基準と審査
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/25 22:56 UTC 版)
「Jリーグクラブライセンス制度」の記事における「基準と審査」の解説
Jリーグでも、AFCでの5分野に相当する5分野の審査基準項目(競技、施設、人事組織、法務、財務)を設けており、項目数は全部で56項目に及ぶ。これらの項目は以下の3種類の基準に区分されている。 A等級基準 - ライセンス交付のために無条件に必須とされる基準(44項目) B等級基準 - 達成しなかった場合に処分が科せられた上でライセンスが交付される基準(3項目) C等級基準 - 必須ではないが推奨される基準(9項目) ※以下「等級基準」は「等級」と略す 審査基準の主なものとしては以下のような項目が挙げられる。 競技基準 アカデミーチーム (U-18 / U-15 / U-12 / U-10) を保有(クラブ直営または関連法人が運営)していること(A等級) 女子チームを保有していること(C等級) 施設基準 スタジアムの入場可能人員がリーグの規定(J1は15,000人、J2は10,000人)を上回っていること(A等級) スタジアムの観客数1,000名あたり、洋式トイレ5台以上、男性用小便器8台以上を備えていること(B等級)トイレの数については、本来の規定数を充足していなくても、「収容人員数の60%」を実態の観客動員数と見なし、これを母数とした場合に基準を満たしていれば制裁の対象外とする、通称「トイレ60%ルール」が2013シーズン申請分(2014シーズンより適用)以降に運用されている スタジアムに観客席の3分の1以上(B等級)または観客席すべて(C等級)を覆う屋根を備えること クラブが年間を通じて使用できる天然芝、ハイブリッド芝もしくは人工芝のピッチ1面・屋内トレーニング施設・クラブハウス・メディカルルームがあること(A等級)J1ライセンスにおいては「専用もしくは優先的に使用できる」天然芝もしくはハイブリッド芝のピッチ1面と、隣接するクラブハウス、観覧エリアがあることが必要条件となる。 年間を通じてアカデミーのトレーニングに利用できる天然芝もしくは人工芝のピッチ1面・屋内トレーニング施設・クラブハウス・メディカルルームがあること(A等級) 人事体制・組織運営基準 指定された資格を持つ財務担当・運営担当・セキュリティ担当・広報担当・事業担当・マーケティング担当を置くこと(A等級) 専任もしくは外部の顧問弁護士を置くこと(C等級) 法務基準 同じ競技会に出場している他クラブの経営等への関与を行わないこと(A等級) 財務基準 年次財務諸表(監査済み)を提出し、Jリーグの審査を受けること(A等級)。その際、3期連続の当期純損失(赤字)を計上していないこと(2012年度-2014年度の3年間以降で算定)および債務超過でないこと(2014年度から算定)が必須条件となる。2018年からはJ1・J2に関して、3期以上連続の当期純損失(赤字)を計上しても、「前年度の赤字額が純資産額を上回っていないこと」を満たせば財務基準を満たすと判断されるよう交付規則が改定され、2017年12月6日のJリーグ総会で承認された。クラブに財務体力に応じた投資を促すことなどが狙いだという。 移籍金や給与の未払いが生じていないこと(A等級)。 基準の具体的な内容としては、従前から設けられていたJリーグへの参加基準を概ね踏襲した上で、AFC基準を加味したものになっている。なお、財務に関する一部の基準は、AFCのルールにない日本独自の基準が用いられているという。 A等級を満たせない場合はライセンスが交付されず、その場合は下位リーグであるJ3リーグ、日本フットボールリーグ (JFL) 、あるいは地域リーグへ降格となる可能性もある。B等級を満たさなかった場合の処分としては、「戒告」「無観客試合」などが想定されている。ただしライセンス交付への影響(資格没収など)はない。 また、リーグ戦安定開催融資制度(旧「公式試合安定開催基金」)によりJリーグから融資を受けたクラブについては、勝ち点を10減ずる制裁措置が執られることとなっている。その一方で、それまでに受けた公式試合安定開催基金の債務がある場合には、債務を完済しない限りJ1ライセンスを交付できなかったものとみなされることになっている(J1昇格プレーオフ#参加チームも参照のこと)。 審査は2012年以降毎年行われ、6月末の申請締め切り後、Jリーグが任命する弁護士、公認会計士らで構成する審査機関がライセンスの交付、不交付を9月までに判定することになっている。AFCの制度に順じ、ライセンスの審査機関には第一審機関と上訴機関があり、第一審での判定に不服があるクラブは、上訴して再審査を受けることができる。 なお、施設基準については、2018年11月20日付の運用細則改定において、現状のスタジアム・練習施設が基準を満たしていなくても、以下の要件のいずれかを満たす場合には、施設基準を満たしていると見なす特例が設けられ、同年12月12日のJリーグ理事会で承認された。 要件を満たすための工事が着工されており、かつ申請から4年目のシーズンの開幕までにに竣工し、工事期間中も試合開催に支障をきたさないと合理的に認められる場合 Jリーグ規約第30条第1項に該当する『理想のスタジアム』(スタジアム基準を充足した上で、アクセス性に優れ、すべての観客席が屋根で覆われ、複数のビジネスラウンジやスカイボックス、大容量高速通信設備を備えた、フットボールスタジアム)を5年間の猶予期間内に整備することを申請書に記載した場合。この場合、昇格後3年以内に場所・予算・整備内容を備えた具体的なスタジアム整備計画を提出することを必須とする。 猶予期間内に工事に着手した場合、要件1の適用によりさらに3年間の実質的な猶予期間を得ることも出来る。2020年シーズンに向けたライセンスにおいてこの例外規定2を適用された鹿児島と琉球(2020年シーズンにJ2昇格)は、2022年6月末(2023年シーズンのライセンス申請期限)までに施設基準を満たすスタジアムの具体的整備計画を提示した上で、2024年シーズン開幕時にスタジアムが供用開始されている必要がある(但し例外規定1の併用で2028年までの供用開始とすることも可能)と説明されている。 なお、上記いずれの場合も、照明並びに諸室要件については猶予期間を設定しない。また、トレーニング施設要件に関しても3年の猶予期間を設定する。また、例外規定は1回限りの適用となり、例外規定が失効した場合、(想定されていない事象が発生し理事会での承認を得た場合を除き)再度の例外規定を適用することは出来ない。
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