における「第4段階:専門技能(15~48週間)」の解説
この段階では、特殊部隊の士官または下士官として必要な専門技能の習得に加え、他機関との連携活動要領の教育も実施される。士官は特殊部隊分遣隊将校課程に、下士官はいずれかの専門家課程に参加する。 特殊部隊分遣隊将校課程(18A訓練課程/15週間) Aチーム指揮官としてのリーダーシップや非在来戦における作戦計画立案と兵站などの他、学術的な面も重視されていてゲリラ戦や内乱についての詳細も学ぶ。 特殊部隊兵器専門家課程(18B訓練課程/15週間) 世界各国のあらゆる兵器について、その分解組立から使用可能な弾薬の種類、特徴、さらには手製の銃や弾薬の作り方、射撃場の設営、安全操作、緊急時の対処などを数週間かけて学ぶ。あらゆる兵器の取扱に精通しなければならない理由として、武器の携帯を許されない国に潜入しなければならない場合、ゲリラなどの地下組織の使用する武器は多種多様であること、後方攪乱のために故意に敵と同じ武器を使用する場合、自分達の武器が使用不能になったり銃弾が尽きてしまった場合は敵の武器や弾薬を使用せざるを得ない、などが挙げられる。ちなみに、友好国の銃の入手は購入や提供などであるが、当然ながら敵国や仮想敵国からはそれらの方法で武器を入手することは出来ない。そのため、敵国の武器を入手する方法は、前線での鹵獲が主になる。前線の各部隊に、必要に応じて敵の武器を入手してもらい、相応の経路から訓練センターに譲渡される事になっている。 特殊部隊工兵専門家課程(18C訓練課程/15週間) 一般的な爆薬の取扱や各種地雷の機能と敷設・撤去・記録法などの標準的な工兵技能から、最小の爆薬で最大の効果を挙げるという特殊部隊工兵としての技能までを学ぶ。その他にも爆破装置や時限爆弾の作製とその除去法、小隊から師団規模の攻撃用および防御用地雷の敷設法、匂いで爆薬の種類を識別する方法、不発弾処理の方法なども訓練される。訓練が佳境に差し掛かると、手製の爆発物の作り方や現地調達の材料から爆発物を作る方法(たとえば、卵の白味と動物の血液から爆発物を作るなど)を教わり、実際に作製して実験を重ねる。 特殊部隊医療衛生専門家課程(18D訓練課程/48週間) 特殊部隊専門技能訓練の中で最も長い課程で、医療衛生の全分野にわたって学ぶ。全ての陸軍病院や軍の医療研究所、民間病院などで集中的な技能訓練を積むと、本物の医者顔負けの医療技能を身に付けることができる。まずは陸軍病院で止血法、包帯の巻き方、負傷者の運び方、応急処置法などの衛生兵としての一般的な技能を学び、続いて特殊部隊医療衛生専門家としての本格的な訓練に移る。ここからの訓練は、統合特殊作戦医療衛生訓練センターの特殊戦医療衛生グループが担当する。志願者は1000キロメートル四方に医者がいないという想定の下で猛訓練を強いられ、歯痛の応急処置から抜歯、助産法、皮膚移植、盲腸などの簡易手術、手足の切断に至るまであらゆることを学ぶ。 特殊部隊通信専門家課程(18E訓練課程/15週間) モールス信号からコンピュータ通信に至るまで基礎から高度にわたる通信技能を学ぶ。まず手始めは、特殊部隊通信専門家の最低条件であるモールス信号を用いて1分間で最低25語の送受信ができるように訓練される(モールス信号は1語5文字なので、1分間に最低でも125文字の送受信をするということ。これにはかなりの技術を要する)。その後、コンピュータ通信、SATCOMなどの通信衛星使用方法、地上から受ける磁気の影響、周波数とアンテナの長さの相関関係、暗号作成の際の乱数表や解読装置の秘密保全、無線通信に最適な場所の選定方法、低出力無線機での長距離通信方法などを学ぶ。 特殊部隊新兵訓練課程(18X訓練課程) 18Xは、陸軍兵科の例外的な兵科コードで、新兵の内、入隊時に徴募担当官から特殊部隊専門家課程を受ける事を約束された者を示す。18Xで優秀な成績を修めた者は、改めて上記の各専門家課程に進む。
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