伽藍岳とは? わかりやすく解説

鶴見岳・伽藍岳(大分県)

1375m 北緯331712秒 東経1312547秒 (鶴見岳)
1045m 北緯331903秒 東経1312539秒 (伽藍岳) (世界測地系

鶴見岳写真鶴見岳・伽藍岳地図



概 要

 別府市背後東西にのびる別府地溝内に,南北 5kmにわたり溶岩円頂丘群が連なり,鶴見岳はその最南端。火山群岩石安山岩デイサイト(SiO2 5763%)。鶴見岳は厚い溶岩流累積からなる山頂北側噴気孔があり,また火山群北端の伽藍岳には強い硫気孔活動がある。火山群東麓扇状地別府温泉群があり,特に扇状地南北縁,山地との境界部には多数沸騰泉・硫気孔等が分布する


最近1万年の火山活動

  鶴見岳を構成する山体の大半アカホヤ火山灰(約6300 年前)に覆われ(第四紀火山カタ ログ委員会,1999)、最新溶岩流である山頂溶岩も、これ以前噴出物である。アカホヤ 火山灰堆積以後に、鶴見岳を起源とする火山灰噴出起きているが、詳細な年代はわ かっていない。 伽藍岳は、約9500 年前より若干古い時代生成し、伽藍岳- 3 火山灰噴出した( 沢,2002)。千数百年前には、2~ 3 回変質物を主体とする火山灰放出した(星住ほ か,1999,藤沢,2002)が、「日本三代実録」に記録されている西暦867 年噴火が、伽藍岳 のこの水蒸気爆発にあたる可能性が高い。伽藍岳の山頂部の径300m円弧状の火口地形内側では、1995 年新たな泥火山生成するなど、現在でも活発な噴気活動続いている。


記録に残る火山活動


867(貞観 9)年 3月 4日 噴火
鳴動噴石黒煙降灰砂,川魚被害

1949(昭和24)年 2月 噴気
山頂北西500m標高1,100m付近面積302楕円形内の多数噴気孔から高さ約10mの白色噴気噴気温度95

1974年12月昭和49噴気
1949年同地点で噴気,高さ約 150m周囲に小噴石飛散

1974(昭和49)年12月1975(昭和50)年 5月 噴気活動
地獄谷赤池噴気孔から高さ100150m噴気

1995(平成 7)年 7月11月 伽藍岳で泥火山形成
伽藍岳の珪石採取場跡で泥火山形成された。初め直径約1mの大きさであった噴気孔が,7月末頃から次第大きくなり,11月中旬頃には,土手の高さ約1m,火口長径10m,短径約7m,深さ4m楕円状の泥火山となった

1999(平成11)年12月2021日
山頂の東約3km深さ5km付近震源とする地震増加最大深度3(震度1以上37回)。



<「概要」、「最近1万年活動」、「記録に残る火山活動」については日本活火山総覧(第3版)(気象庁編、2005)および最近火山観測成果よる。




伽藍岳

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/17 15:22 UTC 版)

伽藍岳(硫黄山)
別府市街地からの伽藍岳(右端)
標高 1,045.3 m
所在地 日本
大分県由布市
位置 北緯33度19分02.5秒 東経131度25分38.9秒 / 北緯33.317361度 東経131.427472度 / 33.317361; 131.427472座標: 北緯33度19分02.5秒 東経131度25分38.9秒 / 北緯33.317361度 東経131.427472度 / 33.317361; 131.427472
種類 溶岩ドーム活火山ランクB・常時観測火山)
プロジェクト 山
テンプレートを表示
伽藍岳噴火口
伽藍岳噴気孔群

伽藍岳(がらんだけ)は、大分県由布市にある成層火山活火山。標高は1,045mで、別名を硫黄山という。行政上は由布市にあるが別府市後背地に位置しており、伽藍岳から別府湾へ伸びる鉄輪断層沿いには別府八湯のうちの明礬温泉、鉄輪温泉、柴石温泉、亀川温泉がある[1]。西側の山腹には塚原温泉がある。

概要

鶴見岳(標高1,375m)を主峰とする火山群の北端にあり、標高は1,045.3m。中腹には直径300m の円弧状の火口地形があり、噴気活動が活発である。その北側の斜面(西峰)には溶岩ドームの崩落によると思われる溶岩が多数認められる。2003年には、気象庁の見直しによって、活火山として認識すべき範囲に加えられた。気象庁指定の火山としては、鶴見岳と合わせて鶴見岳・伽藍岳と呼ばれる。

過去の噴火

伽藍岳は、約9500年前より若干古い時代に生成されたと考えられている。伽藍岳では1200年前と1000年前に小規模な水蒸気爆発が発生し、火山灰が南部や西麓に堆積した。1000年前の噴火では土石流が発生し、西麓の沢沿いに堆積したと考えられる。867年(貞観9年)に噴火した記録がある[1]

最近の火山活動

867年の噴火の記録以降は噴火の記録はない[1]。火口がある周辺はシリカの露天掘り鉱山跡であり、1966年頃には珪酸白土鉱床が「別府白土」の名称で採掘されていたが[2]、海外からの安価なシリカ鉱石の輸入に押され、1990年代に廃坑となっている(別府白土砿業株式会社塚原鉱山)。噴気帯をもつ地獄(塚原地獄)と認識されていたが、1995年、パワーショベルで作業中に一部が陥没し熱泥が噴出するようになった[3]。熱泥の噴出部分は年々拡大し、2008年現在、直径10メートル以上に成長し火口を形成している。火口内には熱泥が滞留しており、気象庁は泥火山に分類している。塚原地獄のちょうど反対側が別府温泉の明礬地区に相当し、同地区の熱源になっているのが、この鶴見岳・伽藍岳である。

火口周辺にも噴気が出現し、元からあった噴気帯は陥没の恐れが出てきた為、入場禁止となった。火口部分は塚原温泉から徒歩3分で到達できるが、近年入場が有料化された。

気象庁は2009年度補正予算により伽藍岳の山麓(伽藍岳山頂から2〜3km)に短周期地震計(地上型)、GPS及び検知網を整備した。また、大分県が伽藍岳の山麓(伽藍岳山頂から6km)に監視カメラを設置している。伽藍岳の直下5kmに存在する低比抵抗領域は地震の空白域にもあたり、マグマの存在が示唆される[4][5]

脚注

  1. ^ a b c 2 常時観測 6 火山ごとの調査結果”. 総務省. 2021年2月18日閲覧。
  2. ^ 550.378:550, 835(52a6) 大分県別府白土地帯の放射能強度分布調査報 清島信之、原田種成 地質調査所月報(第18巻第9号)
  3. ^ 日本活火山総覧(第2版)気象庁編、1996
  4. ^ 大沢、ほか(1996):1995年伽藍岳塚原鉱山跡に出現した泥火山, 火山41, 103-106
  5. ^ 藤沢・他(2002):九州北東部, 鶴見火山の最近3万年間の噴火活動, 地質學雜誌108, 48-58

関連項目

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