歴史と発行
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/06/11 19:15 UTC 版)
『ラジオ・タイムズ』はBBCラジオの番組詳細を載せる雑誌として、1923年9月28日に、定価2ペンスで創刊された。当時の新聞は、聴取者増加が新聞の売り上げ減少に繋がることを恐れ、ラジオ番組の紹介をボイコットしていた。 当初ラジオ・タイムズは、BBCと発行者のジョージ・ニューンズ(英語版)の共同事業で発行されており、ニューンズは活字組み・印刷・雑誌の配送を行っていた。しかし1925年にBBCは雑誌の編集を全て管理するようになり、1937年までには出版作業を全て自社で行うようになった。この雑誌は一流ライター・イラストレーターを使うことでも知られており、特別号の表紙は毎号、収集価値のあるような優れたデザインである。 1928年、ラジオ・タイムズは「ベアード方式のテレビ試験放送」が毎朝30分定期的に行われることを発表した。BBCが行った 405-line television system による初めてのテレビ定期放送開始を受けて、ラジオ・タイムズの1936年10月23日号にはテレビ番組紹介欄が設けられた。これによりラジオ・タイムズ誌は、世界初のテレビ番組雑誌となった。当初は毎号2ページしかテレビ番組に割かれていなかったが、1937年1月にはグラビア写真の大特集が組まれたほか、1939年9月までには、3ページがテレビ番組紹介に使われるようになった。 1939年9月3日に、英国はドイツに対して宣戦布告し、テレビ放送も中止された。ラジオ放送は量を減らしつつも戦時中を通じて継続されたが、1944年までには紙割り当てが減少し、わずか20ページの紙面は、薄い紙に細かい字で書き込まれている有様だった。 戦後テレビ放送が復活し、ラジオ・タイムズも増刷したほか、地域版も制作されるようになった。1953年には、雑誌の後半部に掲載されていたテレビ番組情報が、日別のラジオ番組欄の横に掲載されるようになった。1950年代中盤を通して、ラジオ・タイムズの表紙はラジオよりもテレビを特集するようになっていき、1957年にはテレビ番組欄が雑誌の前半で、独立したセクションとして扱われるようになった。一方のラジオ番組欄は雑誌の後半へ追いやられた。 1950年代までには、ラジオ・タイムズはヨーロッパ随一の発行部数を誇るまでに成長し、1955年の週平均売り上げは880万ポンドに達した。 1991年に行われたテレビ番組情報誌の規制緩和まで、ラジオ・タイムズはBBCラジオ・テレビの番組情報しか掲載していなかった。一方で、民放最古参・最大手のテレビ局、ITVが発行する『TVタイムズ(英語版)』では、自局のテレビ番組に加え、1982年からはチャンネル4の番組も扱っていた。今日では、どちらの雑誌も、英国の主要な地上波テレビ局・ケーブルテレビ・衛星放送のテレビ番組を全て取り扱うようになっている。他にも多数の情報誌がある中で、ラジオ・タイムズは現在でも英国のラジオ情報誌として最も認知度が高い。2007年5月22日号からは誌面が変更され、テレビ情報欄に1日当たり2ページ分が増刷されており、これにより1日分の番組情報欄は10ページとなった。 ラジオ・タイムズは当初毎週金曜日に発行されていたが、現在では毎週火曜日に発行され、次の土曜日から金曜日までの番組情報を掲載している。この方式は1960年に始められたもので、これ以前は日曜日から土曜日までの番組情報を掲載していた。 1969年のクリスマス号から、12月には2週分の番組情報を掲載した合併号が発行されるようになった。元々はクリスマスと新年分の番組情報を掲載していたが、クリスマスを含む2週間が新年より前に終わってしまう場合には別々の号として発行されることもある。"Christmas Number" と呼ばれるクリスマス号の表紙には、合併号ではなかった時代から、典型的な祝祭の絵柄が用いられている。これは、1970年代から表紙に写真を用いている通常号と比べるとやや変則的である。 ラジオ・タイムズには、地域ごとのテレビ・ラジオ番組を掲載した地域版が存在する。現在では一時に比べバージョン数が減少したが、これは地域間での番組表の差異が減り、地域版同士の統合が行われたためである。最も直近に行われたのは、2007年8月に行われた、イングランド中部地方(英語版)版とロンドン・アングリア版の統合である。反対にウェールズでは、ウェールズ・ウェスト版(ウェールズ・西イングランド向け)から分割されてウェールズ版が新設されたが、これはITVウェールズ&ウェスト(英語版)(旧HTV)の放送エリアを反映したものである。 2010年以来、毎日のテレビ番組情報は、10ページ以上が割かれるか、5面の見開き記事が組まれるかのどちらかである。"Choices" と題して2ページの特集記事・レビューが書かれた後、2ページの地上波テレビ情報欄が続く。この情報欄は、昼間の番組情報に1列、夕方から夜の番組情報に5列が使われている。その後デジタル放送の番組情報が6ページ続く。 デジタル放送が一般的になるまでは、毎日の地上波テレビページへ広告を含んだ3面の見開き記事が費やされることもあったが、この方式は民間の出版社にテレビ情報誌の出版許可が出されてから次第に消えていった。 1991年にテレビ情報誌の規制緩和が行われた後、ラジオ・タイムズは、他のテレビ情報誌から、出版に際して不公平なアドバンテージを得ており、BBCやその他の民間放送で宣伝されていると強く批判された。この1件は訴訟沙汰にまでなり、ラジオ・タイムズがBBCとの緊密な関係を解除すれば、BBCによる広告が認められるだろう、との判決が下された。しかし広告はカバーの静止画でなければならないとの制約と、「他のテレビ情報誌にも利用可能な」ものにするという免責事項が付けられ、結果として、当面は一般的フレーズを掲載することで落ち着いた[要出典]。2000年代初頭には、BBCでの出版物の広告はまばらになった[要出典]。ラジオ・タイムズは、2005年以来BBCテレビ・ラジオで広告されていないが、これはライバル出版社からの「宣伝は販売競争の上で不公平だ」との訴えを受けたものである。 2013年1月から2014年1月までのラジオ・タイムズの出版部数は831,591部( 6.9%)で、『TVチョイス(英語版)』(1,374,813部、 11.8%)や『ワッツ・オン・TV(英語版)』(1,049,558部、 14.1%)に続いて、英国のテレビ情報誌として第3位の売り上げである。
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