正戦論とは? わかりやすく解説

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正戦論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/06/18 13:49 UTC 版)

正戦論(せいせんろん、英語: Just War もしくは Just War Theory)とは、ローマ哲学カトリックに起源をもつ、軍事に関する倫理上の原則・理論。西ヨーロッパにおいては「正しい戦争」「正しくない戦争」を区別することで、戦争の惨禍を制限する事を目指して理論構築がなされた。正しい戦争論とも。


注釈

  1. ^ 主要参考文献『戦争批判の公共哲学』は一貫して「ヨーロッパ」と表記しているが、文脈上東欧を含んでおらず、キリスト教教会法についても西方教会に限定された内容記述となっているため、ここでは「西ヨーロッパ」もしくは「西欧」とした。
  2. ^ 山内(1997)は、初出箇所にのみ「パヴェウ・ヴウォトコヴィチ」とのポーランド式転写が記され、後は「パウルス・ウラディミリ」で通されている。

出典

  1. ^ この項目、ハンス ユーゲン・マルクス「正しい戦争はあるか-歴史の答え」(『南山神学』27号、2004.2、p.p.1-43)[1]脚注4から起筆した。
  2. ^ a b 木村(2003: 110)
  3. ^ a b c d War (Stanford Encyclopedia of Philosophy) (英語)スタンフォード哲学百科事典
  4. ^ a b c d e 木村(2003: 111)
  5. ^ 山内(1997: 178、201)
  6. ^ 山内(1997: 252-272)
  7. ^ a b c 木村(2003: 112)
  8. ^ 引用元書籍は『戦争批判の公共哲学』113頁。ただし当書籍中でも引用である事が脚注に記されている。記された引用元はヘンリー・キッシンジャー著『外交 上』岡崎久彦監訳、日本経済新聞社、1996年、67頁
  9. ^ 木村(2003: 112-113)
  10. ^ 木村(2003: 114-115)
  11. ^ 木村(2003: 115)
  12. ^ 鍵括弧内引用元書籍は小林編・木村(2003: 121)。ただし当書籍中でも引用である事が脚注に記されている。記された引用元はマイケル・ハワード著『ヨーロッパ史と戦争』奥村房夫・奥村大作訳、学陽書房、1981年、11頁
  13. ^ a b c 木村(2003: 121)
  14. ^ a b 木村(2003: 120)
  15. ^ 木村(2003: 126)
  16. ^ a b ゴーマン(1990)
  17. ^ a b c d e 信州夏期宣教講座(2009)
  18. ^ ハルナック、G.J.ケドゥックス、G.J.ヘリング、ジョン・ホルシュ、ハーシュバーガー、ポール・レムジー
  19. ^ 佐々木寛新潟国際情報大学情報文化学部教授)「「正戦論」の乗り越え方
  20. ^ 西山俊彦カトリック司祭英知大学講師)「「神の国」と「地上の国」の平和主義-「正戦論」からの脱却を期待して」、『サピエンチア』 1995年2月(英知大学)
  21. ^ a b 別所良美(名古屋市立大学人文社会学部国際文化学科教授)「平和主義と正戦論―グローバル化と暴力の制御、あるいは「9・11」の衝撃―


「正戦論」の続きの解説一覧

正戦論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/04/30 08:18 UTC 版)

