ヘーゲル学派とその分裂とは? わかりやすく解説

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ヘーゲル学派とその分裂

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/03 04:01 UTC 版)

青年ヘーゲル派」の記事における「ヘーゲル学派とその分裂」の解説

カントフィヒテ死後19世紀前半ドイツでは次第に、その力強い論理性によって基礎付けられているヘーゲル哲学哲学研究において支配的であったヘーゲル存命中(特にベルリン大学時)も、ヘーゲル哲学惹かれ彼の弟子になろうと思った人間多かったまた、プロイセン政府からも支持を受け、ヘーゲル哲学流れを汲むものが急速に拡大していった。 大学哲学教壇の場は、必ずヘーゲル学徒なくてはならないほどであったまた、1827年から発刊機関誌学的批判年報』(Jahrbücher für wissenschaftliche kritik、ベルリン科学評論協会発行なので、場合によっては『科学評論雑誌という訳語も与えられる、別名はベルリン年誌(Berliner Jahrbücher)という)の存在ヘーゲル学派興隆を促がすものであったヘーゲル1831年急逝した後も、哲学受け継がれていったそのような中で、ヘーゲル学派神学者 ダーフィト・シュトラウス自身ヘーゲル研究を基に、1835年に「イエス生涯」を著したことにより、直接的な分裂始まった(注:それ以前から、学派内で食い違い齟齬存在していた)。 シュトラウスは、この著作聖書解釈の中で、福音書の中の歴史史実性否定し、すべて神話であったとする見解示しまた、キリスト神人としての)の到来は、イエスという個人によってではなく人類全体によって実現されるという見解示した。 この著作は、ヘーゲル学派内部からのみならず当時神学界からも批判を受け、シュトラウス答弁余儀なくされた。 その答弁の中で、福音書の中の全歴史史実して受け入れるべきであるとしたのが右派部分的に受け入れられるとしたのが中央派、まったく受け入れるべきではないとしたのが左派 と、シュトラウスヘーゲル学派区分示した当初シュトラウス自身は、左派自分だけしかいないとしたが、これは極論であろう)。 また、当時右派比べて青年学者多かったので、青年ヘーゲル派とも呼ばれるようになった。 やがて分裂対立となり、さらに青年ヘーゲル派自身の手により、ヘーゲル哲学原理批判的に発展させ、やがて唯物論的な実践的な立場となり、国家批判への道を進み始めた。 やがて、新しく君臨したヘーゲル哲学好意をもっていないフリードリヒ・ヴィルヘルム4世と溝が深まったことも相まって青年ヘーゲル派プロイセン政府との対立起こった1838年には、青年ヘーゲル派独自の機関紙ハレ年報』を創刊、さらに政治的主張として『ライン新聞』を1842年創刊するが、政府により共に1843年発禁される。 また、急進的な考え好意持たない勢力ヘーゲル左派学者大学からの追放実施しさらには老年シェリングベルリンへ招き青年ヘーゲル派対抗したこの頃から、政治的歴史的には袂を分かち社会主義立憲君主主義無政府主義などに分かれ統一失い事実上消滅。 『学的批判年報』も1846年政府によって廃刊された。 哲学思想からは離れるが、なぜ哲学者政治的な色合い強めていったかといえば、それは当時ドイツ知識人階層風潮が、封建制社会認めヘーゲル哲学、そしてヘーゲル哲学から出発した思弁的唯物論青年ヘーゲル派)を元にした理論求めなくなり、さらに実践的革命的な理論求めていったからであろう(しかし、この急進的な考えも、保守勢力改革策の導入により、結局は失敗した)。このことは、ドイツ後進国(当時フランスイギリスヨーロッパ主導的な立場であった)という観念普及し何とかしてこれを打破したいと考えていたからに他ならない。それを追求するには、「観念ではなく現実」という性質のものでなくてはならなかった。 一方市井の人々は、目まぐるしく変わる社会に対して理想追求するのをやめ、ビーダーマイヤーという質素日常的なモノ価値見出すという考えいたった歴史は、1814年成立したウィーン体制王政復古)から、1848年革命到り、旧勢力封建制社会)から新勢力自由主義社会主義)へと転換した時期でもあった。 このように青年ヘーゲル派足跡は、この後マルクス主義哲学と、実存主義哲学とに受け継がれていくこととなる。 青年ヘーゲル派哲学者としてダーフィト・シュトラウスフォイエルバハブルーノ・バウアーマックス・シュティルナーなどがいるが、さらにこの青年ヘーゲル学派影響にあった人物としてカール・マルクスキルケゴールアナキストバクーニン詩人ハイネ挙げられるだろう。 *ヘーゲル左派の詳しいメンバーは、ヘーゲル主義者の一覧#青年ヘーゲル派の項を参照されたい。

※この「ヘーゲル学派とその分裂」の解説は、「青年ヘーゲル派」の解説の一部です。
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