ゲッベルスの宣伝思想と行動:「鋼鉄のロマン主義」
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「ヨーゼフ・ゲッベルス」の記事における「ゲッベルスの宣伝思想と行動:「鋼鉄のロマン主義」」の解説
ゲッベルスは「宣伝は精神的認識を伝える必要もなければ、おだやかだったり上品だったりする必要もない。成功に導くのがよい宣伝で、望んだ成功を外してしまうのが悪い宣伝である」「重要なのは宣伝水準ではなく、それが目的を達することである」とし、その目的は「大衆の獲得」であり、「その目的に役立つなら、どんな手段でもよいのだ」と語っている。彼は「日々の経験から効果的な手法を学んだ」としているが、彼が述べる宣伝概念にはヒトラーの『我が闘争』からの踏襲が見られる。実際彼には宣伝手法自体やその出自にこだわりはなく、「ボルシェヴィスト(ボリシェヴィキ)からは宣伝の点で、大いに学ぶところがある」と評しただけでなく、宣伝大臣として最初に映画界に伝達したことは「右翼の『戦艦ポチョムキン』を作るように」ということであった。 ベルリンで宣伝活動を行っていた当時は、ベルリン市民を「群衆の集合」ととらえ、ベルリン市民の思考に合わせた奇抜で独創的な宣伝を多く行った。図案家のハンス・ヘルベルト・シュヴァイツァー(ドイツ語版)(筆名・ミエルニル)はこの時期に効果的なプロパガンダプラカードを作成し、ゲッベルスから「神の恩寵」と賞賛されている。 宣伝大臣となって最初の重大任務が国会の開会式であり、彼は荘重な演出を行ってヒンデンブルク大統領ら保守派をも感動させた(ポツダムの日)。さらに5月1日の「国民労働の日」祭典や非ドイツ的な図書の焚書、ベルリンオリンピックなどでは荘厳な演出をおこなったが、映画『意志の勝利』で有名な1934年のニュルンベルク党大会にはあまり熱心ではなく、日記にも記載していない。彼が専門領域と考えていたのは「映画」であり、シナリオや俳優の起用などに深く介入した。なお、「もちろん普通の国民は戦争を望まない。」に始まる、戦争遂行のためのプロパガンダ手法を端的に表した名言は、ゲッベルスではなく空軍大臣・国家元帥ヘルマン・ゲーリングの発言である。 1933年、ゲッベルスはドイツが第一次世界大戦に敗北したのは、物質的な欠陥からではなく、ドイツの精神的武器が火を吹かなかったからであるとし、ラジオによるドイツ国民の精神的動員の活用を説いた。ゲッベルスは、近代技術は人々から魂を奪うが、ナチズムは技術を拒絶せず自覚的に肯定し、内面的に魂で満たし、ドイツ民族に奉仕するとし、近代の問題に英雄的に立ち向かう「鋼鉄のロマン主義」によってドイツを活気づけるとした。
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