戦争遂行のためのプロパガンダ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/19 03:22 UTC 版)
「プロパガンダ」の記事における「戦争遂行のためのプロパガンダ」の解説
国家が戦争を遂行するためには、国民に戦争以外の選択肢はないことを信じ込ませるために国策プロパガンダが頻繁に行われる。アーサー・ポンソンビーは、第一次世界大戦でイギリス政府が行った戦争プロパガンダを分析して、主張される事に関する10の要素を以下のように導き出した。 我々は戦争をしたくはない。 しかし敵側が一方的に戦争を望んだ。 敵の指導者は悪魔のような人間だ。 我々は領土や覇権のためではなく、偉大な使命(大義)のために戦う(正戦論)。 我々も誤って犠牲を出すことがある。だが、敵はわざと残虐行為におよんでいる。 敵は卑劣な兵器や戦略を用いている。 我々の受けた被害は小さく、敵に与えた被害は甚大(大本営発表)。 芸術家や知識人も、正義の戦いを支持している。 我々の大義は、神聖(崇高)なものである(聖戦論)。 この正義に疑問を投げかける者は、裏切り者(売国奴、非国民)である。 フランスの歴史家アンヌ・モレリは、この十要素が第一次世界大戦に限らず、あらゆる戦争において共通していることを示した。そして、著書『戦争プロパガンダ10の法則』の序文中で、「私たちは、戦争が終わるたびに自分が騙されていたことに気づき、『もう二度と騙されないぞ』と心に誓うが、再び戦争が始まると、性懲りもなくまた罠にはまってしまう」と指摘している。 もちろん、普通の人間は戦争を望まない。(中略)しかし最終的には、政策を決めるのは国の指導者であって、民主主義であれファシスト独裁であれ議会であれ共産主義独裁であれ、国民を戦争に参加させるのは、常に簡単なことだ。(中略)とても単純だ。国民には攻撃されつつあると言い、平和主義者を愛国心に欠けていると非難し、国を危険にさらしていると主張する以外には、何もする必要がない。この方法はどんな国でも有効だ。 — ヘルマン・ゲーリング ニュルンベルク裁判中、心理分析官グスタフ・ギルバートに対して
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