鉄輪温泉とは? わかりやすく解説

かんなわ‐おんせん〔‐ヲンセン〕【鉄輪温泉】

読み方:かんなわおんせん

大分県別府温泉郷の温泉の一。地獄巡り中心泉質単純温泉塩化物泉含鉄泉など。


鉄輪温泉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/01/20 16:00 UTC 版)

随所より湯煙が濛々と上がる鉄輪温泉

鉄輪温泉(かんなわおんせん)は、大分県別府市(旧国豊後国速見郡)にある温泉で、別府八湯の一つ。温泉の湧出量では日本最大である別府の源泉の大半が鉄輪に集中している。湯治場の面影を濃く残し、レトロな町並みと別府地獄めぐりの多くが鉄輪温泉にある[1]

概要

鉄輪温泉源泉の一つ。

別府八湯(別府、亀川、柴石、鉄輪、明礬、堀田、観海寺、浜脇)は西部の火山帯から東部の別府湾に向けて広がる火山麓扇状地に噴出する自然湧出泉からなり、江戸時代後期まで農閑期を中心に多くの湯治客を集めていた。明治時代の近代化以降は別府港鉄道道路の整備により観光客が急増し、一大観光地と化す。地上に吹き上げる高温の沸騰泉は気液分離装置により温泉水と温泉蒸気とに分離され、温泉水は配管で各集落へ、高温の蒸気は「湯けむり」となり空中に高く排出され、温泉場らしい雰囲気を醸成している。とりわけ鉄輪温泉は明礬温泉とともに湯治場の色彩が強く、今なお木賃宿旅籠の起源を持つ古い宿泊施設旅館や貸間として残り、路地を挟んで小規模な湯治宿が建ち並ぶレトロで情緒豊かな町並みを形成している。また、町の各所に住民により管理された共同浴場が点在する[2]

いたるところからもうもうと湯煙りを上げる鉄輪温泉地区の町並の景観は、明礬温泉地区とともに「別府の湯けむり・温泉地景観」の名称で2012年平成24年)9月19日重要文化的景観として選定されている[2]

歴史

温泉街の中心部に立つ仏像と湯煙。
地獄蒸しの卵、トウモロコシ、芋などの売店。
  • 鎌倉時代建治2年)に一遍が念仏行脚の途上に鉄輪の地を訪れた際、猛り狂う地獄地帯を鎮め、湯治場(鉄輪むし湯)を開いたのが始まりとされ、そのため上人創設の鉄輪むし湯には一遍上人像が祀られ、また「上人湯」という名の共同浴場もある。上人像の自分の体の悪い部分と同じ部位に温泉の湯をかけると、悪い箇所がよくなるとされる[3]。例年9月には鉄輪湯あみ祭りが開催され、県内唯一の時宗寺院の温泉山永福寺にて一遍上人に感謝する湯あみ法要も行われる[4][5]
  • 2009年(平成21年3月)、鉄輪温泉地区温泉湯けむり重点景観計画策定[2]
  • 2012年(平成24年)9月19日、明礬温泉とともに重要文化的景観として選定される[2]

共同浴場

鉄輪むし湯をはじめ「上人湯」、「地獄原温泉」など9か所の共同浴場がある。

  • 鉄輪むし湯 - ナトリウム塩化物泉(別府市鉄輪上1組)700円 7:30〜19:30(第4木曜日定休)
  • 上人湯 - 塩化物泉(別府市鉄輪風呂本5組)100円 10:00〜17:00
  • 渋の湯組合温泉 - 塩化物泉(別府市鉄輪風呂本1組)100円 6:30〜21:00
  • 地獄原(じごくばる)温泉- 含ホウ酸食塩泉(別府市鉄輪東6組)100円(賽銭箱へ入れる)6:30〜21:00
  • すじ湯温泉 - 塩化物泉(別府市鉄輪井田4組)100円(賽銭箱へ入れる)6:30〜20:00
  • 熱の湯温泉 - :ナトリウム塩化物泉(別府市鉄輪井田1組)無料 6:30〜21:00
  • 谷の湯 - 塩化物泉(別府市北中1組の8)100円 6:30〜20:00
  • ひょうたん温泉[1] - 塩化物泉(別府市鉄輪159-2)1,020円(400円)9:00〜24:00
  • 夢たまて筥 - 塩化物泉(別府市北中1組 大江戸温泉物語ホテル風月敷地内)1,200円(600円)7:00〜10:00, 15:00〜24:00

以上[6]

地獄めぐり

鬼山地獄

別府観光を代表する観光地で、全部で八か所がある。すべて入場は有料だが2日間有効の「8地獄共通観覧券」がある[7]

