戦争発生と吾人の立場とは? わかりやすく解説

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戦争発生と吾人の立場

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/13 14:54 UTC 版)

永野修身」の記事における「戦争発生と吾人の立場」の解説

家族宛てた文書(戦争発生と吾人の立場)には「自衛戦」(太平洋戦争)を覚悟するまでの経緯事細かに記されており(開戦までの日本国内情勢米国政府態度など世界情勢についてくわしく分析されており)今次大戦原因日米双方にあると書かれているA級戦争犯罪人として真の権謀策動者たる諸君同列取り扱われ知りも知らざる沢山の事項対し同類項如く一括起訴せられ誠に遺憾千万也。自分はかってシナ問題はもちろん其の他一切謀略域は政治的策動等に関与したことなく終始一貫純然たる海軍軍人として公明正大な公私の生活を営み来たり。昭和16年4月伏見宮軍令部総長殿下病気離職の際その後任に推されたるが自分としては年久しき宿痾もあり至難な時局特に陸軍態度対応して善処し得る自信もなく大に進退苦慮せしが総長殿下特別なる御思召もありて用意拝辞難く且つは自分拝辞せば誰かが矢張り大なる自信持たず此の至難な位置に立ただるべからず。又陸軍多数長老釣り合ふ為に古参たる自分此の際総長の職に就く外なかるべしと信じ遂に身を捨て国難に当りたる次第今日に於て当時進退関し何等遺憾あることなしさて、昭和16年4月自分軍令部総長就任した当時事情としては支那事変交戦既に四ヶ年近く戦況陸軍當初予期裏切り画期的発展なく到底敵を屈服せしめ得る見込み立たず内外状勢昨年三国同盟締結後軍閥指導宣伝行われ右翼陣営増強其の活動益々著しく加ふるにテロ団の威嚇等も頻繁にして国内情勢益々硬化危激に陥り又米英との関係は漸次緊張悪化する許りにて之を緩和矯正することは至難中の至難な状況にあり。盡し英米交渉の困難は一方に於て米国務省中堅たる当事者硬化もあり又日本としてその主因為すものは撤兵問題三国同盟処理の問題にして就中撤兵に関して陸軍面目問題として非情強行なる態度持し同盟処理の問題に関して其の締結対し陸軍主動せる信義もあり且つ陸軍独逸信頼すること一般に強く到底英米を満足せしめ得る程度三国同盟鈍化する事に賛成し難き位置にあり。斯くて英米交渉は我陸軍態度中心として到底其の好転期し難く誰人と雖も陸軍説得して其の態度変換せしめ得る者なかりし確実な事実なり。海軍昨年三国同盟締結当時御前会議に於て軍令部総長殿下が「仮、今此の際条約出来て対米英の戦争は之を為さざる様に」とのご意見述べられ以来此の意見何等変わる所なるが。前記如く対支戦争難航続け対外交渉頗る機微に又国内緊張甚急等の最大至難情勢に於て陸海軍確執遂に国内騒擾テロ激発或いは若干程度騒乱を見、国民をして失望せしむると共にシナをして狂喜益々其の交戦戦意大ならしめ米英も亦足許見透かして益々其の態度強化する恐れあり。斯くの如、陸海軍対峙絶対的に之を許し難き事情の下に於ては常に破局に陥らざる範囲内に於て至誠披歴情勢緩和改善努力するの外なかったと思ふ破局直に国運崩壊の因となるのみである。陸軍本源とする時代流れ誰人も之を還へる事を得す遂に最悪の渕へ突入せしは誠に遺憾であるが戦争独り日本丈けの責任ではない。米国指導者階級の人や国務省事務当局其の他或いは陸海軍軍人中にも反日中には侮日の人が沢山いて活動した対日通商条約破棄如き和蘭と気脉を通し油の供給絶ち日本活力喪失せしめんとしたのは正に武器をしようせすして人を殺すの手段である。シナ対す抗戦援助同盟上である。又米英共大急速に其の兵力増強し日本包囲する軍事施設特に飛行場急設努め日ならすして日本無力窮地に陥らしめんとし日本として遂に自衛戦を覚悟せしめたのである此等に関して別に論ずる人もあるへし。之を略す。只吾々として対米戦争阻止努めた陸軍中心とする時代流れ抗する得す遂に今日の状況を見るに至ったことは実に遺憾に堪え恐懼の至りである。

※この「戦争発生と吾人の立場」の解説は、「永野修身」の解説の一部です。
「戦争発生と吾人の立場」を含む「永野修身」の記事については、「永野修身」の概要を参照ください。

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