ラジオ部門の拘束範囲
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/10 02:59 UTC 版)
「JNN排他協定」の記事における「ラジオ部門の拘束範囲」の解説
JNN結成後の1965年(昭和40年)5月2日に、ラジオの全国ネットワークジャパン・ラジオ・ネットワーク(Japan Radio Network、以下JRN)が、TBS(当時は東京放送)の主導で結成された。本社が大阪市にあって、当時テレビ放送事業とラジオ放送事業を兼営していた毎日放送(MBS)・朝日放送(ABC)は同時にJRNに加盟。翌5月3日にニッポン放送(LF)・文化放送(QR)の主導で全国ラジオネットワーク(以下NRN)が結成されたことを機に、NRNにも加盟したことからクロスネット局になった。MBSもABCもクロスネットを選んだのは、在京局のTBS・LF・QRとの間でかねてから均等な関係を構築していたことによる。 実際には、1975年3月30日にMBS・ABCのテレビ部門の間でネットチェンジが実現(近畿広域圏におけるJNNの加盟局がABCからMBSへ移行)したほか、ABCが2018年(平成30年)4月1日、MBSが2021年(令和3年)4月1日付でラジオ放送事業を分社化。ABCのテレビ放送事業を朝日放送テレビ、ラジオ放送事業を朝日放送ラジオが承継している。その一方で、MBSではラジオ放送事業を株式会社MBSラジオへ移行させたうえで、テレビ単営局として再スタートを切った。しかし、「JRN系列各局に配信されるニュースの取材をJNN加盟局および兄弟会社(朝日放送→毎日放送→MBSラジオ)が担当する一方で、JNN非加盟局および兄弟会社(毎日放送→朝日放送→朝日放送テレビ)がラジオニュースを独自に取材する」というテレビ・ラジオ兼営時代の体制は、ラジオ放送事業の分社後も維持されている。ラジオニュースに関するJNN排他協定が「テレビ部門がTBS系列であればラジオ部門も拘束を受ける」と解釈されることや、NRNの報道取材をラジオ大阪・京都放送・和歌山放送(過去にはラジオ関西も)が別途分担していることによる。 詳細は「ABCニュース (朝日放送ラジオ)#備考」および「高橋信三#JRN結成とラジオニュース」を参照 「毎日新聞ニュース#ラジオ」および「MBSニュース#ラジオ」も参照 現に、JRNの結成時にニュースネットから事実上締め出されていた毎日放送では、テレビ・ラジオの兼営時代に「報道局」(テレビ部門のニュース取材を担当する部署)と「ラジオ報道部」(ラジオ部門のニュース取材を担当する部署)が別々に存在。ラジオ部門では、JRN・NRNの全国ニュース(『ネットワークTODAY』など)の本編を、ラジオ報道部が独自に制作する企画ネット方式で放送してきた。ラジオ放送事業が株式会社MBSラジオへ移行した2021年4月1日に、毎日放送の社内組織改編で(ラジオ報道部を統括していた)「ラジオ局」は廃止されたが、ラジオの全国ニュースにおける企画ネットは分社後も続けられている。 詳細は「ネットワークTODAY#概要」および「RadioNews たね蒔きジャーナル#概要」を参照 「報道するラジオ#概要」および「MBSニュースレーダー#概要」も参照 その一方で、テレビ・ラジオ兼営時代の毎日放送は、1998年からTBSラジオで平日の夜間に全国ネットで放送していた報道系の生ワイド番組(『BATTLE TALK RADIO アクセス』→『ニュース探究ラジオ Dig』→『Session-22』)を一切流さず、自主編成を貫いていた。このため、TBSラジオは上記の番組に関して、JNN排他協定を援用したネットワークセールスでの放送を断念せざるを得なかった。 詳細は「BATTLE TALK RADIO アクセス#関西圏でのネットがなかった理由」および「柳瀬璋#『ヤングタウン』と『アクセス』」を参照 ただし、JRN発足直後には毎日放送がJRN幹事社であることに配慮し、テレビ部門のネットチェンジまで原則として朝日放送が担当していた報道・情報分野でも、番組を限定してTBSラジオが毎日放送との相互ネットや素材交換を行っていたため、現在もその痕跡が残っている。