唯識派・法相宗
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唯識派及びその東アジア後継である法相宗では、『唯識三十頌』に則り、心所(心所法)を以下の全51種とする。 心所法(しんじょほう、caitasika dharma, チャイタシカ・ダルマ)(51)遍行心所(へんぎょうしんじょ、sarvatraga, サルヴァトラガ)(5)作意(さい、manaskāra, マナスカーラ) 触(そく、sparśa, スパルシャ) 受(じゅ、vedanā, ヴェーダナー) 想(そう、saṃjñā, サンジュニャー) 思(し、cetanā, チェータナー) 別境心所(べっきょうしんじょ、viniyata, ヴィニヤタ)(5)欲(よく、chanda, チャンダ) 勝解(しょうげ、adhimokṣa, アディモークシャ / adhimukti、アディムクティ) 念(ねん、smṛti, スムリティ) 定(じょう、samādhi, サマーディ) 慧 (え、prajñā, プラジュニャー / mati, マティ) 善心所(ぜんしんじょ、kuśala, クシャラ)(11) 信(しん、śraddhā, シュラッダー) 精進(しょうじん、vīrya, ヴィーリヤ) 慚(ざん、hrī, フリー) 愧(き、apatrāpya, アパトラーピヤ) 無貪(むとん、alobha, アローバ) 無瞋(むしん、adveṣa, アドヴェーシャ) 無癡(むち、amoha, アモーハ) 軽安(きょうあん、praśrabdhi, プラシュラブディ) 不放逸(ふほういつ、apramāda, アプラマーダ) 行捨(ぎょうしゃ、upekṣa, ウペークシャー) 不害(ふがい、ahiṃsā, アヒンサー) 煩悩心所(ぼんのうしんじょ、kleśa, クレーシャ)(6)貪(とん、rāga, ラーガ) 瞋(しん、pratigha, プラティガ) 癡(ち、mūḍhi, ムーディ / moha, モーハ) 慢(まん、māna, マーナ) 疑(ぎ、vicikitsā, ヴィチキッツァー) 悪見(あっけん、dṛṣṭi, ドリシュティ) 随煩悩心所(ずんぼんのうしんじょ、upakleśa, ウパクレーシャ)(20)小随煩悩(10)忿(ふん、krodha, クローダ) 恨(こん、upanāha, ウパナーハ) 覆(ふく、mrakṣa, ムラクシャ) 悩(のう、pradāsa, プラダーサ) 嫉(しつ、īrasyā, イールシヤー) 慳(けん、mātsarya, マーツァリヤ) 誑(おう、māyā, マーヤー) 諂(てん、śāṭhya, シャーティヤ) 害(がい、vihiṃsā, ヴィヒンサー) 憍(きょう、mada, マダ) 中随煩悩(2)無慚(むざん、āhrīkya, アーフリーキヤ) 無愧(むき、anapatrāpya, アナパトラーピヤ) 大随煩悩(8)掉挙(じょうこ、auddhatya, アウッダティヤ) 惛沈(こんじん / こんぢん、styāna, スティヤーナ) 不信(ふしん、āśraddhya, アーシュラッディヤ) 懈怠(けだい、kausīdya, カウシーディヤ) 放逸(ほういつ、pramāda, プラマーダ) 失念(しつねん、muṣitasmṛtitā, ムシタスムリティター) 散乱(さんらん、vikṣepa, ヴィクシェーパ) 不正知(ふしょうち、asaṃprajanya, アサンプラジャニヤ) 不定心所(ふじょうしんじょ、aniyata, アニヤタ)(4)悔 (悪作)(げ (おさ/あくさ)、kaukṛtya, カウクリティヤ) (睡)眠((すい)めん、middha, ミッダ) 尋(じん、vitarka, ヴィタルカ) 伺(し、vicāra, ヴィチャーラ)
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唯識派・法相宗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/08/28 15:40 UTC 版)
唯識派では、色法も識(三科を参照。)が現し出したものとして、心の中に摂めている。唯識派・法相宗の『成唯識論』では、心(citta)を 眼識/cakṣur vijñāna (cakkhu viññāṇa) 耳識/śrotra vijñāna (sota viññāṇa) 鼻識/ghrāṇa vijñāna (ghāna viññāṇa) 舌識/jihvā vijñāna (jivhā viññāṇa) 身識/kāya vijñāna (kāya viññāṇa) 意識/mano vijñāna (mano viññāṇa) の「六識」ṣaḍ vijñānaに、 末那識/manas vijñāna 阿頼耶識/ālaya vijñāna を加えた「八識」の8心法(心王)として表現する。また、心所は51が挙げられている。
