日蓮伝「手ヲトヲシテ船ニ結付」の解釈とは? わかりやすく解説

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日蓮伝「手ヲトヲシテ船ニ結付」の解釈

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/09 16:00 UTC 版)

元寇」の記事における「日蓮伝「手ヲトヲシテ船ニ結付」の解釈」の解説

日蓮」を参照 日蓮大量書簡自筆して弟子信徒たちに発送し信徒弟子達もこれを大切に保管したため、現在でも真筆とみなし得る著作書簡断片含めて600点を越えるとされている。しかし、一般信徒向けた日蓮伝記書簡整理教団拡大進展する室町時代頃から本格的に始まる。室町時代応仁の乱以降日蓮宗勢力拡大とともに教団内外要請応える形で各種日蓮伝記集が成立したこのうち元祖化導記』と『日蓮聖人註画讃』が後代まで模範となる主要な日蓮伝の双璧となったが、日朝の『元祖化導記』は日蓮書簡を主要典拠として正し日蓮歴史像明示しようという学究性の高い伝記であった。『元祖化導記』と時期同じくして成立した日澄の『日蓮聖人註画讃』はとりわけ日蓮各種書簡伝世された祖師伝説とを合わせて成立した絵巻による伝記であり、全国的な日蓮宗布教網の拡大合わせ当時日蓮宗徒や巷間流布していた「超人的理想的な祖師像」に合致した内容でもあった。『日蓮聖人註画讃』の第59段「蒙古来」は文永の役について「一谷入道御書」を主な典拠としており、「一谷入道御書」で日蓮伝えた「手ヲトヲシテ船ニ結付」という文言はここでも現れている。特に『日蓮聖人註画讃』は室町時代から江戸時代にかけての一般的な超人的な能力神通力具有する祖師としての日蓮像形成に強い影響を及ぼすことになる。 『日蓮聖人註画讃』は江戸時代入って幾度も刊本として出版されており、江戸時代における元寇関係の研究書では、津田元貫の『参考蒙古入寇記』や群書類従編者でもある塙保己一の『螢蠅抄』、橘守部の『蒙古諸軍記弁疑』などで頻繁に引用されている。本来『日蓮聖人註画讃』は文永・弘安の役についての史料として日蓮没後200年程たって成立したことからも明らかなように二次的なものに過ぎないのだが、江戸時代における『日蓮聖人註画讃』の扱いは、橘守部が「日蓮画讃如き実記」と述べているように「実記」として意識され、大抵は無批判引用される傾向があった。『日蓮聖人註画讃』の文永・弘安の役についての史料価値についての批判的研究は、明治時代1891年明治24年になって小倉秀貫が『高祖遺文録』などにある日書簡詳細な分析通さないうちは史料とはみなせない、と論じるまで待たねばならない明治期入り小倉と同じ1891年明治24年11月山田安栄は日本内外元寇関係の史料収集した『伏敵編』を著した。『伏敵編』は『善隣国宝記』や『異称日本伝』、『螢蠅抄』、『蒙古諸軍記弁疑』、大橋訥庵元寇紀略』など江戸時代それ以前から続く元寇研究の成果批判的に継承したもので、従来から引用されて来た諸史料ある程度吟味しながら引用やその資料的な批判行っている。一方で、『伏敵編』の編纂は、当時福岡警察署長湯地丈雄主導長崎事件1886年)を期に進められていた元寇記念碑建設運動との関係で行われたものであり、日清戦争へ緊迫した情勢反映して江戸時代からの攘夷運動の流れ組みつつも自衛のための国家主義標榜するという山田安栄の思想的表明書物でもあった。 山田安栄は『日蓮聖人註画讃』の「手ヲトヲシテ船ニ結付」についても論じており、『太平記』の記述「掌ヲ連索シテ舷ニ貫ネタリ」や、『日本書紀』比較しつつ、「索ヲ以テ手頭ト手頭ヲ連結シタルニ非スシテ。女手掌ヲ穿傷シ。索ヲ貫キ舷端ニ結著シタルヲ謂フナリ。」と述べ捕虜となった人々の手同士を綱や縄で結び付けているのではなくて手のひら穿って傷つけそこに綱を貫き通してそれらの人々を舷端に結わえ付けた、と文言の解釈行っている。さらに山田安栄は、『日本書紀』天智天皇時代662年)について書かれ高麗前身国家である「百済」での事例引き合い出し手掌ヲ穿傷……」(手の平に穴をあけてそこへ縄を通す」の意)やり方を、朝鮮半島において古来より続く伝統的行為としたうえで、この行為蒙古というより高麗人によるとしている。 翻って日蓮自身、「一谷入道御書以降書簡において何度文永の役での被害について触れており、その度掠奪人々連行殺戮など「壱岐対馬」の惨状について述べており、朝廷幕府日蓮教説通り従わず人々南無妙法蓮華経題目唱えなければ壱岐対馬」のように京都鎌倉蒙古殺戮掠奪犠牲になり国は滅びてしまうとも警告している。

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