目的・成果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/14 15:42 UTC 版)
欧州評議会規程の第1条 (a) ではつぎのようにうたわれている。 (日本語仮訳)欧州評議会の目標は、共通の財産であり、かつ経済的、社会的進歩をもたらす理念や原則を守り、実現するという目的のために、加盟国の間でのより強固な統合を達成することである。 したがって、欧州評議会の加盟資格はヨーロッパの統合を目指し、法の支配の原則を受け入れ、民主主義、基本的人権、自由を保障することができ、またその意思があるすべてのヨーロッパの国に与えられている。 欧州連合の加盟国が欧州連合の法のもとで、国の立法や政策執行に関する権限を欧州議会や欧州委員会に委譲しているのに対して、欧州評議会の加盟国は主権を維持しつつ、協約などの国際法を通じて責任を果たし、共通の価値や政治決定に基づいて協力している。欧州連合では諸機関が第2次法である法令を定めているのに対して、欧州評議会ではこのような協約や決定を加盟国が協力して展開している。欧州連合、欧州評議会はヨーロッパの統合に向けて、それぞれを中心とする同心円状に活動を展開しているが、欧州評議会は欧州連合よりも地理的に広い範囲で活動している。他方で欧州連合は地理的には欧州評議会よりも狭い範囲であるが、加盟国の権限を欧州連合に移しているということからより高次元での統合を進めている。国際法体系の一部として、欧州評議会の諸協約は非加盟国でも署名できるようになっており、ヨーロッパ域外の諸国との同等な協力を促している。 欧州評議会におけるもっとも大きな成果は欧州人権条約であり、議員会議の報告を受けて1950年に採択された。この欧州人権条約によって、ストラスブールに欧州人権裁判所が設置された。欧州人権裁判所は欧州人権条約を遵守しているかを判断しており、そのため人権や基本的自由についてヨーロッパにおける最高位の裁判所として活動している。ヨーロッパの市民がある加盟国によって自らの基本権を侵害されていると考えた場合に、その訴えを提起するのがこの欧州人権裁判所である。 欧州評議会の広範な活動と成果の一部には以下のようなものが挙げられる。 法の支配の保護と司法協力の促進 - サイバー犯罪条約、テロリズム防止条約、汚職・組織犯罪に関する諸条約、人権と生物医学に関する条約などに代表されるおよそ200の諸協約が作成されている。 テロリズムに関する専門家委員会 (CODEXTER) - テロリズム対策の連携を担っている。 欧州司法効率化委員会 (CEPEJ) 人権保護人権と基本的自由の保護のための条約(欧州人権条約) 拷問禁止委員会 人身売買に反対 する行動のための条約 子どもの性的搾取及び性的虐待からの保護に関する条約 欧州社会憲章 ヨーロッパ地方言語・少数言語憲章 民族的マイノリティの保護に関する枠組み条約 報道の自由 - 欧州人権条約第10条と欧州越境テレビジョン条約でうたわれている。 全体主義的な共産主義諸国家における人権侵害への非難 - 強制収容所、人為的な飢饉、拷問、奴隷労働およびその他の組織的暴力などによる個人および集団の殺害、民族的または宗教的迫害、良心や思想を表明する言論の自由と表現の自由への侵害、報道の自由の侵害、政治的多元主義の欠如への非難と共産主義体制下での犠牲者の苦しみを理解する倫理的な責務の表明 議会の監督機能と議員会議による選挙監視や、法による民主主義のための欧州委員会(ヴェネツィア委員会)などによる民主改革の支援による民主主義の擁護 1954年の欧州文化条約、文化的財産の保護に関する諸条約や、グラーツにある欧州現代語センター、リスボンにある南北センターによる文化的協力と多様性の推進 欧州人権条約附属議定書1の第2条とボローニャ・プロセスおよびリスボン認証協定などの大学での学位認定に関する諸協定における教育の権利の振興 アンチ・ドーピング条約と観客の暴力的行為に対する条約による公正なスポーツの推進 ストラスブールとブダペストにある欧州青年センターによる青少年の交流や協力の推進 欧州医薬品品質部門と欧州薬局方による、ヨーロッパ各地での医薬品の品質助成
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