重要文化的景観として
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/24 09:13 UTC 版)
「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の記事における「重要文化的景観として」の解説
長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産の国内保護法令は重要文化的景観だが、世界遺産としては文化的景観の適用はうけていない。 そもそも世界遺産推薦時に求められる法的保護根拠を重文景としたのは、文化審議会から推薦に向けた課題として「信仰の基盤となった生業・生活のあり方を継承し、その後の時間的経過の中で変容を遂げた集落および墓地等はじめ、周辺の農地・海域までをも視野に入れつつ、各構成資産の範囲について検討する必要がある」、と最新のユネスコの指向性や世界遺産委員会の傾向を分析した結果を反映したものであった。 しかし個々の選定内容として、平戸島の文化的景観が「かくれキリシタンの伝統を引き継ぎつつ、島嶼の制約された条件のもとで継続的に行われた開墾や伝統的な生産および固有の生業等を通じて形成された棚田や人びとの居住地によって構成される独特の文化的景観である」と潜伏キリシタンに言及しているものの、黒島の文化的景観では「近世期の牧に起源をもつ畑地やアコウ防風林と石積みによる居住地、属島における生産活動など、独特の土地利用によって形成される価値の高い文化的景観」、野崎島を包括する小値賀諸島の文化的景観は「多様な地形的特徴を示す島嶼間の移動や近隣諸国との流通・往来に基づいて発展した港や居住地等によって形成される独特の文化的景観」、久賀島の文化的景観は「地形条件に応じて形成された集落およびその生活・生業の在り方、また島内に二カ所展開するヤブツバキの自然林はじめ、外海側に発達するヤブツバキ林・集落近傍に自生するツバキ樹とその利用によって特徴づけられる価値の高い文化的景観」、﨑津の文化的景観は「交易や石炭搬出など流通・往来の拠点として、また豊かな漁業資源が集積する漁港としての機能を有する集落が、『カケ』や『トウヤ』といった独特の生活・生業上の施設を伴いつつ成立することによって形成された価値の高い文化的景観」といったように、必ずしも潜伏キリシタンの信仰や文化を表現するものではない。 このことに関し、世界遺産登録を目指す北海道・北東北を中心とした縄文遺跡群の登録推進フォーラム(2019年1月27日開催、於:有楽町朝日ホール)において「近年の世界遺産登録の動向」として講演した文化庁文化資源活用課の鈴木地平文化財調査官が直近に登録された潜伏キリシタン遺産を引き合いに出し、「国内法の重要文化的景観が世界遺産相手に通じたことは嬉しかったが、選定内容が潜伏キリシタンの生活文化を直接顕彰していないことを指摘されていたならば危うかった」と実状を紹介した。
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