森
★1a.飢饉で食物がなくなったので、親が子供を森の奥に捨てる。
『ヘンゼルとグレーテル』(グリム)KHM15 貧乏な木こりとおかみさんと2人の子供(ヘンゼルとグレーテル)が、森の入り口に住んでいた。ある年、飢饉で食物がなくなったので、おかみさんが「このままでは4人とも飢え死にするから、子供2人を森へ捨てよう」と提案する。木こり夫婦は、ヘンゼルとグレーテルを森の奥に連れて行って、置き去りにする→〔道しるべ〕1a。
★1b.飢饉で食物がなくなったので、子供たちのために食物を残して、親が森の奥に姿を消す。
『グスコーブドリの伝記』(宮沢賢治) グスコーブドリのお父さんは、イーハトーブの大きな森の木こりだった。ブドリが10歳、妹ネリが7歳の年に飢饉が始まり、翌年も翌々年もそれが続いて、食べるものがなくなった。ある日、お父さんは「おれは森へ行って遊んでくるぞ」と言って出て行った。翌日お母さんも、ブドリとネリに「お前たちは家にいて、戸棚にある粉を少しずつ食べなさい」と言い残して出て行った。
『白雪姫』(グリム)KHM53 妃が、継娘の白雪姫を森へ連れて行って殺すよう、狩人に命ずる。狩人は白雪姫を憐れみ、殺さずにおく。白雪姫は森の中を1人さまよい、日暮れに一軒の小家にたどり着く。そこは7人の小人の家だった。
『眠れる森の美女』(ペロー) 王女が紡錘で手を刺して倒れると、まもなく城のまわりに大小の樹木・茨・灌木が茂り始め、城の塔の尖端しか見えないほどになる。百年後、眠る王女のことを聞いた王子が森へ踏みこむと、森の木々は道を開けて王子を通す〔*『いばら姫』(グリム)KHM50では、いばらの生け垣が城をおおう〕。
『美女と野獣』(ボーモン夫人) 旅先から家に帰る商人が森で道に迷う。風雪の中、夜になって、商人は明かりを頼りに、大きな宮殿にたどり着く。宮殿の主は恐ろしい顔の野獣であり、商人は末娘ベルへの土産にバラを1枝折ったために、死を宣告される。
『ヘンゼルとグレーテル』(グリム)KHM15 森の奥に捨てられたヘンゼルとグレーテルが、パンでこしらえた小さな家を見つける。屋根は卵焼きのお菓子、窓は白砂糖でできており、ヘンゼルは屋根を、グレーテルは窓を食べる。すると中から老婆が現れて、2人を招き入れる。老婆は、おびきよせた子供を煮て食う魔女だった。
死霊の森(水木しげる『カラー版幽霊画談』) 遠野地方・土淵村の龍ノ森は昼でも暗く、通る人もあまりいない。森の中に棲むものは一切殺してはならぬ、とも言われる。ある人がやむを得ぬ用事でこの森へ入ったところ、先年死んだ某女性が、生前と同じ姿でいたという。
*竹林の中で、まだ生まれぬ自分の息子に出会う→〔竹〕6の『百物語』(杉浦日向子)其ノ71。
『神曲』(ダンテ)「地獄篇」第1歌 西暦1300年の春。人生の道の半ば(35歳)にあり、正道を踏み外した「私(ダンテ)」は、目をさました時、暗い森の中にいた。森を抜けて丘を登ろうとすると、豹・獅子・狼にさえぎられ、逃げ戻る途中、古代ローマの詩人ヴェルギリウスに出会う。「私」はヴェルギリウスに導かれて、地獄・煉獄を巡る〔*天国は、ヴェルギリウスに代わってベアトリーチェが導く〕。
★5.森に隠遁する。
『核時代の森の隠遁者』(大江健三郎) 村有数の教育を受けた「ギー」は、徴兵忌避以来数十年、森にこもっている。「ギー」は、「核時代を生き延びようとする者は、森の力に自己同一化すべく、ありとある市、ありとある村を逃れて、森に隠遁せよ!」と、谷間の人々に説く。御霊祭の時、「森の御霊」に扮した「ギー」は、焚火が衣装に燃え移って死んだ。その後、多くの人々が、谷間から大阪や東京へ出て行った。噂によると、実は彼らはUターンして、森の奥深くへ隠れたのだという。
★6.富士の樹海。
『波の塔』(松本清張) 人妻である結城頼子は、青年検事・小野木喬夫と知り合い、逢瀬を重ねた。しかし、頼子の夫が汚職事件の被疑者となったため、「被疑者の妻と検事の不倫」という暴露記事が新聞に載ってしまい、小野木は検事を辞職する。小野木は頼子とともに死出の旅に出ようとするが、頼子は、小野木を死なせたくなかった。頼子は小野木との待ち合わせ場所に行かず、1人で富士の樹海へ向かう。畑仕事をする老人から、「その道を入(へえ)ると一生戻られねえずら」と注意され、頼子は、いったん引き返すふりをしつつ、隙を見て森の中へ姿を消した。
*長期間、森へ追放される人→〔貴種流離〕2の『マハーバーラタ』『ラーマーヤナ』。
*森が動く→〔あり得ぬこと〕2の『マクベス』(シェイクスピア)第4~5幕。
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