慰霊碑と追悼
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/25 09:23 UTC 版)
「ケント州立大学銃撃事件」の記事における「慰霊碑と追悼」の解説
事件の数カ月前にケント州立大学で制作されたロバート・スミッソンのランド・アート作品「Partially Buried Woodshed」には、事件後まもなく一部の人達により事件と関連づけたような再解釈の文章が追加された。 1971年から1975年まで毎年5月4日、ケント州立大学総務課は銃撃の公式追悼行事を主催した。1976年にそうした追悼を行わないという大学側の発表を受けて、学生や同志達からなる5月4日実行部隊(May 4 Task Force)が設立され、1976年以降はこの団体が学園構内で追悼式を開催している。式では一般に、学園構内周辺でのサイレント・マーチ、キャンドル・ビジル、被害者たちを追悼する打鐘、目撃者や遺族たちの訴えなどが行われる。 事件から7年後に大学側が銃撃現場の一部に体育館の別館を建てようとしたため、5月4日実行部隊など数十人の抗議者がこれを阻止するべく、1977年5月12日にテント村をケント州立大構内につくって60日以上生活した。193人が強制退去および逮捕された後、7月12日に法執行機関がようやくテント村を終焉させた。この事件は全米で報道され、同案件は米国最高裁判所に持ち込まれた。 1978年、米国の芸術家ジョージ・シーガルは、クリーブランドのミルドレッド・アンドリュース基金から(大学との合意も得て)銃撃を追悼するブロンズ彫刻の作成を依頼されたが、彫刻の主題イサクの燔祭が大きな物議になると考えた大学管理側によって完成前に拒否された。完成したシーガルのブロンズ彫刻「アブラハムとイサク:1970年5月4日ケント州の記憶」は、代わりにプリンストン大学が1979年に受け入れ、現在は同大学の礼拝堂と図書館の間にある。 銃撃から20年後の1990年、学生抗議が行われた集会場を見下ろす大学敷地内にこの事件の追悼慰霊碑が建立された。モニュメントの建設は物議を醸し、最終的には設計の7%だけが建設された。この慰霊碑には銃撃での死亡者や負傷者の名前は刻まれていないが、圧力をうけて大学は彼らの名前の入った銘板を慰霊碑近辺に設置することに同意した。 1999年、事件の銃撃で死亡した学生4人の遺族の要請で、大学は講堂の間にある駐車場に各学生個別の慰霊碑を建てた。4つの慰霊碑はそれぞれ、その学生が致命傷を負った正確な場所に置かれている。花崗岩の枠内にある石碑は高さ約60㎝の街灯で囲まれ、枠の一角に各生徒の名前が刻まれた大理石の板が置かれている。 2004年、ジェフリー・ミラーが通っていたニューヨーク州の高校(John F. Kennedy High School)に簡素な石の記念碑が建立された。 2007年、オハイオ歴史協会の銘板がケント州立大学の学長より献呈され、1990年の慰霊碑と共に講堂駐車場に置かれた。銃撃事件負傷者の1人で2007年に心臓発作で亡くなったジェームズ・ラッセルの追悼式も、同年に実施された。 2008年、ケント州立大学は事件の来訪者センターを講堂(Taylor Hall)の部屋に造る計画を発表し、2013年5月の式典日に正式に開設された。 2010年2月23日、約7haに及ぶ一帯が「ケント州の銃撃現場」としてアメリカ合衆国国家歴史登録財に記載された。その場所は通常、それらが重要とされる最低50年間は登録簿に追加することができず「例外的な重要性」案件のみ即座に追加可能である。この登録は2010年3月5日の国立公園局リストに掲載された。同現場の寄与資産は、講堂(Taylor Hall)、勝利の鐘(the Victory Bell)、丘にある東屋(The Pagoda)、銃痕がついた彫像(Solar Totem)、講堂前の駐車場、などである。国立公園局はこの場所について「米国史上最大の学生ストライキを引き起こし、ベトナム戦争に関する世論に影響を与え、射撃後の裁判で確立された判例を作り上げるなどの広範な影響を及ぼしており、また政府が理不尽かつ殺傷的な兵力をもって抗議中の市民と衝突した結果として事件が起こった象徴的な場所である点を鑑みるに、米国内で重要なものだと考えられる」と説明している。 2016年、銃撃地点がアメリカ合衆国国定歴史建造物に指定された。同年9月、ケント州立大学の図書館は国立公文書館の歴史記録委員会からの助成金を受けて、銃撃前後に起こった行為や反応に関する資料をデジタル化する計画に着手した。
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