無差別戦争観
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/10 06:17 UTC 版)
近代になると、戦争の当事者双方が自らの正当原因を主張し合って譲らない場合においては、いずれかの当事者に正当原因があるのかを判定する上位の権威者が存在しなければいずれの当事者が正当原因を持つかを判定できず、現実の国際社会ではそのような上位の権威者が存在しないため、正戦論を現実に適用することは困難だと考えられるようになった。こうして18世紀になると正戦論は後退していき、無差別戦争観の主張が有力になっていく。無差別戦争観とは戦争をその原因が正か不正かによって差別せず、戦争を無差別にとらえようとする考え方である。この無差別戦争観においては戦争の正当原因は国際法の対象外の問題とされ、国際法はもっぱら個々の戦闘の手段・方法を規律するものだと考えられた。19世紀にはこの無差別戦争観が主流となっていくが、南北戦争、イタリア統一戦争、クリミア戦争といった凄惨な戦争の反省から、19世紀半ばごろにはすでに無差別戦争観を否定して武力行使や戦争になんらかの規制を求める考え方が主張されるようになっていた。
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