2001年(平成13年)10月改編で早朝の『歌うヘッドライト』が番組終了、同じく『おはよう一直線』は毎日放送での放送が打ち切られ、TBSラジオ発生ワイド番組の全編フルネットは消滅したが、『一直線』ではネットスポンサーのCMの一部が毎日放送の『朝からてんコモリ!』で流れ、事実上の企画ネットが行われていた。2014年(平成26年)10月改編で『一直線』はニュース番組としての要素を含むものの、「情報バラエティ番組」の体裁をとっていることから、排他協定の対象外として、JRN非加盟(NRN単独加盟)のラジオ大阪で全編フルネットされることになり、13年ぶりに近畿圏での放送が復活した。 詳細は「生島ヒロシのおはよう一直線#過去にネットしていた局」および「柳瀬璋#ラジオの早朝自社制作枠強化」を参照 逆に、新型コロナウイルスへの感染拡大によって日本プロ野球(NPB)レギュラーシーズンの開幕がおよそ3ヶ月延期された2020年には、毎日放送のラジオ部門(当時)が『ザ・フォーカス』(ニッポン放送がNRN向けに制作していた報道番組)の同時ネットを4月28日から5月21日まで実施した。感染対策の一環で、自社による番組制作体制を暫定的に縮小していたことによる。また、2011年(平成23年)の東日本大震災発災直後には、朝日放送のラジオ部門(当時)がTBSラジオから報道特別番組を同時ネットで放送した(JUNK枠冒頭にパーソナリティから休止告知及び被災者へのメッセージを放送したため)。朝日放送ラジオでも同時ネットを実施していなかった『Session-22』の2021年1月18日放送分には、JNN排他協定に配慮して、阪神・淡路大震災(1995年1月17日発災)のアーカイブ映像に関する朝日放送テレビ報道局記者へのインタビューの模様が放送された。 詳細は「ザ・フォーカス#3月31日以降」および「伊集院光 深夜の馬鹿力の出来事#通常放送時の主な出来事」を参照 テレビがTBS系列の兼営局(毎日放送以外)では、テレビとラジオのニュース素材を共通にしてTBSテレビへ渡すことがある。この場合、NRN報道部門の事実上のキー局である文化放送(場合によってはニッポン放送にも)へは、JRN向けとは別の素材を制作して渡すのを原則としているが、取材要員などの都合により同一素材となる例もある。ラジオがJRN単独でテレビもJNNのRKB毎日放送では、JNN報道特別番組をテレビ・ラジオ同時に放送するといった措置を取ることもある。 詳細は「サイマル放送#民間放送」および「ネットワークTODAY#取材網」を参照 「ニュース・パレード#ネット局について」も参照 民放AM局が県域に1局しかなく、かつテレビニュースがNNN(日本テレビ系列)の兼営局 の場合、JRNを通じてTBSラジオから配信されたニュースはラジオ部門に限り使用することができる。また、「加盟局以外には一切配信しない」という部分の解釈上、JNN協定に抵触する可能性があるため、TBSラジオに配信したニュース番組用の音声素材を、そのままNNNのキー局である日本テレビ に渡さず、同じニュースでもNNN、JRN、NRN それぞれに向けた別々の素材を制作して渡すのを建前としているが、取材要員の都合によってはNNN向けに映像込みで制作した記者リポートの音声素材をそのままTBSラジオ・文化放送(場合によってはニッポン放送にも)に提供してJRN・NRNニュースで使用する場合もある。 全国同時放送の報道特別番組は、テレビは当然NNN のものを放送する。ラジオはJRNのものを優先して放送することが多いが、元々のラインネット番組編成の都合などでNRNを優先する例も若干ある。 詳細は「ジャパン・ラジオ・ネットワーク#代表的なネット番組(五十音順)」および「報道特別番組#民放テレビ」を参照
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