指定廃棄物最終処分場候補地
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「塩谷町」の記事における「指定廃棄物最終処分場候補地」の解説
「矢板市#放射性廃棄物最終処分場問題」も参照 2014年7月30日、放射性物質を含む指定廃棄物の最終処分場の候補地として塩谷町上寺島(寺島入)の国有地が提示された。環境省からの提示を受けた見形和久町長は「明確に反対ということで話をした」と述べた。同年7月31日、県指定廃棄物処理市町村長会議で石原伸晃環境大臣が候補地での詳細調査への協力を求めた。同年8月5日、塩谷町議会が候補地の白紙撤回を求める意見書を全会一致で可決した。意見書では候補地が尚仁沢湧水に隣接し不適切であると表明している。 同年8月31日、最終処分場建設に反対する「塩谷町民指定廃棄物最終処分場反対同盟会」が町内で住民集会を開き、候補地選定の白紙撤回を求める決議を採択した。主催者発表によると同集会には約2,000人が参加した。 同年9月19日、塩谷町議会は「町高原山・尚仁沢湧水保全条例」案を全会一致で可決し、条例は即日施行された。条例に基づき町は湧水等保全地域を指定し、指定後は同地域内での指定廃棄物の最終処分場の設置等の際には町の許可を要することとなる。 同年10月29日、塩谷町民指定廃棄物最終処分場反対同盟会は候補地選定の白紙撤回を求める173,573人分の署名を環境省に提出した。 この問題に対して、見形町長は指定廃棄物を福島第一原子力発電所周辺に貯蔵すべきと主張している。同年11月4日、5日、見形町長は県内24市町を訪問し各市町長にこの主張への理解を求めている。なお、指定廃棄物を福島第一原発周辺に集約すべきという主張は見形町長が初めてではなく、以前に矢板市が最終処分場の候補地に選定された際に福田昭夫衆議院議員が指定廃棄物を福島第一原発敷地内で一時保管すべきと主張していた。 同年11月9日、県指定廃棄物処理促進市町村長会議で見形町長は福島第一原発周辺に処分場を作ることを主張したが、望月義夫環境大臣は県内処理を見直さない方針を表明し、福田富一知事は国の方針を支持した。同会議で福田知事は指定廃棄物を放射線量が減衰した時点でリサイクルし原状回復する方法を提案した。 2015年2月2日、環境省は現地にて候補地の面積確認をしようとするも、候補地へ通じる林道入口付近に最終処分場建設に反対する住民らが集結し同省職員らの立ち入りを阻止した。 同年6月9日、塩谷町は環境省への抗議文を同月8日付で送付したと発表した。望月環境大臣が県内処理を見直さない方針を表明したことについて、同町は文書の中で検証結果を待たず結論を誘導するものだと批判している。また、同文書では各県ごとに最終処分場を設置することを定めた放射性物質汚染対処特措法の見直しを求めている。 同年6月26日、環境省による住民説明会開催の要請に対して、塩谷町はこれを拒否すると回答した。 同年7月8日、県指定廃棄物処分等有識者会議は環境省による候補地選定プロセスが適切であったとする最終報告をまとめた。また、環境省は一時保管している指定廃棄物のうち放射能濃度が10万Bq/kg超のものが171トンであることを公表した。 同年10月9日、県市長会長の佐藤栄一宇都宮市長と県町村会長の古口達也茂木町長が塩谷町役場を訪問し、環境省の説明会開催の要請に応じるよう説得するも見形町長は拒否した。 同年10月14日、環境省は現地調査を行ったところ、関東・東北豪雨によって候補地の一部が冠水した可能性があることが判明した。これに対し調査に同行した環境省の有識者は対策を講じれば処分場建設は可能とする見解を表明した。同年10月16日、丸川珠代環境大臣は候補地を変更しない意向を表明した。なお、この現地調査の時に有識者が処分場建設の詳細調査に向けた情報収集を目的に挙げるなど災害調査の目的を逸脱した発言をしたとして、見形町長は同年10月26日に環境省を訪問し抗議文を提出している。 また、環境省が町の全世帯に対して指定廃棄物について考えを聞くダイレクトメールを郵送したことに関して、町は10月22日付で環境省に対して抗議文を郵送した。町は抗議文の中でいたずらに町民の不安をあおる行為だと批判している。環境省によると、このダイレクトメールに対する町民の回答は10月23日までにおよそ900通で、そのうち環境省の意向に理解を示す意見は1割弱にとどまり、9割以上は環境省の方針に反対する意見だったという。同年10月29日、環境省は町の全世帯に対して再度ダイレクトメールを郵送した。前回のダイレクトメールには連絡先の記載がなかったが、今回は連絡先を記載した上で質問への回答形式で処分場の安全性などを説明している。同年11月6日、町は再度のダイレクトメール郵送に関して環境省に対して抗議文を郵送した。なお、同年12月には環境省が町の全世帯に対して3回目となるダイレクトメール郵送を行っている。 同年11月20日、町民対象の報告会で町は9月の豪雨の被害状況を説明した。報告会の中で見形町長は、豪雨で冠水した候補地は候補地になり得ないと述べ、環境省に候補地の返上を伝える意向を表明した。 同年11月30日、環境省は会見で先の豪雨の影響調査の結果を公表した。その中で候補地の一部で冠水の痕跡があったことを認めたものの、大規模な土石流の影響は受けにくいとしている。また、環境省は影響を正確に把握するため詳細調査が必要だと説明したが、見形町長は詳細調査を拒否する考えを表明している。 この問題で同年12月9日、塩谷町民と福田知事が県公館で初めて話し合いをしている。 2016年1月22日、井上信治環境副大臣が福田知事、見形町長と会談し、環境省が各県ごとに1か所ずつ処分場を造る方針を断念したとする一部報道について、その事実がないことを説明した。 同年10月17日、県指定廃棄物処理促進市町村長会議で環境省は指定廃棄物のうち国の基準値の8千Bq/kgを下回ったものを一般ごみとして処理し、また個人で保管している農家などの負担を軽くするために焼却による減容化、保管場所の集約の方針を説明した。 2017年7月10日、環境省は宇都宮市内で行われた会議で、農家が一時保管している廃棄物の減容化や保管場所の集約を提案したが合意には至らなかった。
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