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唯識派・法相宗
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一方、唯識派やその東アジア後継である法相宗では、『成唯識論』に則り、心法8・心所法51・色法11・不相応行法24・無為法6の100種(五位百法)とする。 (唯識の名の通り、こちらの教学では「心」(識) の優位性が詳細さを以て説かれるので、「心法」が冒頭に配置され、「色法」は後順に退く格好になる。) 漢訳名は普光の『大乗百法明門論疏』に従う。 有為法(ういほう、梵: saṃskṛta dharma, サンスクリタ・ダルマ)(94)心法(しんほう、梵: citta dharma, チッタ・ダルマ)(8)眼識(げんしき、梵: cakṣur-vijñāna, チャクシュル・ヴィジュニャーナ) 耳識(にしき、梵: śrotra-vijñāna, シュロートラ・ヴィジュニャーナ) 鼻識(びしき、梵: ghrāṇa-vijñāna, グラーナ・ヴィジュニャーナ) 舌識(ぜっしき、梵: jihvā-vijñāna, ジフヴァー・ヴィジュニャーナ) 身識(しんしき、梵: kāya-vijñāna, カーヤ・ヴィジュニャーナ)以上【五識】 意識(いしき、梵: mano-vijñāna, マノー・ヴィジュニャーナ) 以上【六識】 末那識(まなしき、梵: manas, マナス) 阿頼耶識(あらやしき、梵: ālaya-vijñāna, アーラヤ・ヴィジュニャーナ)以上【八識】 心所法(しんじょほう、梵: caitasika dharma, チャイタシカ・ダルマ)(51)遍行心所(へんぎょうしんじょ、梵: sarvatraga, サルヴァトラガ)(5)作意(さい、梵: manaskāra, マナスカーラ) 触(そく、梵: sparśa, スパルシャ) 受(じゅ、梵: vedanā, ヴェーダナー) 想(そう、梵: saṃjñā, サンジュニャー) 思(し、梵: cetanā, チェータナー) 別境心所(べっきょうしんじょ、梵: viniyata, ヴィニヤタ)(5)欲(よく、梵: chanda, チャンダ) 勝解(しょうげ、梵: adhimokṣa, アディモークシャ) 念(ねん、梵: smṛti, スムリティ) 定(じょう、梵: samādhi, サマーディ) 慧(え、梵: prajñā, プラジュニャー) 善心所(ぜんしんじょ、梵: kuśala, クシャラ)(11)信(しん、梵: śraddhā, シュラッダー) 精進(しょうじん、梵: vīrya, ヴィーリヤ) 慚(ざん、梵: hrī, フリー) 愧(ぎ、梵: apatrāpya, アパトラーピヤ) 無貪(むとん、梵: alobha, アローバ) 無瞋(むしん、梵: adveṣa, アドヴェーシャ) 無痴(むち、梵: amoha, アモーハ) 軽安(きょうあん、梵: praśrabdhi, プラシュラブディ) 不放逸(ふほういつ、梵: apramāda, アプラマーダ) 行捨(ぎょうしゃ、梵: upekṣa, ウペークシャー) 不害(ふがい、梵: avihiṃsā, アヴィヒンサー) 煩悩心所(ぼんのうしんじょ、梵: kleśa, クレーシャ)(6)貪(とん、梵: rāga, ラーガ) 瞋(しん、梵: pratigha, プラティガ) 慢(まん、梵: māna, マーナ) 無明(むみょう、梵: avidyā, アヴィディヤー) 疑(ぎ、梵: vicikitsā, ヴィチキッツァー) 不正見(ふしょうけん、梵: dṛṣṭi, ドリシュティ) 随煩悩心所(ずいぼんのうしんじょ、梵: upakleśa, ウパクレーシャ)(20)小随煩悩(10)忿(ふん、梵: krodha, クローダ) 恨(こん、梵: upanāha, ウパナーハ) 悩(のう、梵: pradāsa, プラダーサ) 覆(ふく、梵: mrakṣa, ムラクシャ) 誑(おう、梵: māyā, マーヤー) 諂(てん、梵: śāṭhya, シャーティヤ) 憍(きょう、梵: mada, マダ) 害(がい、梵: vihiṃsā, ヴィヒンサー) 嫉(しつ、梵: īrasyā, イールシヤー) 慳(けん、梵: mātsarya, マーツァリヤ) 中随煩悩(2)無慚(むざん、梵: āhrīkya, アーフリーキヤ) 無愧(むぎ、梵: anapatrāpya, アナパトラーピヤ) 大随煩悩(8)掉挙(じょうこ、梵: auddhatya, アウッダティヤ) 惛沈(こんじん、梵: styāna, スティヤーナ) 不信(ふしん、梵: āśraddhya, アーシュラッディヤ) 懈怠(けだい、梵: kausīdya, カウシーディヤ) 放逸(ほういつ、梵: pramāda, プラマーダ) 失念(しつねん、梵: muṣitasmṛtitā, ムシタスムリティター) 心乱(しんらん、梵: vikṣepa, ヴィクシェーパ) 不正知(ふしょうち、梵: asaṃprajanya, アサンプラジャニヤ) 不定心所(ふじょうしんじょ、梵: aniyata, アニヤタ)(4)悪作(おさ、梵: kaukṛtya, カウクリティヤ) 睡眠(すいめん、梵: middha, ミッダ) 尋(じん、梵: vitarka, ヴィタルカ) 伺(し、梵: vicāra, ヴィチャーラ) 色法(しきほう、梵: rūpa dharma, ルーパ・ダルマ)(11)眼(げん、梵: cakṣus, チャクシュス) 耳(に、梵: śrotra, シュロートラ) 鼻(び、梵: ghrāṇa, グラーナ) 舌(ぜつ、梵: jihvā, ジフヴァー) 身(しん、梵: kāya, カーヤ)以上【五根】 色(しき、梵: rūpa, ルーパ) 声(しょう、梵: śabda, シャブダ) 香(こう、梵: gandha, ガンダ) 味(み、梵: rasa, ラサ) 触(そく、梵: spraṣṭavya, スプラシュタヴィヤ/梵: sparśa, スパルシャ)以上【五境】 法処所摂(ほうしょしょしょう、梵: dharmāyatanikāni rūpāni, ダルマーヤタニカーニ・ルーパーニ) 心不相応行法(しんふそうおうぎょうほう、梵: citta-viprayukta-saṃskāra dharma, チッタ・ヴィプラユクタ・サンスカーラ・ダルマ)(24)得(とく、梵: prāpti, プラープティ) 命根(みょうこん、梵: jīvitendriya, ジーヴィテーンドリヤ) 衆同分(しゅどうぶん、梵: nikāya-sabhāga, ニカーヤ・サバーガ) 異生性(いしょうしょう、梵: pṛthagjanatva, プリタグジャナトヴァ) 無想定(むそうじょう、梵: asaṃjñi-samāpatti, アサンジュニ・サマーパッティ) 滅尽定(めつじんじょう、梵: nirodha-samāpatti, ニローダ・サマーパッティ) 無想事(むそうじ、梵: āsaṃjñika, アーサンジュニカ) 名身(みょうしん、梵: nāma-kāya, ナーマ・カーヤ) 句身(くしん、梵: pada-kāya, パダ・カーヤ) 文身(もんしん、梵: vyañjana-kāya, ヴィヤンジャナカーヤ) 生(しょう、梵: jāti, ジャーティ) 住(じゅう、梵: sthiti, スティティ) 老(ろう、梵: jarā, ジャラー) 無常(むじょう、梵: anityatā, アニティヤター) 流転(るてん、梵: pravṛtti, プラヴリッティ) 定異(じょうい、梵: pratiniyama, プラティニヤマ) 相応(そうおう、梵: yoga, ヨーガ) 勢速(せいそく、梵: jāvanya, ジャーヴァニヤ) 次第(しだい、梵: anukrama, アヌクラマ) 方(ほう、梵: deśa, デーシャ) 時(じ、梵: kāla, カーラ) 数(しゅ、梵: saṃkhyā, サンキヤー) 和合性(わごうしょう、梵: sāmagrī, サーマグリー) 不和合性(ふわごうしょう、梵: asāmagrī, アサーマグリー) 無為法(むいほう、梵: asaṃskṛta dharma, アサンスクリタ・ダルマ)(6)虚空(こくう、梵: ākāśa, アーカーシャ) 択滅(ちゃくめつ、梵: pratisaṃkhyā-nirodha, プラティサンキヤー・ニローダ) 非択滅(ひちゃくめつ、梵: apratisaṃkhyā-nirodha, アプラティサンキヤー・ニローダ) 不動(ふどう、梵: āniñjya, アーニンジヤ) 想受滅(そうじゅめつ、梵: saṃjñā-vedayita-nirodha, サンジュニャー・ヴェーダイタ・ニローダ) 真如(しんにょ、梵: tathatā, タタター) このように立場によって数や順序、位置づけが異なっている。 また、実体の存在を認めるか否かについても異なっている(唯識宗の根幹にある喩伽唯識では実体を認めない)。
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唯識派・法相宗
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/22 03:35 UTC 版)
大乗仏教の瑜伽行派(ゆがぎょうは)では、上記の根本煩悩から派生するものとして、20種の随煩悩を立てた。 瑜伽行派の後継である東アジアの法相宗もこの説に従う。
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