初期の発見報告
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/21 14:56 UTC 版)
土星の10番目の衛星は、20世紀初頭にその発見が報告されていながら、長らくその存在が確認されなかった幻の衛星だった。 19世紀末に、アメリカの天文学者ウィリアム・ヘンリー・ピッカリングが第9衛星フェーベを発見したが、程なくしてピッカリングは自分が撮影した写真乾板より新たな衛星を発見したと主張し、テミスと名付けた。ところがその後、誰もテミスを確認することができなかった。そのため、テミスはピッカリングの誤報だったとされている。 テミス騒動より60年後の1966年12月15日になって、フランスの天文学者オドゥワン・ドルフュスによって新たな衛星の発見が報告された。当初テミスの再発見かと思われたが全く別の衛星で、ドルフュスはヤヌスという名称を提案した。これで土星の第10衛星が実在することが確認されたのである。ところがヤヌスもテミス同様、同年のリチャード・ウォーカーらの報告を除いて、その後誰にも確認されることがなく、またも幻の衛星なのか、土星には第10衛星は存在しないのかと悲観的な見方が強まった。 なおウォーカーらが報告したものはヤヌスと公転軌道を共有する別の衛星であったことが後に判明しており、エピメテウスと名づけられている。発見報告当初は同じ軌道に天体は一つしか存在しないと考えられたため同一視されていたが、ドルフュスが発見した天体とウォーカーが発見した天体が同じ軌道を共有する別の天体であった可能性は1978年に Stephen M. Larson と John W. Fountain によって指摘されている。
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