重要性の尺度としての妥当性
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/24 16:19 UTC 版)
「インパクトファクター」の記事における「重要性の尺度としての妥当性」の解説
インパクトファクターと引用分析は、一般に分野依存の要因の影響を受けると言われている。また分野間だけでなく、同分野の異なる研究領域間でも比較が無効になる可能性もある。出版後最初の2年間に発生する総引用の割合も、数学および物理科学では1〜3%であるのに対し、生物科学では5〜8%と、分野によって大きく異なっている。したがって、インパクトファクターを使用して、分野を超えてジャーナルを比較することは困難である。 インパクトファクターは、ジャーナルだけでなくその中の論文を評価するために使用されることがあるが、外れ値による影響を大きく受ける。例えば、”A short history of SHELX”というタイトルの論文は、「結晶構造決定の過程でオープンソースであるSHELXプログラム(およびBruker AXSバージョンSHELXTL)を1つ以上利用した際に、汎用的な引用文献として使用できます」という文言があり、実際にこの論文は6,600件以上もの引用を受けた。結果として、この論文を掲載しているジャーナルであるActa Crystallographica Section Aのインパクトファクターは劇的に上昇し、2008年に2.051だったのに対して2009年は49.926となり、ネイチャー(31.434)やScience(28.103)を超えた。一方、Acta Crystallographicaで2番目に引用されている記事は、2008年の引用数は28件のみであった。このような現象が起きうるため、インパクトファクターはジャーナルの指標であり、個々の研究者や機関を評価するために使用すべきではない、という考え方が主流である。 インパクトファクターのみに基づいて作成されたジャーナルのランキングは、専門家の調査結果から編集されたものと比較して、中程度の相関関係しかない事が示されている。また、科学情報研究所の元研究ディレクターであるAECawkellは、インパクトファクターの基礎となるScience Citation Index(SCI)は、「すべての著者が、自分のテーマに関連する以前の研究のみを注意深く引用し、世界中で発行されているあらゆる科学雑誌が網羅されており、かつ経済的制約がない場合において、完全に機能するだろう」 と述べている。
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