不世出とは? わかりやすく解説

不世出

出典:『Wiktionary』 (2021/08/15 10:27 UTC 版)

成句

  ふせいしゅつ

  1. 滅多に世に出ることのない程に優れていること。

発音(?)

ふ↗せ↘ーしゅつ

関連語

対義語

出典

史記巻92・淮陰侯列伝第32

白文
韓信曰、「漢王遇我甚厚。載我以其車、衣我以其衣、食我以其食。吾聞之、『乘人之車者、載人之患、衣人之衣者、懷人之憂、食人之食者、死人之事』。吾豈可以郷利倍義乎」。
蒯生曰、「足下以爲善漢王、欲建萬世之業。臣竊以爲誤矣。始常山王・成安君、爲布衣時、相與爲刎頸之交、後爭張黶・陳澤之事、二人相怨。常山王背項王、奉項嬰頭、而竄逃歸於漢王。漢王借兵而東下、殺成安君泜之南、頭足異處、卒爲天下笑。此二人相與、天下至驩也。然而卒相禽者何也。患生於多欲、而人心難測也。今足下欲行忠信以交於漢王、必不能固於二君之相與也。而事多大於張黶・陳澤。故臣以爲足下必漢王之不危己、亦誤矣。大夫種・范蠡存亡越、覇句踐、立功成名、而身死亡野獸已盡、而獵亨。夫以交友言之、則不如張耳之與成安君者也。以忠信言之、則不過大夫種・范蠡之於句踐也。此二人者、足以觀矣。願足下深慮之。且臣聞、『勇略震主者身危、而功天下者不賞』。臣請言大王功略。足下西河魏王、禽夏説、引兵下井陘、誅成安君、徇趙、脅燕、定齊、南摧人之兵二十、東殺龍且西郷以報。此所謂功無二天下、而略不世出者也。今足下載震主之威、挾不賞之功。歸不信、歸漢、漢人震恐足下欲持是安歸乎。夫勢在人臣之位、而有震主之威、名高天下。竊爲足下危之」。
訓読文
韓信曰く、「漢王、我を甚だ厚く遇す。我を載|するに其のを以てし、我にするに其のを以てし、我に食はしむるに其のを以てす。吾之を聞く、『人の車に乗る者は、人の患ひを載せ、人の衣を衣る者は、人の憂ひをいだき、人の食を食ふ者は、人の事にす』と。吾、豈に以てむかひ義にそむけむや」と。
蒯生曰く、「足下自ら以為おもへらく漢王に善くして、万世げふを建てむと欲すと。ひそかに以為へらく誤てり、と。始め常山王・成安君、布衣りし時、相とも刎頸の交はりを為せど、後に張黶・陳澤の事を争ひ二人うらむ。常山王、項王背き、項嬰のかうべささげて、竄逃し漢王にす。漢王、借りて東下し、成安君を泜水の殺し頭足ことにし、つひ天下笑ひ為る二人くみするは、天下の至驩なり。然り而うして卒に相とりことするは何ぞやうれひは多欲より生じて、人の測り難ければなり。今、足下忠信を行ひ以て漢王に交はらむと欲するも、必ず二君の相与するより固きこと能はざるなり。しかるに事は張黶・陳澤より多大なり。故に以為へらく、足下漢王のを危ふくせざるを必とすることも、亦た誤てりと。大夫しょう范蠡はんれいほろびし越を存し句践[1]たらしめ、立て名を成すも、身はぐ。野獣すで尽きて、猟らる。交友を以て之を言はば、すなは張耳成安君に与せしことにかざるなり。忠信を以て之を言はば、則ち大夫種・范蠡句践に於けるに過ぎざるなり。此の二人の者は、以て観るに足る。願はくは足下、之を深慮せよ。つ臣聞く、『勇略ふるはす者は身危ふくして、功、天下おほふ者はせられず』と。臣、大王の功略を言はむことを請ふ。足下西河わたり、魏王とりことし、夏説かえつとりことし、兵を引き井陘下り成安君をし、趙をとなへ、燕を脅かし、斉を定め、南のかたひとの兵二十くじき、東のかた竜且りょうしょ殺し、西にむかひて以てず。此れ所謂いはゆる功は天下二つと無くして、世に出でざる者なり。今、足下、主を震はすのいただき、賞せられざるの功をさしはさむ。帰せば、ひとぜず、漢に帰せば、漢ひと震へ恐る足下、是をしていづくにか帰せむと欲す夫れ勢ひは人臣在るも、主を震はすの威有り、名は天下高し竊か足下為に之を危ぶむ」と。