別府地獄めぐりを参照。

地獄蒸し

湯治客が自炊するために設けられた「地獄蒸し」貸間旅館・双葉荘にて。

地獄蒸しは江戸時代より湯治客に好まれた鉄輪を代表する料理の一つで、高温の温泉を利用した料理[7]。「地獄蒸し料理」を体験できる「地獄蒸し工房 鉄輪」がある[8][9]

湯の川

温泉街には「湯の川」と呼ばれる川が流れ、各源泉から流れ出た温泉水が一ヶ所に集い、轟々と音を立てて流れ落ちている[7]

湯雨竹

湯の川の近くには、「湯雨竹(ゆめたけ)」と呼ばれる温泉の冷却装置がある。これは2000年代に入って建造されたもので、源泉の湯温が100℃にも達するという湯温を調節するもので、加水による調温を回避できる[7]

所在地

別府市大字鉄輪[1]

交通アクセス

鉄道

バス:亀の井バス「鉄輪」バス停下車。(路線番号5・7・41 - 所要約16分、路線番号1 - 所要約24分、路線番号2 - 所要約26分)

飛行機

空港バス:観光港別府交通センター下車(約35分)。降車後タクシーを利用。
  • 福岡空港より高速バスで鉄輪口バス停下車。

以上[10]

高速バス・観光バス

最寄りバス停は「鉄輪口」もしくは「鉄輪②」(亀の井バス鉄輪待合所)詳しくは各記事を参照のこと。

鉄輪温泉全景

脚注

関連項目

外部リンク



鉄輪温泉

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/06/04 16:28 UTC 版)

別府温泉」の記事における「鉄輪温泉」の解説

鉄輪(かんなわ)温泉は、別府市街と明礬温泉との中間にあり、いまだに湯治場雰囲気を残す温泉街貸間旅館建ち並び随所から湯けむり立ち上る鉄輪温泉の景観は、明礬温泉とともに別府湯けむり温泉地景観」の名称で国の重要文化的景観として選定されている。 湯治客は貸間旅館にある温泉蒸気利用した装置地獄釜」で自炊しながら長逗留する。温泉蒸気部屋暖房にも使われている。周辺多様な地獄存在することから分かるように、泉質単純泉食塩泉炭酸鉄泉など多彩である。岩風呂砂湯・瀧湯・露天風呂など、様々な温泉楽しめる外湯ひょうたん温泉を代表に、大小多数温泉施設や、食材持ち込みも可能で手軽に地獄釜利用できる地獄蒸し工房もある。別府地獄めぐり中心に位置し周辺には海地獄鬼石坊主地獄山地獄かまど地獄鬼山地獄白池地獄などの観光施設や、大衆演劇芝居小屋ヤングセンターなどの娯楽施設存在する鉄輪地獄地帯公園付近に日本最初地熱発電用いられ泉源跡があり、また、野菜花き温泉利用による栽培育種研究が行われている花き研究所がある。 開湯伝説によれば鎌倉時代広大な地獄地帯であったこの地を一遍火男火売神社祭神導き最初に整備したとされ、市営温泉鉄輪むし湯」の向かいには、一遍開いたとされる蒸し湯跡が今も残る。毎年9月には鉄輪湯あみ祭り開催され、むし湯のそばの温泉永福寺では、上人像を渋の湯などで洗い清める「湯あみ法要が行われる。温泉街山手の坂を登った先に温泉神社がある。

※この「鉄輪温泉」の解説は、「別府温泉」の解説の一部です。
「鉄輪温泉」を含む「別府温泉」の記事については、「別府温泉」の概要を参照ください。

ウィキペディア小見出し辞書の「鉄輪温泉」の項目はプログラムで機械的に意味や本文を生成しているため、不適切な項目が含まれていることもあります。ご了承くださいませ。 お問い合わせ



固有名詞の分類


英和和英テキスト翻訳>> Weblio翻訳
英語⇒日本語日本語⇒英語
  

辞書ショートカット

すべての辞書の索引

「鉄輪温泉」の関連用語

鉄輪温泉のお隣キーワード
検索ランキング

   

英語⇒日本語
日本語⇒英語
   



鉄輪温泉のページの著作権
Weblio 辞書 情報提供元は 参加元一覧 にて確認できます。

   
デジタル大辞泉デジタル大辞泉
(C)Shogakukan Inc.
株式会社 小学館
ウィキペディアウィキペディア
All text is available under the terms of the GNU Free Documentation License.
この記事は、ウィキペディアの鉄輪温泉 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。 Weblio辞書に掲載されているウィキペディアの記事も、全てGNU Free Documentation Licenseの元に提供されております。
ウィキペディアウィキペディア
Text is available under GNU Free Documentation License (GFDL).
Weblio辞書に掲載されている「ウィキペディア小見出し辞書」の記事は、Wikipediaの別府温泉 (改訂履歴)の記事を複製、再配布したものにあたり、GNU Free Documentation Licenseというライセンスの下で提供されています。

©2025 GRAS Group, Inc.RSS