沿革及び経過措置
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「無線従事者 (琉球政府)」の記事における「沿革及び経過措置」の解説
年変遷1945年 沖縄戦により米軍が本島上陸。ニミッツ布告により現行法規の施行を持続。 1952年 日本国との平和条約の効力発生により、北緯29度以南の南西諸島は日本の施政から切り離され、アメリカ合衆国の施政下に入る。無線電信法に基づく無線通信士資格検定規則による無線通信士資格検定試験を実施。 1954年 特殊無線通信士資格検定試験規程が制定された。陸上に開設した無線局の国内通信のための通信操作を行う特殊無線通信士の資格を創設。 これに基づく特殊無線通信士資格検定を開始。 2月19日、無線従事者の免許が高等弁務官の承認事項となった。 1955年 電波法が公布された。本法施行(1956年1月24日)に伴い、無線電信法が廃止された(本土においては、1950年(昭和25年)6月1日の電波法施行に伴い廃止済み)。 日本と異なり予備試験制度はなく、すべての受験者が全科目を受験できた。 免許申請には、身分証明書と医師の診断書の添付を要した(当時の日本と同様)。 免許の有効期間は5年間で、更新は満了の3か月以上9か月未満に行うものとされ、身分証明書、医師の診断書、経歴証明書及び就離業証明書の写も必要とされていた(当時の日本では就離業証明書の写は不要)。免許の有効期間中通算して1年以上又は更新の申請前1年以内に6か月以上当該免許に係る業務に従事し、電波法令及びこれに基づく処分に違反しなかった者に対しては、無試験で免許の更新をすることとされた(当時の日本では、免許の有効期間中通算して2年6か月以上、又は通算して1年6か月以上かつ更新の申請前1年以内に6か月以上当該免許に係る業務に従事し、電波法令及びこれに基づく処分に違反しなかった者に対しては、無試験で免許の更新をすることとされていた)。 失ったときには亡失届をするものとされた(日本と同様)。 施行の際、現に無線通信士資格検定規則による無線通信士又は電気通信技術者資格検定規則による電気通信技術者の資格を有する者は、次の→以下のとおり新資格の免許を受けたものとみなされたが、1年以内に無線従事者免許証の申請をしなかった場合、不可抗力の場合を除くほか失効とされた(日本の電波法附則の経過措置と同様)。第一級無線通信士→第一級無線通信士 第二級無線通信士→第二級無線通信士 第三級無線通信士→第三級無線通信士 電話級無線通信士→電話級無線通信士 電気通信技術者 第一級→第一級無線技術士 電気通信技術者 第二級→第一級無線技術士 電気通信技術者 第三級(無線)→第二級無線技術士 なお、無線通信士資格検定規則による航空級無線通信士及び聴守員級無線通信士並びに特殊無線通信士資格検定試験規程による特殊無線通信士については、みなし規定はない。 日本の電波法に基づく第一級、第二級、第三級または電話級無線通信士、第一級又は第二級無線技術士若しくは特殊無線技士の無線従事者免許を有する者は、申請により、同一資格の琉球政府の無線従事者の免許を付与するものとされた。 施行の際、現に無線設備の操作に従事している者は、1年間は無線従事者の資格がなくても無線設備の操作に従事することができることとされた(日本の電波法附則の経過措置では技術操作のみが認められたが、琉球政府は特殊無線通信士制度を導入していたため、同通信士の資格を有していた者による通信操作も認められた)。 1956年 2月27日から29日まで、無線通信士及び無線技術士の初めての資格試験が臨時試験として沖縄、宮古、八重山及び南大東において行われた。5月4日、第二級、第三級及び電話級無線通信士、各級無線技術士及び特殊無線技士(国内無線電信甲、国内無線電信乙)の免許が初めて与えられた。。7月30日、第一級無線通信士の免許が初めて与えられた。 1957年 特殊無線技士(中短波陸上無線電話)及び特殊無線技士(中短波海上無線電話)が操作できる無線設備の空中線電力が50W以下となった(#1956年の改正)。免許申請及び更新の際必要だった身分証明書が戸籍抄本及び履歴書に変更され、免許更新の際必要だった就離業証明書の写が不要となった。日本の電波法に基づく無線従事者免許を有する者の申請により付与される免許の有効期間は、日本の免許の有効期間とされた。 1960年 電波法が改正された(1960年6月24日公布、同年8月24日施行)。航空級無線通信士及びアマチュア無線技士の資格が創設され、特殊無線技士の種別が改正された(#1960年の改正)。 第三級アマチュア無線技士及び特殊無線技士以外の資格について、予備試験制度が導入され、予備試験に合格したか免除された者に限り実技試験(電気通信術)及び学科試験を受験できることとなった。 予備試験の一般常識については口述により行われることとなった。 有効期限がなくなり、終身免許となった。 免許申請の際必要だった戸籍抄本が市町村長の発行する身分証明書、戸籍抄本又は住民票抄本(琉球に本籍を有しない者であるときは、これらに準するもの。)に変更され、履歴書は不要となった。 施行の際、現に次の資格を有する者は、→以下のとおり新資格の免許を受けたものとみなされた。特殊無線技士以外の免許証については、申請により有効期間の記載の訂正を受けられた(有効期限が施行日以降にわたる場合、訂正されていなくとも有効とされた)。