創作の絶頂期とは? わかりやすく解説

創作の絶頂期

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/07 05:48 UTC 版)

エドワード・エルガー」の記事における「創作の絶頂期」の解説

エルガー作品中、最も知られる作品群作曲されたのは1899年から1920年までの21年間である。それらの大半管弦楽作品であったリードは「エルガー天分はその管弦楽作品において頂点極める」と記した上でオラトリオを書く場合ですらオーケストラパートが最も重要であると語った作曲者自身言葉引用している。『エニグマ変奏曲』によってエルガーはその名を国中轟かせた。彼にとってこの時期変奏曲という形式採用したのは理想的な選択であったというのもこの頃彼に広く管弦楽法長じていながらも、対照的に旋律短く時に息詰まるようなフレーズで書く傾向あったからである。続く管弦楽作品である演奏会用序曲コケイン』(1900年-1901年)、『威風堂々』の第1番第2番1901年)、そして柔和な夢の子供たち』(1902年はいずれ小規模な作品であった最長の『コケイン』でも15分未満演奏時間である。『南国にて』(1903年-1904年)は当初作曲者により演奏会用序曲と銘打たれたものの、マイケル・ケネディによれば実質的に交響詩となっており、エルガーそれまで書いた管弦楽作品の中では連続して演奏される最長楽曲となった。この曲が書かれたのは交響曲作曲試みをいったん中断した後のことだった。この作品からは息の長い旋律線と管弦楽の歌わせ方に上達続けエルガーの姿が窺われるが、ケネディはじめとする批評家には中間部に関して次のような指摘をする者もいる。「エルガーインスピレーションの炎は、その最高の輝き放ってはいない。」1905年には『序奏とアレグロ』が完成された。この作品多く主題用いてきたそれまでエルガー作品とは異なり主題3つだけに絞っている。ケネディはこれを「イングランドにおける弦楽合奏のための作品の中では、唯一ヴォーン・ウィリアムズの『トマス・タリスの主題による幻想曲』のみが右に並び得る偉大な楽曲」であると評した。にもかかわらず15分満たないこの楽曲当時基準では長大作品とはならなかった。同時期に作曲されグスタフ・マーラー交響曲第7番演奏時間1時間超える作品である。 しかしながら次の4年の間にエルガー作曲した3つの主要な演奏会楽曲は、大陸同時代活躍した一部作曲家同種作品群比べれば短いとはいうもののイングランド作曲家による同じジャンル作品としては最も長大部類属するものとなる。その作品はいずれ45分から1時間要する交響曲第1番ヴァイオリン協奏曲交響曲第2番である。マクヴェイは2つ交響曲について次のように述べている。「(2つ交響曲は)エルガー作品の中のみならずイングランド音楽の歴史においても高く位置づけられる。両曲とも長大力強く、曲の生気雄弁さの源となる内的なドラマ存在示唆する唯一の鍵、そして引用句である曲のプログラム公表されていない。両曲は古典的形式依拠しながらも形式から逸脱しており(中略)そのために批評家からは冗長締まりがないみなされることもあった。おびただしい数の新たな試み盛り込まれていることは疑いなく、各交響曲進歩過程図示しようものなら何十曲もの音楽が間に連なることだろう。」 エルガーヴァイオリン協奏曲チェロ協奏曲は、ケネディ述べるところでは「彼の最良作品であるだけにとどまらず、同じ形式作品中でも最上級もの」である。しかし、この2曲は大きく趣を異にしている。ヴァイオリン協奏曲エルガー人気頂点極めた1909年作曲で、彼が最も愛す楽器のために書かれており、全編通して抒情的ありながら狂乱絢爛交互に顔を出す10年経ち第一次世界大戦終結直後作曲されチェロ協奏曲は、ケネディの言によれば異な時代異な世界属するもの(中略エルガーの全主要作品中でも最も簡素であり(中略また、最も控え目である。」2曲の協奏曲合間作曲され交響習作フォルスタッフに関しては、エルガー最大限称賛する人々意見すら2つ割れる。音楽学者のドナルド・トーヴィーは「シェイクスピア同等の」力を備えた音楽中でも計り知れないほど偉大なもののひとつ」としているが、一方ケネディ作品が「反復進行依存しすぎ」ており、女性登場人物理想的に描き過ぎているとして批判したまた、リードは曲の主要主題エルガーそれまで作品のような特徴乏しいと考えていた。エルガー自身は『フォルスタッフ』を自らの純管弦楽作品中でも頂点位置する楽曲であるとみなしていた。 21年間に及ぶエルガー創作中期における管弦楽声楽のための主要作品は、管弦楽合唱複数独唱者のための3つの大規模な楽曲であった。『ゲロンティアスの夢』(1900年)、オラトリオ使徒たち』(1903年)、『神の国』(1906年)である。またより小規模な2つ頌歌、『戴冠式頌歌』(1902年)と『ミュージック・メイカーズ』(1912年)も書かれている頌歌のうち前者戴冠式用に書かれており(pièce d'occasion)、当初最大の成功作である『希望と栄光の国と共に成功収めたものの、その後あまり顧みられていない後者にはエルガーとしては珍しくリヒャルト・シュトラウスの『英雄の生涯同様にいくつかの過去作品からの引用が行われている。合唱作品はいずれ成功収めたが、現在に至るまで最大の成功作となり最も演奏機会が多いのは1作目の『ゲロンティアスの夢』である。エルガージョン・ラスキン引用し草稿次のように記している。「これは私の最高傑作だ。これ以外のものは、誰しもするように食べ飲み眠り愛して嫌悪しているに過ぎない。私ののようだった人生終わりを告げた。しかし私はこれを見、知った私のものであるにせよ、これは君の記憶とどめる価値がある。」これら3つの大規模合唱作品は、全て伝統的な形式則り独唱合唱、そして斉唱各部分から構成されている。エルガー管弦楽法旋律着想同様に特徴的で、これによって彼の合唱曲群は先立つ大半イギリス作品より高いレベルへと引き上げられている。 中期書かれ作品には、他にジョージ・ムーアウィリアム・バトラー・イェイツ戯曲への付随音楽グラニアとディアミド』(1901年)、そしてアルジャーノン・ブラックウッド小説に基づく戯曲への付随音楽スターライト・エクスプレス』(1916年)がある。前者に関してイェイツエルガー音楽を「英雄的な陰鬱さが素晴らしい」と評した。さらにこの絶頂期には数多く歌曲作曲されているが、リードはこれらについて「彼がオーケストラレパートリー拡充したのと同程度に、声楽レパートリー増やしたとは言えない」と考えている。

※この「創作の絶頂期」の解説は、「エドワード・エルガー」の解説の一部です。
「創作の絶頂期」を含む「エドワード・エルガー」の記事については、「エドワード・エルガー」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「創作の絶頂期」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「創作の絶頂期」の関連用語

創作の絶頂期のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



創作の絶頂期のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaのエドワード・エルガー (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS