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小説執筆と人気

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/15 01:25 UTC 版)

鞍馬天狗 (小説)」の記事における「小説執筆と人気」の解説

大佛次郎本名野尻清彦)は東京帝国大学法学部卒業後、外務省嘱託翻訳仕事をしていたが、演劇のめり込んで大量洋書購入する費用のために、大衆雑誌新趣味』に西洋伝奇小説翻訳掲載して原稿料稼いでいた。関東大震災機に外務省退職したために生活費も稼がなくてはならなくなったが、『新趣味』も廃刊になり、新しく創刊された『ポケット』の編集長から「髷物」をと言われエドガー・アラン・ポーの「ウィリアム・ウィルソン」からアイデア得た「隼の源次」を書いたところ採用され、ついで以前に『新趣味』に連載したことのあるジョージ・ウーリー・ゴフ「夜の恐怖」(1923年9-11月号)の中の「金扇」に着想得て鬼面老女」を執筆登場する黒頭巾武士には謡曲から思いついた「鞍馬天狗」を名乗らせた(1924年5月号)。すると編集長から、鞍馬天狗主人公にして作品書いて欲しい、この雑誌の「心棒」にすると言われ、「快傑 鞍馬天狗シリーズとしてこの年に8作の短編書かれた。この第2話銀煙管」で鞍馬天狗倉田典膳という名前を名乗っている。1925年になると同誌で長編御用盗異聞」を連載。さらに翌年には「小鳥を飼う武士」を連載した鞍馬天狗人気高く1924年実川延松鞍馬天狗役(ただし脇役)で『女人地獄』が映画化1925年には”目玉松っちゃん”こと当時スーパースターである尾上松之助主演で5編が映画化された。1927年には『少年倶楽部』で”少年のための”という副題で、杉作少年登場する角兵衛獅子」を、伊藤彦造挿絵連載し人気となった。これが嵐長三郎嵐寛寿郎主演で『鞍馬天狗異聞 角兵衛獅子』として映画化され大ヒットし、嵐寛寿郎当たり役となって数多く映画化がされた。頭巾後ろから髷の出るスタイルも、この作品で長三郎アイデア生まれたのだった。また大佛次郎1926年に『照る日くもる日』、1927年に「赤穂浪士」を新聞連載するなど、活動の幅を広げていった。 『御用盗異聞以降では、西郷隆盛はじめとする維新勢力の手段を選ばぬ倒幕活動鞍馬天狗懐疑的な態度持ち、これらについて村上光彦は、大佛当時マルクス主義運動にもある種共感覚えつつも運動の圏外とどまり革命家にとって目的手段正当化するか否か」がシリーズ一貫するテーマ一つだと述べており、『角兵衛獅子』からは「明るく無益な殺生を嫌い、敵にも優しい人間像」、「フェアプレイ理想を追う剣士」が定着した1930年代の「地獄の門」「宗十郎頭巾」では、当時警察共産党送り込んだスパイ活動示唆得た思われる組織の裏切り者題材になっており、またジョゼフ・コンラッドなどの作品の影響窺える戦後になって大佛次郎は、かつて寄稿していた文芸雑誌苦楽』を復刊し、呼び物として『新東京絵図』を連載明治維新後の1869年東京舞台として、ここで鞍馬天狗海野雄吉という名前の市井の人物として登場する。これは執筆当時米軍占領下にあった東京世相反映しているとも言われる。 また「黒い手型」で鞍馬天狗が語る「いくら、ここで頭を使ったところで、出かけて行って現実触れよりほかに、謎の解きようはない」という言葉寄せて村上光彦は「思索する行動家、行動する思索者。この表現鞍馬天狗にこそふさわしい」と述べ、「マゲ物の形で、めざすとめざさぬとに拘わらず進歩主義保守主義兼ね備えた公約数的な常識持った人道主義的な文明批評を、究極的において試みている」とも評されている。鶴見俊輔は『大佛学生時代吉野作造思想共感した大佛が「大佛理想は、自分のくらしを支えるために書きはじめた鞍馬天狗とははじめは無関係なものだったが、時代悪化とともに作者政治思想こめられる様になった」と評している。 シリーズ舞台は主に京都・大坂が中心となっているが、作品によっては江戸横浜果ては松前といった、遠方の地を舞台したものもある。生麦事件蛤御門の変といった歴史上の事件背景とした作品もあり、明治維新実在志士や、敵役として新撰組登場する戦後発表され作品には、時代背景明治維新後としたものもある。 個々作品の間には明確な関連性見られない例外的に初期の『ポケット』誌に連載され短編大枠繋がりをもったあらすじ展開となっており、また第二次世界大戦中発表された3編の長編のうち、1945年昭和20年)の「鞍馬天狗破れず」は1943年昭和18年)の『天狗倒し』の続編となっている。

※この「小説執筆と人気」の解説は、「鞍馬天狗 (小説)」の解説の一部です。
「小説執筆と人気」を含む「鞍馬天狗 (小説)」の記事については、「鞍馬天狗 (小説)」の概要を参照ください。

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