大船団主義の採用とは? わかりやすく解説

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大船団主義の採用

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/06/29 10:14 UTC 版)

ヒ船団」の記事における「大船団主義の採用」の解説

1944年昭和19年2月ヒ40船団全滅などを経験した日本海軍は、海上護衛総司令部発案もとづいてヒ船団運用方針大船主義転換した。これは、船団運航頻度減らして1個の船団規模大型化することで、護衛艦艇の集中を図る戦術であった。1隻だけの護衛艦無力さ明らかになり、特にアメリカ海軍潜水艦群狼作戦採用しつつあることからも、1個の船団複数護衛艦が必要と認識されたのであった既述のように本来のヒ船団石油輸送用の高速船であったが、フィリピン行き増援部隊積んだ軍隊輸送船途中まで同行することが多くなり、これも船団大規模化つながった大船主義本格採用合わせ1944年昭和19年4月には石油輸送船団速度別再編実施された。船団速力13ノット以上を高速ヒ船団(ヒA船団)、船団速力9 - 12ノットを中速ヒ船団(ヒB船団)とし、それ以下低速船団としてシンガポールより日本に近いボルネオ島ミリ行きミ船団創設された。高速のヒA船団従前目標通り門司シンガポール直行便建前とする一方、中速のヒB船団高雄途中寄港する運用へと変わった護衛強化策としては、量産軌道に乗った海防艦次々とヒ船団用に投入された。1944年昭和19年1月から試験されていた船団護衛への空母使用も、護衛空母搭載用の第931海軍航空隊同年2月創設同年4月ヒ57船団から本格運用移された。日本における船団護衛への空母使用は、上陸作戦時などの例外除けばヒ船団のみで行われた空母から哨戒機を飛ばすことで、敵潜水艦対す探知能力強化する目的であった兵力増加した護衛部隊の指揮統制のため、特設護衛船団司令部制度導入された。特設護衛船団司令部司令官少将下人若干のみの組織直接戦闘兵力を持たず船団編成時に集められ護衛艦艇を臨時指揮することになったが、司令部専属参謀もいない態勢で、寄せ集め護衛部隊を有効に統制することは困難であったその後1944年昭和19年11月司令部だけでなく固有の戦闘艦艇有する初の護衛専門戦隊として、第101戦隊軽巡1隻・海防艦6隻)が編成されている。同年12月には、第一海上護衛隊第一護衛艦隊へと格上げされた。 こうした大船主義の下で、ヒ船団規模輸送船10程度護衛艦5隻以上と拡大された。最大級事例は、空母3隻を含む輸送艦17隻と護衛艦10隻で構成されたヒ69船団輸送艦20隻と護衛艦14隻で構成されヒ71船団などがある。従来日本船団比べて大規模であったが、大西洋の戦いイギリス運航していた護送船団比べる小規模であった1944年昭和19年4月船舶被害一時的に大きく減少したことから、大船主義潜水艦対す被害対策として一定の効果があったと日本側では評価されている。もっとも、アメリカ潜水艦通商破壊以外の任務振り向けられたことや、運用ローテーションにより練度の低い艦が増えたことの影響とする見方もある。いずれにしろ大型化した船団でも、レーダーソナーなどの対潜艦用センサー劣っていたことなどから、防御完璧ではなかった。ヒ船団最大規模ヒ71船団は、輸送船4隻沈没・3隻損傷のうえ、護衛空母大鷹」まで失った。優秀輸送船10隻・護衛艦7隻のヒ81船団も、多数兵員物資搭載した陸軍特殊船2隻と護衛空母神鷹」が撃沈されてしまっている。 マリアナ諸島攻防戦一段落した1944年昭和19年後期は、アメリカ潜水艦日本の南航路周辺集中するようになり、ヒ船団戦いは一層激化したアメリカ海軍サイパン島潜水母艦進出させて前線基地とし、潜水艦が短い航海南方航路付近に到達できるようになったヒ船団フィリピンへの増援船団多く航行するバシー海峡周辺海域は、アメリカ海軍によって「コンボイ・カレッジ」(英語: Convoy College船団大学)とあだ名され、潜水艦部隊格好戦場見られた。 また、大船主義は主に潜水艦対策として採用されたものであったが、フィリピンへの連合軍上陸など戦況悪化して新たに航空機脅威大きくなると、かえって一網打尽にされる弊害出てきた。1945年昭和20年1月それぞれ護衛艦合わせて15隻以上の大型船団だったヒ86船団ヒ87船団は、南シナ海侵入したアメリカ海軍第38任務部隊空母航空隊による空襲受けて相次いで壊滅してしまった。

※この「大船団主義の採用」の解説は、「ヒ船団」の解説の一部です。
「大船団主義の採用」を含む「ヒ船団」の記事については、「ヒ船団」の概要を参照ください。

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