初期の相対する報告
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EMは1994年に提唱、ということだが、1996年に日本土壌肥料学会のシンポジウムでいくつかの報告が行われた。タイで研究者に肥料の議論があったため活発な研究が行われたとした。山口大学農学部の丸本卓哉は、救世EM-1を使用しホウレンソウの生育や収穫量(収量)に変化は見られなかったことを報告した。 バンコクのカセットサート大学研究開発研究所では、小さな39のプロジェクトが1994年から14か月にわたって実施され、100人近い研究者や職員を総動員して行われた研究が紹介された。その時点で農業利用のための文献は乏しい。 性質では、EM試料には、光合成細菌やactinomycetes(いわゆる放線菌)は含まれないことが特徴的であった。 抗微生物活性はない。病原性細菌やカビを抑制せず、10種類の害虫に効果なし、植物の成長促進効果なし(イネ、トウモロコシ、トマト、ソルガム、ヤードロングビーン)。 豚の汚水をEMで処理し植物肥料とした場合、マリーゴールド以外、化学肥料よりも収量が減少した。 酵素活性では普通の化学肥料で十分な活性が与えられる。 藍藻に対する試験では、適切なEM濃度を維持すれば窒素固定率が増加するが、それより高濃度では逆に減少した。また、EM処理によって、植物の生長に寄与するVA菌根の量が減少する事が確認された。 豚やナマズの飼料として与える実験では何の効果も見られなかった。 EMと化学物質で処理された水の比較では、平均して農業目的や環境への影響の調査ではそれほどの違いがない。 EMにはメチルパラチオンやカーボフランのような残存する毒性物質の分解能力はない。 と、総じて否定的な報告が行われた。 これに対して岡山大学の岸田芳朗は、救世教の分裂問題に分け入ってあえて学会で取り上げたことや、世界各地で研究される好機を締め出そうとしている閉鎖性に対して、日本の農学への信頼性を傷つけることになるとして憂いた。 比嘉によれば、発酵食品をうまく作るようにEMを増殖させる必要があり、その善し悪しが研究結果の有無につながってくる、発酵食品を上手に作ったか程度の話で学会で騒ぐことではない。しかし2004年まででも、国際誌も含む様々な学会誌で効果ありという論文が増えた。 琉球大学の比嘉自身も含め、鹿児島大学、宮崎大学、九州大学の多くの分野の研究者が参加した研究(1999年)では、 EMが土壌改良剤として効果が顕著で、さらに稲作では品質・収量が慣行法より増加する。 畜産への応用では、悪臭防除と病気予防の効果が確認される。 などの様々な有用性が確認されたことを報告したし、生物多様性の増加(2000年)、ダイオキシン類の減少(2000年)、下水処理(2000年)、池の浄化(2002年)、EMを添加した石鹸によって対照と比較しての4日目からの付近の水質改善や界面活性剤の分解促進(2002年)など、比嘉も含む関係者の研究結果も継続して報告されてきた。ほかにも、EM発酵物質EMXに鉄を浸した際の赤さび防止と重量減少抑制効果を確認し、その防錆効果の物質をX線回折によって構造決定した(1997年)。 世界救世教による救世自然農法国際会議(1995年第4回)で、同教団も参加した研究で、家庭排水の浄化槽にEMを活用。結果、臭気、汚泥量が減少し、COD等に見られる水質の改善が確認された、と報告された。
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