和平に向けてとは? わかりやすく解説

和平に向けて

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/12 17:50 UTC 版)

昭和天皇」の記事における「和平に向けて」の解説

戦局日本不利が明らかになっていた1944年には終戦見据えた発言漏れるようになった同年3月27日参謀本部次長戦況報告に対して頑張リ通セハ何トカナルト言フカ如ク聞ユル。勿論頑張ルコトニ不同意ハ無イカ、国ヲ最後ノドタンバ迄追込ムコトハ、戦後国力回復ヲ困難ニスヘシ」と語った。 『昭和天皇実録』によると、昭和天皇終戦意向最初に示したのは1944年昭和19年9月26日で、側近木戸幸一内大臣対し、「武装解除又は戦争責任問題除外して和平実現できざるや、領土如何でもよい」などと述べている。 日本連合国に対して劣勢とさらに劣勢となっていた1945年昭和20年1月6日連合国軍ルソン島上陸準備をしているとの報を受けてフィリピンの戦い (1944-1945年))、昭和天皇木戸幸一重臣意見を聞くことを求めた。このとき、木戸陸軍梅津美治郎参謀総長および海軍及川古志郎軍令部総長閣僚当時小磯内閣小磯國昭首相)の召集勧めている。準備木戸が行い、軍部刺激しないように秘密裏行われた表向き重臣天機奉伺するという名目であった詳細は「近衛上奏文」を参照 その中で特筆すべきものとしては、2月14日行われた近衛元首相の上奏がある。近衛は「敗戦必至である」として、「和平妨害敗戦に伴う共産主義革命を防ぐために、軍内の革新派一味粛清すべきだ」と提案している。昭和天皇は「近衛言う通り人事できない」ことを指摘しており、近衛の策は実行されなかった。 フィリピンの戦いから硫黄島の戦い沖縄戦にかけて、日本陸海軍航空機による米艦船への体当たり攻撃神風特別攻撃隊)を繰り返し実施。i沖縄戦直前1945年3月7日ニュース映画特攻隊員寄せ書きする場面見た昭和天皇について、坪島侍従武官は「聖上天皇)御涙ヲヌグワセラレタリ」と記している。 沖縄戦での日本軍による組織的戦闘終了について報告受けた2日後1945年6月22日には、鈴木貫太郎首相東郷茂徳外相阿南惟幾陸相米内光政海相梅津美治郎参謀総長豊田副武軍令部総長呼んで懇談会開き戦争の終結についても速やかに具体研究遂げるよう求め初めて軍の最高幹部戦争終結意思表明した(『昭和天皇実録』より)。 その後日本の降伏求めポツダム宣言1945年7月27日日本通達された。広島市への原子爆弾投下2日後1945年8月8日に、東郷茂徳外相対し「なるべく速やかに戦争終結させたい旨を述べている。 その翌日長崎市にも原子爆弾投下される直前1945年8月9日午前9時37分に、ソ連対日参戦との報告を受けると、18分後の午前9時55分に木戸幸一内大臣呼び鈴木貫太郎首相戦争終結向けて十分に懇談」するよう指示出した。これを受け鈴木首相は、同日午前10時30分開催最高戦争指導会議御前会議)でポツダム宣言受諾可否決めたい答えた連合国によるポツダム宣言受諾決議案について長時間議論した結論が出なかったため、首相鈴木貫太郎判断により天皇判断(御聖断)を仰ぐことになった昭和天皇8月10日午前0時3分から始まった最後御前会議ポツダム宣言受諾意思表明し8月15日正午自身音読し録音された「終戦の詔書大東亜戦争終結詔書)」がラジオ通じて玉音放送として放送され終戦となった。 のちに昭和天皇侍従長藤田尚徳に対して「誰の責任にも触れず権限も侵さないで、自由に私の意見述べ得る機会初め与えられたのだ。だから、私は予て考えていた所信述べて戦争をやめさせたのである」「私と肝胆照らした鈴木であったからこそ、このことが出来たのだと思っている」と述べている。 なお、昭和天皇ポツダム宣言受諾決意した時期は、ソ連の対日参戦時、広島・長崎への原爆投下時など諸説あったが、『昭和天皇実録』に記載されている一連の和平実現を巡る経緯対し歴史学者伊藤之雄は「ソ連参戦ポツダム宣言受諾最終的に決意する原因だったことが改め読み取れる」と述べている。これに対し歴史学者土田宏成は「昭和天皇終戦決断する至ったのは、大規模な空襲沖縄戦原爆投下などの惨禍衝撃を受け、国民国家の存続危機感じたことも一因考えられる」と述べている。

※この「和平に向けて」の解説は、「昭和天皇」の解説の一部です。
「和平に向けて」を含む「昭和天皇」の記事については、「昭和天皇」の概要を参照ください。

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