日蓮伝説
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/14 09:40 UTC 版)
「上沢寺のオハツキイチョウ」の記事における「日蓮伝説」の解説
上沢寺のオハツキイチョウには日蓮の身代わりとなった犬の伝説が残されている。 伝承によれば文永11年(1274年)、日蓮が身延山へ入山する際に上沢寺へ立寄り、当時の上沢寺住職の法喜阿闍梨(ほうきあじゃり)と小室山妙法寺住持であった恵頂(えちょう)の2人を相手に法論を行った。法論に敗れた法喜阿闍梨と恵頂は日蓮を恨み、ひそかに毒を入れた萩餅を献上し暗殺を謀ったが、そのとき現れた白い犬がこの餅を欲しがる素振りぶりを見せたため日蓮がこの餅を与えると、犬は苦悶しその場に倒れて死んでしまった。これを見た日蓮は「自らよこしまに降る雨あらじ 風こそ夜半のまどをうつらめ」と詠い、人は生まれながら尊い命と実直な心を持っている。だからこそ、欲に惑わされ罪を犯しても、心を入れ替え、欲という嵐を払い除ければ、誰でも仏に近付くことが出来ると諭した。 一連の経過を目の当たりにした法喜阿闍梨と恵頂は日蓮の威徳を悟り心服し、それまでの邪心を懺悔謝罪して許しを請い日蓮の弟子となり、法喜阿闍梨は名を日受、恵頂は日伝と改名し、それまで真言宗であった上沢寺と妙法寺は日蓮宗に改宗した。 日蓮は「毒消しの秘妙符」を白い犬に与えて生き返らせ、その後、犬の寿命が尽きると日受は日蓮の身代わりとなったこの犬を上沢寺の境内に塚を立て手厚く葬り、犬を憐れんだ日蓮も愛用のイチョウの杖を塚に建て墓標の代わりにした。やがてその杖が発芽して根をはり大樹になり、上沢寺のオハツキイチョウになったという。この伝説は身延山周辺に多く残された日蓮の伝説の中でも最もよく知られたものである。
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