夕維と仲間
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/03/09 03:53 UTC 版)
瑞月夕維(みづき ゆい) 声:川澄綾子 はぐれ神魔の父とシ一族の血を引く母との間に生まれた。人間として普通に生きていたが、後に「シ」の吸血姫に覚醒する。桜と水を操るなど瑞月の姫としての力を持つが「瑞月の姫」は、鮮赤の池にその血を必要とされている「池の心臓」のようなものである。夕維の中に流れる「神魔」と「シ」の血で紡がれた特別な血を池は欲しており、そのために鮮赤の池に帰った夕維は池に呑み込まれそうになった。夕維が池に帰るということは即ち夕維消滅の危機でもある。 非常に優しい性格で、他者の血を奪わなくては生きていけない吸血姫という自身の存在に忌避感を持つことも多い。そのため血は那嵬から与えてもらっている。吸血姫であるがゆえに一箇所にとどまることができず、いつかは訪れる友人知人との別れに心を痛めるという人間的な感情を強く残した吸血姫である。 連載初期は美夕に比べて明るく現代的な普通の少女として描かれていたが、日本神魔と西洋神魔の争いが繰り広げられた『新・吸血姫美夕~西洋神魔編~』に登場した際、『美夕』の原作担当の平野の意向もあり、それまでよりも、ややおっとりした所のあるキャラクターとして描かれたことから、「漆黒の桜月夜編」以降、やや天然ボケな少女として描かれている。見かけによらず芯は強く、那嵬を想う事にかけては気概がある。 「香音抄」シリーズ中盤からは、「シ」としてのパートナーであった那嵬に恋心を含む特別な感情を抱くようになるなど、精神的・女性的成長が見られる。 最終的に夕維の想いは那嵬に届き、「那嵬にあげたもん。あたしの心…」の言葉に対して那嵬も「オレの心もお前にやる」と返している。この頃になると落ち着いた女性的な雰囲気も併せ持つようにもなる。 那嵬(なぎ) 声:緑川光 シ一族の血を引く青年で、弥に属する者(「弥」と「瑞月」は親戚みたいなもの)。かつて人間の家族に育てられ人として生きていたが、夕姫が少年時代の那嵬に接触した事により「シ」に覚醒した。 幼少の頃から共に育った人間の義兄が夕姫によって池に引き込まれたため、彼を解放するべく瑞月の血を引く夕維に近づく。初めは夕維のことを義兄を取り返すための「鍵」として見ていたが、夕維との交流を重ねるうちに夕維の一番の理解者、守護者となるものの、兄を取り戻すには夕維を池に帰さねばならず、それらの葛藤に悩むようになる。 吸血行為に関しては「人間が魚や肉を食べるのと同じ」として、殺さない程度に吸血することは別に悪いことではないとの立場をとっている。吸血行為を嫌って貧血を起こすことが多い夕維に供血する場面も多い。 物語終盤、夕姫によって封じられていた「弥」の血と記憶が蘇った那嵬は、それによって自身が瑞月の花を散らしてしまう懸念を感じ夕維の元を離れる。那嵬の持つ「弥の刀」は吸血姫である瑞月の姫を消す事ができるため池から恐れられており、夕維を呑み込まんとしていた池の鬼姫も弥の刀を構えた那嵬には手を出すことができなかった。 「弥」は「瑞月」とは親戚みたいな間柄であるが、遠い昔、池の支配者である夕姫を倒そうとしたことから謀反を起こした者たち(宿木賊)として瑞月と対する属となる。夕姫を倒そうとしたのは那嵬の親世代であり彼は直接関わってはいないが、弥の血を引いているため頭に血がのぼった時などは額に弥の印が浮かび上がる。 また、香音抄7巻で那嵬が「吸血姫」の事を「オレたち」と語っている事から、彼も夕維と同じく吸血姫の血を持つ者である事が明かされ、夕姫や夕維と同じくシ一族の中でも地位の高い実力者との印象を受ける。時折、那嵬の瞳も吸血姫の証しである金色となる。 夕維の想い人であり、パートナー。寡黙でぶっきら棒なところがあるため誤解されやすいが本当は優しく、夕維のことは大切に思っている(もとは夕維の保護者のような存在であったが、次第に夕維にとって特別な存在となっていった)。 千珠(せんじゅ) 声:緒方恵美 夕姫直属の近衛。鮮赤の池の桜から生まれた父も母もない「兵(つわもの)」に属するシ一族の者。男でも女でもないが男の姿にも女の姿にもなる事ができる。 桜から生まれる「兵」は、情や欲を持ってはならない、きれいな兵であるとされているが夕姫に想いを寄せている様子。 夕維と那嵬とは幾度か共闘した事もあり親しい間柄である。 碧(みどり) 千珠と同じ夕姫の近衛であり「兵」に属するシ一族の者だが、池の桜から生まれた「兵」ではなく、「弥」に与した「兵」から生まれた。千珠と同じく男の姿にも女の姿にもなる事ができる。 鮮赤の池に愛着はなく好きでもないが、千珠と共に居たいがために池に在り続けた。千珠が人間界に居る時も人間界に来た理由を「お前がいるから」と言っている。 那嵬と夕維が互いに想い合っているのを見抜き、「那嵬に夕維が大切なら素直になるべきだ」と説き、彼を鮮赤の池へと導く手助けをした。夕姫の目覚めを望んでいない碧が那嵬を鮮赤の池へと手引きした裏には、瑞月と対する立場にある弥の血が蘇った那嵬ならば、夕姫の覚醒の鍵となる夕維を消してくれるのではないかとの思惑もあった。最終的に碧は池から離反し宿木賊として人間界に追放となったが、もともと鮮赤の池とは水が合わないと言っていた当人は気に留めるふうでもなく、すんなりと人間界に溶け込んでいった。 真乃(まの) 人間界で育ったシ一族の血を引く少年。「香音抄」続編の最終章で彼の首の後ろに「弥」の印が現れるが、碧と同じように弥の血を引いていた者であったのか、もしくは池の意志に反して那嵬に池に向かうよう持ちかけたために謀叛とみなされたのかは明らかでない。碧とはそれなりに親しく、最終話以降も人間界で碧と共に行動している。 基本的に真乃は男性(少年)であるが、シとして覚醒した時に彼の中のもう一人の人格ともいえる女の人格をもつ真乃が具現化された為、少女にも姿を変える事が出来る。 夕維に好意を抱いているが、夕維にとって真乃は良い友達でしかない。 早良(さわら) 夕姫の姪。夕維の先祖である夕良(ゆうら)の双子の姉妹のため、顔形は夕維の幼い頃によく似ている。那嵬が人間だった少年の頃に出会った少女で互いに共鳴にも似た親しみを抱いていた。水の都と共に己を封印し少女の姿のまま永い眠りについていたが「鮮赤の池」へ帰った夕維と接触した事で目覚める。 夕姫(ゆき) 夕維の遠い先祖であるシの吸血姫。シ一族の郷「鮮赤の池」の長姫であるが、実際に「鮮赤の池」を支配しているのは池自身の思念であり、夕姫が池の思念に取り込まれた時「鮮赤の鬼姫」となる。 遠い昔、人間(那嵬の義兄)と恋に落ち、生ある身では共にいる事が叶わないため二人で鮮赤の池底深く永い眠りについたが、池はそれを許さず夕姫の双子の姉・早姫の血を引く者を呼び寄せ、夕姫を真の鮮赤の吸血姫として覚醒させようとする。
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