戦争哲学」の記事における「正戦論」の解説

詳細は「正戦論」を参照 戦争善悪という倫理問題をより学術的に発展させた研究に、西欧伝統的な正戦論(Just war theory)がある。 正し戦争は、戦争のための法(jus ad bellum、戦争開始正当化事由Just causeを含む)への適合と、戦争における法(jus in bello)への適合を必要とする。不正な目的戦争開始そのものから否定されるべきであり、また不正な手段正し戦争目的のためでも禁じられるべきであるとする。これはそれまで漠然としていた戦争正当化論理理論的な判断基準与えることの試みであり、同時に戦争惨禍際限の無い拡大歯止めをかける狙いもあった。 アウグスティヌストマス・アクイナス神学的な思想基づいて展開したスコラ的正戦論に始まる。キリスト教述べている隣人愛などの教義武力行使正当性について整合性持たせるための議論が行われた。十字軍については当時戦争のための法(jus ad bellum)を満たしたとされ正当化され一方兵士には戦争における法(jus in bello)の遵守求められなかった。これはjus in bello当時異教徒異端者相手戦闘には適用されなかったためであり、十字軍の侵攻における残虐行為拡大繋がった17世紀から18世紀にかけて国際法がこの問題取り組み始め国際法学者であったフーゴー・グロティウスの『戦争と平和の法』でも戦争行為を巡る正義判断言及されている。グロティウス防衛回復刑罰という正当性なければならない論じており、また同盟国危機のための戦争をも認めている。これは集団的自衛権考え方でもあり、友好国のために戦うことは正統権利だと考えていた。同時に避けがたい不知」のために当事国双方が自らの正当性信じている場合もあることを認めており、その後学説でも国際社会には戦争正当性判定することができる中立者は存在しないとされ、戦時における武力行使法的な規制だけが論じられるようにもなった。 しかし政治哲学者マイケル・ウォルツァーは『正しい戦争と不正な戦争』("Just and Unjust Wars")で戦争正義考察した。ウォルツァーは戦争正当化事由として侵略への自衛戦争予防的な先制攻撃人道的介入挙げられる戦争での正議論には個人生存権自由権二つ権利から出発しており、従って個人集合体である政治的共同体維持極めて重要であるとする。そこで外敵からの侵略受けたならば自衛戦争を行うことは当然であるとして自衛認める。また隣国軍拡推し進めており自国がそれを明らかな脅威認識した侵略予防するために先制攻撃をしかけることもまた正当化できるとする。また介入については国家主権尊重する必要があるしながらも、飢餓虐殺などの国際社会安定を脅かす可能性対処することは正当化が可能であるとする。ただしウォルツァーは人道的な目的介入については否定的な立場とっている。なぜならば完全に純粋に人道的な目的だけで介入が行われた事例歴史にもなく、また外国人自国民の命に勝る価値自国政治過程では持つことはないためである。このウォルツァーの正戦論は伝統的な正戦論を踏まえた現代の正戦論であり、これを正戦論の復活とする見解もある。

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正戦論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/02 07:50 UTC 版)

マキャヴェリ駁論」の記事における「正戦論」の解説

フリードリヒは、平和の希求とそのための外交を重要であるとしたうえで、「よき戦争がよき平和をもたらすという逆説真実となる場合」の例を挙げている。それは、(1)防衛戦争、(2)権利擁護戦争(3)予防戦争(4)同盟に基づく戦争参戦)である。一番目自明として、二番目は、とくに領土継承念頭に置かれている。三番目は、大きな勢力更なる拡張想定してこのような場合相手攻め込んでくるのをただ待っていても不利な状況もたらすだけなので、攻撃転ずるべきで、これは一番目準じており、正当であるとする。四番目、条約忠実な履行賢明な選択であり、敵対者対す抑止力となるとする。ただし、フリードリヒはこうも述べる。「それでも、条約同盟破棄しなければならない事態ありうることは、認める」 「正戦論」も参照

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正戦論

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 06:17 UTC 版)

武力不行使原則」の記事における「正戦論」の解説

「正戦論」も参照 戦争どのようにして規制するのかは、国際法学において長く重大な課題であり続けた。正戦論または正規戦争論とは、戦争正当な戦争不正な戦争とに分け正当な原因にもとづいた戦争だけを合法戦争として認め不正な戦争排除しようとする考え方であり、アウグスティヌス初め体系化したといわれる。さらにスコラ学経て中世の神学者伝わりフーゴー・グロティウスをはじめとした近世国際法学者たちに正戦論が受け継がれた。グロティウス1625年著書戦争と平和の法』の中で、戦争の正当原因詳細に述べて正戦論をより精緻なものとしたと言われるが、しかし正戦論は実定法上の根拠欠いた理論上のものにとどまるものであった

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