二期(1996年 - ) V16B/17B型
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「73式小型トラック」の記事における「二期(1996年 - ) V16B/17B型」の解説
旧式化が目立ち、排ガス規制などにも適応できなくなりつつあったジープタイプに代わり、1996年(平成8年)からは2代目パジェロがベースで、ショートホイールベースモデルのフレーム後端を若干伸ばし、積載対応のためリーフリジッド化された車両が採用され、「73式小型トラック(新)」となった。新型装備ではなく、あくまでも旧型車両の更新であるため、複数メーカーによる競争入札は行われていない。[要検証 – ノート]「73式」の呼称が引き継がれたものの、制式名称がいつまでも「73式小型トラック」ではさすがに問題があると判断され、平成13年度納入車からは「1/2tトラック」に変更となった。 リアエンドパネルにアクセサリーソケットと左右ドアに灰皿を搭載したほか、災害情報収集のためAM・FMラジオも標準装備されている。また、民間向け車両の部品を流用した事からエアコンのような快適装備も引き継がれ、冷房可能なエアコン搭載車となるが、電装系は民間向けパジェロの12V仕様に対し、防衛省向けは24Vであるため、操作パネルは同じながらも中身は別物である。 国土交通省届出の車両型式はV16B(2代目パジェロがV2-4系、3代目パジェロがV6-7系)となっているが、生産された順は2代目パジェロの後となっている。テールレンズは初代パジェロの物を流用。ドアのアウターハンドルには2代目ミラージュ、およびランサーの物が流用されている。機関形式は4M40(平成8年-平成24年度車用まで)。 方向指示器および、ライト切り替えスイッチは手袋などを着用した状態でも操作しやすい様、旧型に類似したものを使用しており、ライトの点灯はロータリスイッチとライトスイッチの操作が必須となる。 乗降性の改善のために取り付けたサイドステップ(防衛省仕様書では泥落とし)のため全幅が1.7mを超えたことで、「小型」呼称ながら実際は普通貨物車(1ナンバー車)扱いとなったことで高速道路の通行料金は1ナンバークラスの中型料金であったが、後に普通料金が適用される小型貨物車枠に収まるよう改装された。 変速機はロックアップ機構を省いたトルコン式ATで、市販型パジェロの2代目車両となるJ-TOP(幌車)の専用タイヤであった18インチの大径タイヤ(横浜ゴム製215/85・18、専用鉄ホイール)を装着し、デフロック可能なセンターデフ式フルタイム4駆機構のスーパーセレクト4WDを備える。不整地走破性は旧型と同等程度の性能を持つとされるが、前輪がリジッドから独立懸架となったことで操縦安定性は向上した。タイヤ径の拡大により、地上高、特にアクスルデフ下の最低地上高が増大している。 車体後部にトレーラー牽引用のピントルフックを備えているが、車両が小型・軽量で、エンジン出力も決して大きくないことから、けん引できるのは陸自の装備品では1/4tトレーラまでであり、重量物の運搬、けん引は高機動車が担う。固有の搭載火器はなく、左右ドア内側に64式7.62mm小銃もしくは89式5.56mm小銃を固定できる小銃取付具が取り付けられており、また、5.56mm機関銃MINIMI、12.7mm重機関銃M2などの各種機関銃、対戦車ミサイルなどを搭載することが可能。誘導弾や通信機器の搭載専用車両は2ないし3名で運用される。 基本型は6名の乗車が可能だが、旧型が後部扉から乗降する後部4名に対し、新型は最後部第3席は対面2名乗車であり、残りの2名は前席後部第2席に運転席および助手席のシートを倒して乗降する。 指揮官車など通信機材が積載された車両に関しては中間に有る第2席右側(背もたれ)を前方に倒し第2席用無線機架台用台座を設置するため5名乗車、第3席用無線機架台用台座も取り付けた場合は4名乗車となる。だが、近年は無線機が小型化され(広帯域多目的無線)、右側リアホイールハウス上面の範囲で搭載できる様になったため、無線機を搭載していても6名乗車可能である。 初期型は従来よりも予熱に時間がかかるため、冬季のエンジン始動に時間がかかる。現在はバンパー上にあったフォグランプをバンパーに埋め込んだタイプ(数も1つから2つに増えている)が納入されている。 2014年頃からV17Bの納入が始まりインタークーラーがフロントグリル下部に移設、専用グリルも追加されボンネット上にエアインテークが無くなりフラットな形状になった。機関形式は4N15(平成25年度以降車用)。 幌の形状も初期型と現行型では仕様が異なり、素材変更およびロイド(スクリーン)部分の大きさ変更やバックドアカーテン、リアカーテンのウインドウカーテンがファスナーにより取り外すことが可能となっている。 イラク派遣で使用された際には、三菱自動車が防弾能力を持つ「付加材1/2tトラック用」という物品を納入しており、防弾処理が施された。 2021年8月、製造元のパジェロ製造(岐阜県坂祝町)が工場を閉鎖。1/2tトラックの生産設備は同年度下期に三菱自動車岡崎製作所(岡崎工場、愛知県岡崎市)に移管され、製造を続ける。
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