ワイドドア車
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/29 16:19 UTC 版)
「小田急1000形電車」の記事における「ワイドドア車」の解説
通常の車両は扉幅は1,300 mm ワイドドア車の扉幅は2,000 mm運転台後ろのみ1,500 mm 1990年(平成2年)から1991年(平成3年)にかけて、幅2 mのワイドドア(クハ1050番台の乗務員室直後のみ幅1.5 m)を採用した車両が登場した。これらの車両は俗に1700形(過去に存在した4両編成の場合は1500形)に分けられる。日本の他鉄道事業者のワイドドア車としては、東京メトロ東西線用の05系第14 - 18編成と15000系に1.8 m幅のものを採用した事例がある。 この車両には多くの試験的施策があり、側面にはLED式の種別・行先表示器のほか、1次車(1551×4・1552×4・1751×6・1752×6)では車内旅客案内表示装置と座席跳ね上げ機構を小田急で初めて搭載している。車内旅客案内表示装置は1551×4と1751×6にLED式スクロールタイプが、1552×4と1752×6に液晶式ディスプレイタイプ(LCD。ただし後に登場した3000形や4000形より小型)がそれぞれ採用された。その後新製した2次車 (1553×4 - 1556×4) もLCDを採用したが、液晶の劣化が早く、数年で撤去された。また、客室内の戸袋と扉以外の窓をパワーウィンドウとし、ボタン操作で開閉できるようになっている(これも本形式のみの装備)。 ラッシュ時の乗降をスムーズに行うために幅2 mのドアを採用していたが、その巨大な幅のドアが原因でかえって乗客がドア付近に滞留し、車内の流動性が悪化したことから、1998年(平成10年)に東急車輛製造で2000形と同一の幅1.6 mに改造する工事が行われた。この際に構体のドア開口部は従来どおりとしたため、開扉時に左右それぞれ0.2 m引き残している。車内はドア幅の縮小に合わせて内装を装備したため、引き残しているようには見えないが、閉扉時の扉窓位置が左右非対称となり、扉窓の両端部が仕切りと接しているように見える。ドア改造の際には1551×4と1751×6のLED式装置の一部を1552×4と1752×6に取り付け、1551×4・1751×6と1552×4・1752×6で千鳥配置となった。1553×4 - 1556×4の各編成では6両編成化工事の際に新しくLED式スクロールタイプを設置している。これは千代田線直通対応編成である1091×10 - 1094×10および1081×8の枠を黒くしたタイプで、1次車とは若干形状が異なる。ドアチャイムは1753×6 - 1756×6のみ設置されている。通常ドア編成と異なり、ワイドドア編成は優先席が各車両の両端(先頭車は連結面側のみ)に設けられている。また、一部編成には車椅子スペースが設置されている。 1991年の新製当初の段階では4両編成6本(24両)と6両編成2本(12両)の計36両が在籍し、4両編成は小田原寄りに通常ドア幅の1000形4両編成を連結した8両編成で新宿口の各駅停車に充当されていた。しかし2004年(平成16年)に4両編成は一部先頭車を中間車に改造した上で6両固定編成に組み換えて解消し、6両編成6本となり、多摩線・江ノ島線・小田原線(新松田~小田原間)の各駅停車を中心に運用されていた。なお、このグループは、登場以来千代田線直通に対応する編成は存在しない。 側面のLED式種別・行先表示器は、現在はゴシック体で、各駅停車に充当する時は種別と行先を交互に表示する。登場時は書体がゴシック体で、フォントはロゴ並みになっているなど画素が粗かったが、2005年(平成17年)より明朝体のものになるとともに英字も表示可能なもの(3000形1・2次車と同じ物)に交換した。また、2008年度に、1751×6・1752×6・1753×6が、2009年度に1754×6・1755×6・1756×6が純電気ブレーキ化改造を受けた。 なお、車内の銘板は、ドアの幅の改造時にすべて東急車輛製造のものに交換されており、さらに1753×6 - 1756×6は組み換えの際に再度交換されている。このため、川崎重工業製であっても車内の銘板は「東急車輛」である。 2020年に1751×6、2021年に1752×6、1753×6、1755×6が廃車され、登場時から6両だったワイドドア車は消滅した。 2022年に最後まで残っていた1754×6が廃車となり1000形ワイドドア車は消滅した。 車両各所の写真 1000形ワイドドア車1752×6(2007年8月 / 小田急多摩センター駅) 1,500 mm幅のドア(左)と2,000 mm幅のドア 改造後のワイドドア引き残しがある。 中間車化改造車(右)車端の窓が開閉式、その隣の扉幅は1,500 mmとなっている。 LED種別・行先表示器 車内各所の写真 当初、一部編成に装備されていたLCD表示器 1000形ワイドドア車車内 改造後のワイドドア 1000形ワイドドア車普通座席(7人がけ) 1000形ワイドドア車優先席(2人がけ) 車内案内板およびつり革 自動窓のボタン(1000形ワイドドア車の窓はこのボタンで操作をする)
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