現代語訳
韓信言った、「漢王(=劉邦)は私を非常に厚遇してくれる。私を車に乗せる際にはご自身の車を用い、私に衣服着せる際にはご自身衣服用い、私に食事振舞う際にはご自身食事勧める。私は次のように聞いている、『他者の車に乗った者はその人心配事引き受け他者衣服着た者はその人悩み共有し他者食事食べた者はその人のために命を懸けるものだ』と。私はどうして、利益追求して信義に背くことができようか」。
蒯生(=蒯通)は言った、「あなたは漢王に尽くして末代まで残る偉業を築くおつもりでしょう。私が密か思いますに、それは誤りです。常山王(張耳)と成安君(陳余)は、庶民であった頃から互いに刎頸の交わり結んでいましたが、その後張黶・陳澤の事件仲違いし二人互いにむようになりました常山王は項王(=項羽)に背き、項嬰の首級引っ提げて逃れて漢王に帰順しました。漢王は彼の兵を借りて東方攻め成安君を泜水の南にて殺し、(成安君は)頭と足を切断され、ついに天下笑い者となりました。この二人の仲は、この世で最も親し部類のものでした。それなのに、最後に互いに捕らえようとするに至ったのは何故でしょうか災いは深い欲望から生じ、人の心(変化)は予測つかないからです。今あなたは忠義実践して漢王と親しくなりたいのでしょうが、この二人(=張耳陳余)より固い仲にはなれるはずがありません。しかも、事は張黶・陳澤の事件よりも重大なのです。だから私が思いますに、漢王が自分危害加えるはずがないというあなたの考えも、また誤りなのです大夫しょう范蠡はんれい滅亡瀕した越を再興させ、越王勾践覇者とし、功績立て名を成しましたが、その身は殺され、あるいは逃亡しました。野獣狩り尽くされると、猟犬は煮殺されるのです。そもそも交友という見地から申し上げれば、(あなたと漢王との間柄は)張耳成安君に対する関係に及びません。忠義という見地から申し上げれば大夫種や范蠡勾践対す態度ほどではありません。この二人大夫種と范蠡)の事例は、参考にする価値あります。どうかあなたにおかれましては、このことを深く考慮なさって下さい。それに、私は次のように聞いております、『勇気知略主君震え上がらせるほどの者は、その身を危険に晒す結果招き功績天下覆うほどの者は、かえって恩賞得られない』と。私は、大王(=韓信)の功績挙げてみるとしましょうあなたは西の黄河渡り魏王(=豹)を捕虜とし、夏説捕虜とし、兵を率いて井陘下り成安君を誅殺し、趙を撃破し、燕を脅かし、斉を平定し南方進軍し大軍二十破り東方進軍して(将軍竜且りょうしょ殺し西方向かって成果を漢王に)報告なさいました功績天下二つとなく、知略世にもとは、まさにこのことです。今あなたは主君震え上がらせるほどの威勢持ち褒賞できないほどの功績挙げております味方しての人は信用せず、漢に味方しても漢の人は恐れおののくでしょうあなたはこのような状況のまま、どちらに味方するおつもりなのですか。そもそも立場臣下の位にありながら、(あなたは主君震え上がらせるほどの威勢持ち、その名は天下響き渡っております。(私は)密かにあなたのために、これを危ぶんでいるのです」。


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