特殊無線技士の免許を有していた者は、1963年8月19日までに新たな免許証の再交付申請を必要とされたが、再交付申請しないと失効するとの規定はなかった。第一級無線通信士→第一級無線通信士 第二級無線通信士→第二級無線通信士 第三級無線通信士→第三級無線通信士 電話級無線通信士→電話級無線通信士 第一級無線技術士→第一級無線技術士 第二級無線技術士→第二級無線技術士 第三級無線技術士→第三級無線技術士 特殊無線技士(レーダー)→特殊無線技士(レーダー) 特殊無線技士(超短波陸上無線電話)→特殊無線技士(無線電話乙) 特殊無線技士(中短波海上無線電話)→特殊無線技士(無線電話甲) 特殊無線技士(国内無線電信甲)→特殊無線技士(国内無線電信) 特殊無線技士(国内無線電信乙)→特殊無線技士(国内無線電信) この他の特殊無線技士(超短波海上無線電話、ファクシミリ、超短波多重無線装置、簡易無線電話、中短波陸上無線電話、中短波固定無線電信、中短波移動無線電信、国際無線電信)の操作範囲の根拠は消滅したが、超短波海上電話、中短波陸上無線電話及び中短波固定無線電信については、#沖縄の復帰に伴う経過措置の対象になっている。 琉球に本籍を有する者が日本の電波法に基づく第一級、第二級又は電信級アマチュア無線技士の免許を有する場合、それぞれ第一級、第二級又は第三級アマチュア無線技士の試験の全科目を免除し、日本の電波法に基づく電話級アマチュア無線技士の免許を有する場合、第三級アマチュア無線技士の試験の国内電波法規及び無線工学の科目を免除する(電気通信術のみ試験を受ける)こととされた。 1965年 無線従事者資格試験及び免許規則が一部改正された(1965年1月29日公布、一部を除き即日施行)。第一級、第二級及び第三級無線通信士並びに各級無線技術士に限り、予備試験と本試験に分けて実施することとなり、その他の資格の予備試験は廃止された。 予備試験の一般常識については口述又は筆記により行われることとなった。 免許申請の際戸籍抄本と住民票抄本(琉球に本籍を有しない者であるときは、これらに準するもの。)の両方が必要となり、履歴書も再び必要となった。また、本籍、住所又は履歴書に記載した雇用先、職場(組織の最小単位)、業務(通信操作、技術操作、その他)又は従事していた無線局の事項(無線局の種類、名称、設置場所)を変更した時は、1か月以内に届け出ることとなった。 琉球に本籍を有する者が日本の電波法に基づく電話級アマチュア無線技士の免許を有する場合の第三級アマチュア無線技士試験の科目免除が廃止された。 1968年 無線従事者資格試験及び免許規則が一部改正された(1968年6月7日公布、一部を除き即日施行)。免許申請の際戸籍抄本又は住民票の写しの一方のみ必要となり、履歴書は不要となった。本籍の都道府県名又は氏名に変更が生じた場合のみ変更手続きを必要とされた。 1969年 沖縄における免許試験及び免許資格の特例に関する暫定措置法(昭和44年法律第47号。琉球政府でなく日本の法律。6月21日公布、6月23日施行。)が制定された。沖縄においても日本の第一級無線通信士、第二級無線通信士、第三級無線通信士、第一級無線技術士及び第二級無線通信士の無線従事者国家試験が行われるとともに、琉球政府のこれら資格の資格試験は行われないこととなった。その他の日本の無線従事者資格については、復帰まで沖縄で国家試験は行われず、琉球政府の資格試験が継続された。 琉球政府の資格試験は那覇市のほか平良市及び石垣市で行われてきたが、日本資格の国家試験は沖縄では那覇市のみで行われた。 資格ごと最初に日本の国家試験の予備試験が沖縄で行われる日までに琉球政府の無線従事者免許を与えられた者に対しては、申請により日本の相当資格の無線従事者免許が与えられることとなった。 琉球政府の無線従事者免許を有する者が、より上位の日本の資格の国家試験を受験する場合、資格又は業務経歴に応じ一部の科目が免除されることとなった。 電波法が一部改正された(1969年8月30日公布、一部を除き即日施行)。 養成課程制度が創設された。 第三級無線技術士及び第三級アマチュア無線技士の資格が廃止され、電信級アマチュア無線技士及び電話級アマチュア無線技士の資格が創設された(#1969年の改正)。施行の際、現に第三級無線技術士の免許を有する者は、施行の日から5年間は、従前認められた無線設備の技術操作に従事することができることとされた。 施行の際、現に第三級アマチュア無線技士の免許を有する者は、電信級アマチュア無線技士及び電話級アマチュア無線技士の免許を受けたものとみなされたが、2年以内に無線従事者免許証の申請をしなかった場合、不可抗力の場合を除くほか失効とされた。また、現にアマチュア無線局の予備免許又は免許を与えられている者は、当該無線局の免許の有効期間に限り、なお従前の例により無線設備の操作を行うことができることとされた。 特殊無線技士のうち、無線電話甲及び無線電話乙の操作範囲が日本の同資格に合わせ縮小された。無線従事者操作範囲規則の一部改正の施行(1969年10月29日)の際、現に特殊無線技士(無線電話甲)又は特殊無線技士(無線電話乙)の免許を有する者は、その施行から5年間は、従前の操作範囲によることとされた。 1971年 無線従事者資格試験及び免許規則が一部改正された(1971年5月21日公布、同年8月1日施行)。国内法規又は法規の試験科目の内容に、琉球政府の電波法令に加え日本の電波法令が追加された。
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