本写本の転写本とは? わかりやすく解説

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本写本の転写本

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/02/07 14:36 UTC 版)

従一位麗子本源氏物語」の記事における「本写本の転写本」の解説

昭和初期になって本写本の転写本と見られる写本出現した当時東京文理科大学国文学専攻する学生であり、戦後北小路健筆名国文学者古文書学者として活動することになる渡部栄が、同人の父渡部精元1932年昭和7年9月大連死去しその葬儀終えたころに、父の世話になったとする人物から、「京都古くから茶商営んでいた自分の家代々家宝として伝えられてきた源氏物語古写本」を世話になったお礼として同人母親渡し、それを同年年末帰省した渡部栄が受け取った渡部栄はこのような経緯手に入った写本を「父親形見である」として、全文翻刻を含む詳細な研究成果発表目指し研究していたとしている。その写本箱入り古写本源氏物語54帖が揃っている室町時代書写と見られる形態持っていた。その写本巻末にはその写本従一位麗子本からの転写本である旨が上記和歌とともに記載されていた。またその写本筆跡は、前後する時期渡部栄が書店から購入した中山宣親1458年長禄2年)-1517年永正14年))の筆写鑑定されていた古写本のものに似ていたという。外箱・中の写本共に部分的に焼けた跡があったものの中身大部分読み取ることが可能であったとしている。結局渡部栄は自身東京文理科大学卒業する前年の(昭和11年11月母親出した資金によって自費出版の形で本写本の概要本文中の特徴的な文言取り上げて青表紙本河内本比較した青表紙本河内本大きく異なるため源氏物語古写本を見るときは先ずここを見るとされる桐壺巻の「大液芙蓉未央柳」の一節部分夢浮橋巻末従一位麗子和歌部分2枚写真入り研究論文源氏物語従一位麗子本之研究』を出版することになった当時同人大学卒業した大学生認められていた徴兵猶予取り消され召集されることはほぼ確実であり、当時日中関係緊迫化していた時期であったため、入隊すれば戦場送られる可能性高くそうなれば戦死してしまう可能性少なく無かったために急いでその時点までの研究成果公表したのであるが、結局同人入隊直後持病見つかったため戦地送られることはなくすぐに除隊となったその後渡部栄は終戦時には新京現在の長春)において、満州政府外郭団体である満州出版協会所属審査機関である満州文化研究所に研究員として勤めていたが、終戦後1945年昭和20年8月23日自宅踏み込んできたロシア兵から、「ここをロシア軍将校宿舎とするから今から2時間以内退去せよ」と言われ、その混乱の中で和書7千冊を含む1万3千冊にもなる蔵書のほぼ全て焼き払われその他の財産全て失い、特に大事にしていた本写本中山宣親とされる本の二つ源氏物語古写本についても、このときは何とか残すことに成功し中国とどまっていた間は手元置いていたものの、翌年1月日本への引き揚げ時にはどうしても持ち出すことが出来ず満州文化研究所において渡部栄の同僚研究員であった王惟明なる人物が、戦後四馬路書店開こうとしており本写本欲しがったので同人預けて日本に帰国したとしている。渡部再度日中間を自由に往来できるようになった日中国交回復の後1981年昭和56年12月から翌年1月にかけて満州写真集出版するための取材のために写真家である息子渡部まなぶとともに中国に赴き、その際時間の許す限り写本探し求めたが、その行方知っている思われる王惟明の所在明らかにはならず町中書店探し回ったが本写本発見することは出来なかったという。このような経緯で本写本渡部以外の研究者目に触れるとがないままに失われてしまった。『源氏物語従一位麗子本之研究』が出版されまもないころ、後に「校異源氏物語」及び「源氏物語大成」に結実することになる源氏物語本文調査行っていた池田亀鑑らのグループ研究者が本写本調査渡部栄に願った強く拒否され調査することが出来なかったため本写本実在その内容疑問視する意見もあったという。また国文学研究資料館館長伊井春樹は元東北師範大学教授の呂元明など中国源氏物語研究者何人かに本写本のことを伝えて調査依頼し興味持って調査行った者も何人かいたが今のところ写本所在に繋がる情報得られていないという。

※この「本写本の転写本」の解説は、「従一位麗子本源氏物語」の解説の一部です。
「本写本の転写本」を含む「従一位麗子本源氏物語」の記事については、「従一位麗子本源氏物語」の概要を参照ください。

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